~ROIC経営で事業を再構築、収益力の改善が大きく前進~
【ポイント】
・2018年4月の薬価改定で、得意とする外皮用ジェネリック医薬品が、なくてはならない基礎的医薬品に認定されて、薬価が約3倍となった。有機EL用の素材が伸びている。化学品の収益性も半導体や電子部品向けに改善している。こうした新しい分野の貢献も加わり、2018年11月期に続き、2019年11月期もピーク利益を更新しよう。
・2018年11月期から次の3ヵ年計画にシフトした。2017年11月期は6年ぶりにピーク利益を更新し、創業来の営業利益を上げた。ジェネリック医薬品及び原料が貢献した。収益性の良い表面処理薬品の自社製品への切り替えも効果を上げつつある。日立化成から譲受したプリント配線板用薬品事業も期待が持てる。
・10年間の中長期ビジョンのもと、岩城社長をリーダーに果敢に「策揃え」(独自の差別化戦略)を実行中で、2025年11月期に売上高1000億円、ROIC(投下資本利益率)10%を目標とする。今回の中期3カ年計画では、2020年11月期に売上高650億円、営業利益21億円、ROIC 7.0%以上を目指すが、今のペースで行くと、2019年11月期で営業利益25億円が達成でき、ROICも8%を超えてこよう。
・イワキは医薬・FC(ファインケミカル)、HBC(ヘルス&ビューティケア)、化学品(表面処理薬品)、食品の4つの事業分野を主力とするが、今後の業績拡大では、1)抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体など、API(有効成分)分野の強化、2)医薬品原料の合成技術の応用も含めた高純度の電子材料や、パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、3)シルバー世代に強みを持つ通販化粧品分野などがリード役となろう。
・付加価値の高い分野を目指し、商社機能から製造機能へのシフトを進めている。現在の製造比率30%を40%に高めていく方針である。そのための設備投資や事業投資も活発化させる。ROIC経営の実践を通して、収益性は好転しているので、PBRも早晩1.0倍に戻そう。そこからが次のスタートである。企業価値の創造に向けて、強みを活かす新製品の開発、不採算事業の改革など、一段の戦略的実行が効果を上げてこよう。
目 次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み ジェネリック医薬品原料が大きな収益源
3.中期経営計画 10年ビジョンVision“i-111”でROICベースの収益力向上を目指す
4.当面の業績 薬価改定のプラス効果と新規分野の貢献でピーク利益更新へ
5.企業評価 収益力向上の道筋が見えてきた
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (18年11月6日) |
542円 |
時価総額 | 187億円 (34.51百万株) |
PBR | 0.93倍 |
ROE | 6.9% |
PER | 13.5倍 |
配当利回り | 1.9% |
総資本 | 39966百万円 |
純資産 | 18850百万円 |
自己資本比率 | 47.1% |
BPS | 580.6円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2007.11 | 50505 | 277 | 553 | 146 | 6.1 | 6.0 |
2008.11 | 50012 | 21 | 72 | -167 | -7.0 | 6.0 |
2009.11 | 47947 | 300 | 87 | -118 | -4.9 | 6.0 |
2010.11 | 50412 | 494 | 635 | 371 | 15.5 | 6.0 |
2011.11 | 53797 | 1215 | 1316 | 1619 | 53.9 | 7.0 |
2012.11 | 51953 | 1126 | 1292 | 728 | 21.6 | 6.0 |
2013.11 | 52465 | 1007 | 1144 | 744 | 22.0 | 6.0 |
2014.11 | 54145 | 890 | 962 | 496 | 14.7 | 7.5 |
2015.11 | 55422 | 559 | 694 | -143 | -4.3 | 6.0 |
2016.11 | 55121 | 977 | 1071 | 8 | 0.3 | 6.0 |
2017.11 | 57387 | 1571 | 1778 | 1241 | 37.9 | 7.5 |
2018.11(予) | 60000 | 1780 | 1900 | 1300 | 40.1 | 10.5 |
2019.11(予) | 62500 | 2530 | 2600 | 1750 | 54.0 | 12.0 |
(18.8ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2011.11期はメルテックス合併記念配1円、2014.11期は創業100周年記念配1.5円を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/iwaki201811.pdf
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