■業績動向
(4)その他事業
明光ネットワークジャパン<4668>のその他事業の売上高は前期比9.0%増の3,899百万円、セグメント利益は同81.0%増の151百万円となった。日本語学校や古藤事務所ののれん償却費(243百万円)を含めた償却前セグメント利益で見れば、前期比20.8%増の395百万円となり利益率も10%を突破した。日本語学校事業やキッズ事業、古藤事務所を中心に大半の事業が増収となっており、また、利益面では日本語学校や古藤事務所の増益に加え、キッズ事業が事業開始以降初めて黒字化したことも増益要因となった。
主力事業の動向を見ると、早稲田アカデミー個別進学館の売上高は前期比25百万円増加の372百万円、営業損失は11百万円(前期は11百万円の損失)となった。期末の校舎数は前期末比で3校増(同社直営1校増、FC1校増、早稲田アカデミー直営1校増)の35校(同社直営7校、MAXIS直営5校、FC校11校、早稲田アカデミー直営12校)となり、在籍生徒数は全校舎で同244名増の2,839名となった。1校舎当たり期末生徒数は校舎新設の影響もあって前期末比横ばいの81.1人にとどまったが、難関校合格実績に対する認知度の向上により、既存校については着実に生徒数が増加している。
キッズ事業については、学童保育の需要増加を追い風に売上高は前期比62百万円増加の298百万円、営業利益は3百万円となった。直営スクールにおける生徒数増加に加えて、当期は早期に収益化が可能な学童保育の運営受託サービスを強化したことが収益増につながった。期末のスクール数は19スクール(直営7スクール、学童クラブ施設1施設、運営受託等11施設)で前期末比4スクール増加し(運営受託等で4施設増)、在籍スクール生は同220名増の1,002名となった。
運営受託としては、東京都練馬区の民間学童保育事業の運営受託を受注したほか、私立小学校(埼玉県さいたま市)の学校内学童保育、幼稚園(神奈川県平塚市)におけるキッズスクールの運営受託、日本総合住生活との連携によるアフタースクール「J Smile Kids」運営等、様々な形態での運営受託案件の受注を獲得した。運営受託については固定費負担が人件費のみのため、初年度からの利益貢献が期待できる。このため同社では、今後も地方自治体や学校法人、幼稚園等からの運営受託サービスを拡大していく方針となっている。
サッカー事業の売上高は前期比10百万円減少の141百万円、営業利益は7百万円(前期は1百万円の損失)となった。期末のスクール数が前期末比1校減の13校(統廃合により直営1校減)、生徒数は同83名減の843名となったことで売上高は減収となったものの、当面は収益改善を優先していく方針を打ち出しており、営業利益は7期ぶりの黒字に転換した。スクール形態を、将来のプロ選手を目指すための本格的な技術を身に付けることを目的とした明光サッカーアカデミーと、実践的なスキルを身に付けサッカーが上手くなる楽しさを提供する明光サッカースクールの2形態に運営体制を見直したことも収益改善に寄与したと見られる。
外国人向け日本語学校事業は連結子会社の早稲田EDUが運営する「早稲田EDU日本語学校」と、国際人材開発(株)が運営する「JCLI日本語学校」で展開している。2社合計の売上高は前期比10.7%増の1,317百万円、営業利益は52百万円となった。のれん償却費(169百万円)控除前営業利益で見ると221百万円となっており、利益率は約17%と高収益事業となっている。中国や東南アジア等からの留学生増加を背景に、両校とも生徒数の増加基調が続いているのが要因だ。「早稲田EDU日本語学校」の期末生徒数は前期末比89名増の686名となった。校舎が手狭となったため、2017年12月に約1.5倍の規模となる新校舎(東京都新宿区市谷)に移転しており、定員数も現在の710名からさらに増員することが可能となっている。一方、「JCLI日本語学校」の期末生徒数は前期末比13名増の1,131名となった。同校についても従来は3つの拠点に分散して運営していたが、今後の生徒数増加を見越して、2018年10月に新校舎1拠点(東京都北区豊島)に移転統合し、校舎規模も約1.4倍に拡張している。定員数は現在1,380名だが、今後需要動向を見極めながら定員数を引き上げていく予定にしている。
連結子会社の古藤事務所については、売上高が前期比52百万円増加の518百万円と好調に推移した。主軸の大学入試問題ソリューション業務において、新規受注が増加したことが要因だ。一方、連結子会社のユーデックの売上高は同46百万円減少の633百万円となった。進学模擬試験のサービスが低調だったことによる。また、その子会社である晃洋書房は学術専門書の新刊発行や再販点数が増加したことにより、売上高は前期比67百万円増加の352百万円と好調に推移した。これら学校支援事業及び学術専門書出版事業を合計した売上高は1,503百万円、営業利益は188百万円となり、前期比で増収増益となった。
その他としてプログラミング教室やICTを活用した新たな教育サービスが含まれている。特に、プログラミング教室については2020年度より小学校で必修科目となることもあって関心度が高く、首都圏や関西の明光義塾、明光キッズ約30教室にて開設しているが受講者数も順調に増加していると言う。
財務内容は引き続き良好なものの、収益性の回復が喫緊の課題に
3. 財務状況と経営指標
2018年8月期末の財務状況は、総資産が前期末比478百万円減少の18,835百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現預金が1,314百万円減少した。ケイラインの株式取得費用並びに配当金の支払い等が要因となっている。また、固定資産ではケイラインの子会社化によってのれんが192百万円増加したほか、保有株式の株価上昇を主因として投資有価証券が636百万円増加した。
負債合計は前期末比398百万円減少の4,498百万円となった。流動負債では未払法人税等が790百万円、未払消費税等が194百万円それぞれ減少した一方で、ケイラインの子会社化により前受金が224百万円増加した。固定負債ではその他有価証券評価差額金の増加等により繰延税金負債が175百万円増加している。また、純資産は前期末比79百万円減少の14,336百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益657百万円やその他有価証券評価差額金が346百万円増加した一方で、配当金支出1,088百万円が減少要因となった。
経営指標を見ると、負債の減少に伴い自己資本比率は前期末の74.5%から76.0%と若干上昇し、また有利子負債比率も0.5%と実質無借金経営を維持していることから、財務内容は良好な状態が続いていると判断される。課題は収益性の低下にあり、ROEは前期の14.8%から4.6%に、売上高営業利益率は13.5%から7.5%にそれぞれ大きく低下している。前述した通り、明光義塾事業において生徒数の減少傾向が続き、業績が悪化していることが要因となっている。このため、喫緊の経営課題は明光義塾事業の収益力回復にあると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(4)その他事業
明光ネットワークジャパン<4668>のその他事業の売上高は前期比9.0%増の3,899百万円、セグメント利益は同81.0%増の151百万円となった。日本語学校や古藤事務所ののれん償却費(243百万円)を含めた償却前セグメント利益で見れば、前期比20.8%増の395百万円となり利益率も10%を突破した。日本語学校事業やキッズ事業、古藤事務所を中心に大半の事業が増収となっており、また、利益面では日本語学校や古藤事務所の増益に加え、キッズ事業が事業開始以降初めて黒字化したことも増益要因となった。
主力事業の動向を見ると、早稲田アカデミー個別進学館の売上高は前期比25百万円増加の372百万円、営業損失は11百万円(前期は11百万円の損失)となった。期末の校舎数は前期末比で3校増(同社直営1校増、FC1校増、早稲田アカデミー直営1校増)の35校(同社直営7校、MAXIS直営5校、FC校11校、早稲田アカデミー直営12校)となり、在籍生徒数は全校舎で同244名増の2,839名となった。1校舎当たり期末生徒数は校舎新設の影響もあって前期末比横ばいの81.1人にとどまったが、難関校合格実績に対する認知度の向上により、既存校については着実に生徒数が増加している。
キッズ事業については、学童保育の需要増加を追い風に売上高は前期比62百万円増加の298百万円、営業利益は3百万円となった。直営スクールにおける生徒数増加に加えて、当期は早期に収益化が可能な学童保育の運営受託サービスを強化したことが収益増につながった。期末のスクール数は19スクール(直営7スクール、学童クラブ施設1施設、運営受託等11施設)で前期末比4スクール増加し(運営受託等で4施設増)、在籍スクール生は同220名増の1,002名となった。
運営受託としては、東京都練馬区の民間学童保育事業の運営受託を受注したほか、私立小学校(埼玉県さいたま市)の学校内学童保育、幼稚園(神奈川県平塚市)におけるキッズスクールの運営受託、日本総合住生活との連携によるアフタースクール「J Smile Kids」運営等、様々な形態での運営受託案件の受注を獲得した。運営受託については固定費負担が人件費のみのため、初年度からの利益貢献が期待できる。このため同社では、今後も地方自治体や学校法人、幼稚園等からの運営受託サービスを拡大していく方針となっている。
サッカー事業の売上高は前期比10百万円減少の141百万円、営業利益は7百万円(前期は1百万円の損失)となった。期末のスクール数が前期末比1校減の13校(統廃合により直営1校減)、生徒数は同83名減の843名となったことで売上高は減収となったものの、当面は収益改善を優先していく方針を打ち出しており、営業利益は7期ぶりの黒字に転換した。スクール形態を、将来のプロ選手を目指すための本格的な技術を身に付けることを目的とした明光サッカーアカデミーと、実践的なスキルを身に付けサッカーが上手くなる楽しさを提供する明光サッカースクールの2形態に運営体制を見直したことも収益改善に寄与したと見られる。
外国人向け日本語学校事業は連結子会社の早稲田EDUが運営する「早稲田EDU日本語学校」と、国際人材開発(株)が運営する「JCLI日本語学校」で展開している。2社合計の売上高は前期比10.7%増の1,317百万円、営業利益は52百万円となった。のれん償却費(169百万円)控除前営業利益で見ると221百万円となっており、利益率は約17%と高収益事業となっている。中国や東南アジア等からの留学生増加を背景に、両校とも生徒数の増加基調が続いているのが要因だ。「早稲田EDU日本語学校」の期末生徒数は前期末比89名増の686名となった。校舎が手狭となったため、2017年12月に約1.5倍の規模となる新校舎(東京都新宿区市谷)に移転しており、定員数も現在の710名からさらに増員することが可能となっている。一方、「JCLI日本語学校」の期末生徒数は前期末比13名増の1,131名となった。同校についても従来は3つの拠点に分散して運営していたが、今後の生徒数増加を見越して、2018年10月に新校舎1拠点(東京都北区豊島)に移転統合し、校舎規模も約1.4倍に拡張している。定員数は現在1,380名だが、今後需要動向を見極めながら定員数を引き上げていく予定にしている。
連結子会社の古藤事務所については、売上高が前期比52百万円増加の518百万円と好調に推移した。主軸の大学入試問題ソリューション業務において、新規受注が増加したことが要因だ。一方、連結子会社のユーデックの売上高は同46百万円減少の633百万円となった。進学模擬試験のサービスが低調だったことによる。また、その子会社である晃洋書房は学術専門書の新刊発行や再販点数が増加したことにより、売上高は前期比67百万円増加の352百万円と好調に推移した。これら学校支援事業及び学術専門書出版事業を合計した売上高は1,503百万円、営業利益は188百万円となり、前期比で増収増益となった。
その他としてプログラミング教室やICTを活用した新たな教育サービスが含まれている。特に、プログラミング教室については2020年度より小学校で必修科目となることもあって関心度が高く、首都圏や関西の明光義塾、明光キッズ約30教室にて開設しているが受講者数も順調に増加していると言う。
財務内容は引き続き良好なものの、収益性の回復が喫緊の課題に
3. 財務状況と経営指標
2018年8月期末の財務状況は、総資産が前期末比478百万円減少の18,835百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現預金が1,314百万円減少した。ケイラインの株式取得費用並びに配当金の支払い等が要因となっている。また、固定資産ではケイラインの子会社化によってのれんが192百万円増加したほか、保有株式の株価上昇を主因として投資有価証券が636百万円増加した。
負債合計は前期末比398百万円減少の4,498百万円となった。流動負債では未払法人税等が790百万円、未払消費税等が194百万円それぞれ減少した一方で、ケイラインの子会社化により前受金が224百万円増加した。固定負債ではその他有価証券評価差額金の増加等により繰延税金負債が175百万円増加している。また、純資産は前期末比79百万円減少の14,336百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益657百万円やその他有価証券評価差額金が346百万円増加した一方で、配当金支出1,088百万円が減少要因となった。
経営指標を見ると、負債の減少に伴い自己資本比率は前期末の74.5%から76.0%と若干上昇し、また有利子負債比率も0.5%と実質無借金経営を維持していることから、財務内容は良好な状態が続いていると判断される。課題は収益性の低下にあり、ROEは前期の14.8%から4.6%に、売上高営業利益率は13.5%から7.5%にそれぞれ大きく低下している。前述した通り、明光義塾事業において生徒数の減少傾向が続き、業績が悪化していることが要因となっている。このため、喫緊の経営課題は明光義塾事業の収益力回復にあると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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