三井E&S、今期経常を一転赤字に下方修正、未定だった配当は無配継続

配信元:株探
投稿:2018/10/31 15:00
 三井E&Sホールディングス <7003> が10月31日大引け後(15:00)に業績・配当修正を発表。19年3月期の連結経常損益を従来予想の200億円の黒字→200億円の赤字(前期は30億6100万円の黒字)に下方修正し、一転して赤字見通しとなった。
 なお、4-9月期(上期)の業績見通しは引き続き開示しなかった。

 同時に、従来未定としていた期末一括配当を見送る(前期は無配)とし、無配継続する方針とした。

株探ニュース

会社側からの【修正の理由】
 1.連結決算における損失の計上 当社グループのエンジニアリング事業において、現在、インドネシア共和国で建設中の火力発電所土木建築工事で大幅な採算悪化が見込まれることとなりました。 本工事は、火力発電所建設工事のEPC を担うコンソーシアムの下で、土木建築工事一式を請負うものです。 2018 年7月に、海上取放水管工事において、海中に据え付け済みのガラス繊維強化プラスチック製の配管(GRP 管)から複数箇所の破断が発見されました。急ぎ原因究明ならびに恒久対策を検討したところ、現地の脆弱な地盤及び厳しい海象条件では、本配管材(GRP)での対策は難しいとの結論に至り、破断箇所の交換に留まらず、配管材を鋼製に変更し、海中に据え付け済みのGRP 管全てを撤去して、据え付けをやり直さざるを得ない状況となりました。これにより、大幅な追加及び後戻り作業が必要となり、多額の追加費用が発生する見込みとなりました。 また、貯炭場及び灰捨て場からの排出雨水の貯水池工事において、貯水量を決定する降雨データについて過去データを基に設計検討を続けておりましたが、顧客との協議の結果、当初想定を大きく上回る必要貯水量や耐震性能を求められ、壁高増対応など物量・工事量共に大幅に増加する見込みとなりました。 更に、上記の影響から後工程の納期遅延が懸念される事態となり、下請け会社に対するアクセラレーション費用(納期を確保するための工期短縮に係る必要な追加費用)や、一部の施設では、後工程を担当するパートナーへの引渡し遅延の懸念が生じ、パートナー所掌の工程の中で工期を回復するために必要な費用負担も見込まれるなど、工程遅延の回復に関して多額の費用が発生する見込みです。 これら全ての状況を勘案し、今後発生が見込まれる追加費用について精査した結果、当第2四半期連結決算において、約243 億円の受注工事損失引当金繰入額を含む約413 億円の損失(売上原価)を計上することといたしました。 本工事の納期は2020 年11 月となっております。当社グループでは、本工事を計画通りに遂行することが最重要であると認識しており、人材の追加派遣など現地要員を増員することにより、管理体制及び顧客対応力を強化し、完遂に向けてあらゆる手段を講じてまいります。 また、多額の損失計上により自己資本が大きく毀損することとなりました。毀損した自己資本の回復、資金の確保も急務であり、これらに対して土地、建物、有価証券等の資産売却や固定費削減など必要なあらゆる損益改善施策を迅速に実行してまいる所存です。2.個別決算における損失の計上 主に前項の損失の計上に伴い、当社個別決算において、関係会社株式評価損として約113 億円、及び関係会社事業損失引当金繰入額約308 億円を特別損失として計上いたします。なお、当該関係会社株式評価損及び関係会社事業損失引当金繰入額は、連結決算では消去されるため連結業績には影響いたしません。3.連結決算における繰延税金資産の取崩しに伴う法人税等の計上 2019 年3月期第2四半期の実績及び通期の業績見通しを総合的に勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討を行った結果、2019 年3月期第2四半期決算において繰延税金資産の一部を取崩すこととし、これにより約134 億円の法人税等(税金費用)を計上いたします。4.連結業績予想の修正 売上高はその他セグメントにおいて受注計画の遅れに伴い下振れするものの、全体ではほぼ計画どおりに推移しています。営業利益及び経常利益は、主として上記1項の理由により前回発表予想を下回ります。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減益並びに上記3項の影響により下方修正いたします。

  前回予想(2018 年4月27 日)では期末配当を未定としておりましたが、通期連結業績予想を修正する状況等を勘案し、誠に遺憾ではございますが期末配当を無配とする予定です。株主の皆様をはじめとする関係者の方々に改めて深くお詫び申しあげます。 当社は、本年4月より純粋持株会社体制へ移行するなど、事業の選択と集中を加速してまいりました。さらには、10 月11 日にプレスリリースいたしました造船事業における合弁会社設立に関する協定締結など、他社との協業等の大胆な戦略実行を進め、一層の企業価値の向上に取り組んでおります。事業構造の改革を進めると共に着実な業績の回復、財務体質の改善を図っていく所存です。役員報酬の減額 上記のとおり、本工事において多額の損失を計上し、業績予想及び配当予想を修正いたしましたことは、株主の皆様をはじめとする関係者の方々の信用を失うものであります。 このような状況を厳粛に受け止め、経営責任を明確にすべく以下のとおり社内取締役の役員報酬の一部減額を実施いたします。(1)報酬減額率   社長            月額報酬の35%   副社長           月額報酬の25%   取締役           月額報酬の15%(2)報酬減額期間   2018 年11 月から2019 年6 月まで(8ヶ月間) なお上記の他、社外取締役より報酬の一部自主返上の申し入れがありましたので、あわせてお知らせいたします。
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