ドル円は下げ渋るも上値重い 株安への警戒が続く=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2018/10/16 06:10
 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って下げ渋ったものの依然として上値が重い。サウジの緊張や中国経済への懸念が株式と伴にドル円の上値を抑えている。

 ムニューシン米財務長官が先週のG20で為替条項に言及したが、それに関しては日米の軋轢はさほどないとの見方も少なくない。一方、サウジに関しては、原油相場も落ち着いており動向を見守りたいといった雰囲気もあるようだ。

 先週急落した株式市場は依然として上値は重いものの、次第に落ち着きを取り戻しつつある。VIX指数も節目の20ポイント付近まで戻している。ドル円の上値期待は温存されているものと思われるが、なお上値の重い展開が続いている。

 朝方発表になった9月の米小売売上高は予想を下回る内容となった。ただ、飲食店の落ち込みが予想以上に圧迫していたようだが、ハリケーン「フローレンス」が影響したものと見られる。飲食店や自動車、建材、ガソリンを除いたコア売上高は逆に予想を若干上回っていた。米個人消費のセンチメントは引き続き底堅いものと思われる。

 一方、ユーロドルは1.15ドル台後半での推移。サウジの緊張や米中貿易問題への懸念からドル売りが優勢となったことがユーロドルをサポートしている。ただ、ユーロには逆風が吹いている。週末にドイツ南部バイエルン州議会選が投開票され、与党の中道右派・キリスト教社会同盟(CSU)が歴史的大敗を喫した。メルケル首相の難民政策への批判が表面化した格好。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)との大連立政権の先行きに暗雲が立ち込めている。また、イタリア財政への懸念も根強く、更に英国とのEU離脱交渉がアイルランドの国境問題でいまだ合意を得られずにいる。

 ユーロ円も130円台を維持できずに上値が重い。100日線はかろうじて維持したものの、下向きの流れが続いており浮上の気配が見られていない。

 ポンドも底堅いものの上値には慎重になってきている。きょうはメイ英首相の演説が伝わっており「北アイルランド国境問題で前進が見られている。しかし、2,3の重要な問題を解決する必要がある」と述べた。メイ首相の発言が伝わった直後はポンド買いの反応も見られたのの、すぐに戻り売りに押されている。合意に向けて前進は見られているとしているものの、問題はなお残っているとしており情勢は混沌としているようだ。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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