国内株式市場見通し:企業決算を見据えて戻りを試す展開か

配信元:フィスコ
投稿:2018/10/06 14:56
日経平均、NYダウともに週末にかけ失速

先週の日経平均は下落した。2日に年初来高値となる24448.07円まで上昇したものの、その後は24000円台割れへの調整を見て、週間では4週ぶりに反落した。114円台に迫る円安基調も追い風に、1日の日経平均は続伸のスタートとなり、インデックス売買主導の上昇でザラ場の年初来高値を更新した。2日は、米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が合意され、NYダウの3日続伸を受けて日経平均も上昇した。一段高後は円安の一服もあって伸び悩んだものの、本庶佑京都大特別教授のノーベル医学生理学賞決定で関連銘柄の小野薬品<4528>が人気化したこともあり、日経平均は3日続伸となった。しかし、イタリアの財政不安から円高となると、9月半ばからの急ピッチな上昇も意識されて利益確定の売りが先行する展開に転じ、日経平均は5日にかけて3日続落となった。この間、イタリアの財政不安は収束に向かったものの、香港や韓国など休場中の中国市場を除くアジア株式市場が全面安となったことも影響した。一方、NYダウはNAFTA合意と好調な経済指標の発表から3日にかけて5日続伸したものの、5日にかけては大幅続落した。米国時間5日朝方に発表された9月の米雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想を下回り、賃金上昇率はやや鈍化、失業率は1969年以来の水準に低下した。米金融当局が年内4回目の利上げを実施し、2019年にさらに数回引き上げるとの見通しは、今回の失業率の一段の低下で強まったとされ、米債利回りが引き続き上昇しNYダウの圧迫要因になった。

日経平均は短期的な戻りを試す

今週の日経平均は前半で短期的な戻りを試し、その後はもみ合う展開が予想される。9月米雇用統計を受けて長期金利が上昇(米10年物国債利回りは一時3.24%)しNYダウは大幅続落となった。金利上昇は、高バリュエーション銘柄の割高感を強めて売り圧力につながるほか、新興国通貨安などを通じて金融市場を再び不安定にする可能性が懸念される。テクニカル的にも、日経平均は4日に5日移動平均線を割り込み、新値三本足も陰転したことで調整モードとなっている。低下してくる5日移動平均線を回復できない場合は、調整が継続する可能性がある。ただ、米金利上昇による調整は、今年前半に続き2度目でありマーケットの耐性は高まっているとも考えられる。3連休を控えた5日にかけて目先の利益確定売りが一巡している可能性があり、値幅にして486.9円も3日続落で下げた日経平均はリバウンドも試されるところだ。5日には、日銀によるETF買い703億円が9月26日以来7営業日ぶりに流入したことも一つのポイントだ。

■海外投資家買いと決算発表が刺激材料

また、需給的には海外投資家の買い参戦が追い風となる。9月第4週(25日から28日)の投資主体別売買動向で、海外投資家は3771億円強の買い越しと前週を約1000億円上回る買い越し額となった。10月24日に召集される予定の臨時国会で補正予算が決定されれば、海外投資家買いがさらに膨らむ期待もある。このほか、台風など悪天候の影響が警戒される2月期・8月期企業の本決算・第2四半期決算が11日のファーストリテイリング<9983>、7&Iホールディングス<3382>などでヤマ場を迎えるが、上半期の増額修正を発表したユニー・ファミマ<8028>が5日に素直に好感されて大幅高となったことは、今月下旬から始まる3月期企業の上半期決算発表を控えてプラスと捉えられる展開だ。5日の米国9月の雇用統計発表後でも、為替が1ドル113円台後半での円安水準で落ち着いていることも支援材料となろう。

■8月機械受注、米9月財政収支、中国9月貿易収支

今週の主な国内経済関連スケジュールは、9日に8月国際収支、9月景気ウォッチャー調査、10日に8月機械受注、9月工作機械受注、11日に9月国内企業物価指数、12日に9月マネーストック、8月第三次産業活動指数が発表される。週初の8日は体育の日で東京市場は休場。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、8日はIMF・世銀年次総会(14日まで、インドネシア)、米・コロンブスデーで債券市場が休場、10日に米9月生産者物価、11日にG20財務大臣・中央銀行総裁会議(12日まで、インドネシア)、米9月消費者物価、米9月財政収支、12日に中国9月貿易収支、米9月輸出入物価がそれぞれ発表、開催される予定だ。このほか、国内外で予定されているイベントとしては、第10回日メコン首脳会議(9日まで、東京)、10日は北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日などの予定がある。このうち、日メコン首脳会議では、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの首相および最高顧問が来日する。なかで、ミャンマーからはアウン・サン・スー・チー連邦共和国国家最高顧問が来日し福島県も訪問する。また、2月期・8月期企業の本決算、第2四半期決算発表が本格化する。10日はイオン<8267>安川電機<6506>、11日はファーストリテイリング<9983>、7&Iホールディングス<3382>、ユニー・ファミマ<8028>、12日は高島屋<8233>東宝<9602>などがそれぞれ発表する。


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