■中長期の成長戦略と主なトピックス
3. RPAへの取り組み:自社
前述のように、業務自動化に資すると期待されるRPAへの注目度は、AIと並んで日増しに高まっている状況だ。電算システム<3630>は販売代理店として2社のRPA商品を取り扱っている。その引き合いは非常に活発であるが、一方で、RPAの本格拡販には慎重なスタンスで構えている。理由はRPA事業の収益性が不透明であるためだ。RPA商材の価格が比較的低価格であるわりに、導入サポートにかなりの人手と時間を要することが背景にある。いわゆる手離れの悪い商材ということだ。導入企業数が一定数をこえてくればしっかり収益を出せる見通しだが、そのラインに到達するまでの時間を如何に短縮するか、言い方を変えれば、いかにロケットスタート的に販売を伸ばすかが事業の成功のカギになるとみられる。
こうした状況のなか同社は、自社のBPO事業にRPAを導入し業務の効率化を実践する計画だ。自身の手でRPAの効果について実証実験を行い、その成果を販売支援ツールとして活用し、RPA商材の一気の拡販を狙うものとみられる。
具体的事例としては、手書き書類の専用端末への登録業務の自動化や、ExcelファイルのFAX送信業務の自動化などが挙げられている。成功すれば作業時間が劇的に短縮化される見通しだが、まずはRPA導入の効果を見守りたい。
前期に引き続いて新サービスを矢継ぎ早に投入。PCIDSSの認証取得でクレジットカードも事業領域に取り込み
4. 収納代行サービス
収納代行サービスでは、主力の決済サービスの中核商材であるコンビニ払込票決済サービスにおいて、成長は続いているものの、成長率がかつてに比べて低下した印象もある。大まかなイメージで言えば、従来は年10%成長だったものが最近は5%成長に低下したというイメージだ。しかし、同社はただ指をくわえてみているわけではない。収納代行の分野における新たなサービスを次々に打ち出している。2017年12月期に引き続き、2018年12月期はこれまでに、以下のような施策を実施した。
2018年2月には、ウエルシアホールディングスとの間で、傘下のドラッグストア全店舗に収納代行窓口サービス『Biz@gent』(ビズエージェント)を導入することで合意した。この合意に基づき753店舗が追加され、ウエルシアグループの約1,400店すべてに導入された。
2018年4月にはLINE Pay(株)との間で、代金収納事務委託契約を締結した。これは同社が収納代行を受託している企業(例えば通販会社)が発行する払込票のバーコードを、利用者が「LINE Pay 請求書支払い」アプリで読み込み、「LINE Pay」の残高から支払いを行うというものだ。
2018年6月からはポーラ・オルビスホールディングス<4927>の事業子会社であるオルビス(株)と提携し、オルビスの無料スマートフォンアプリ「ORBISアプリ」上に電子バーコードを表示させるインターフェースを提供するとともに、表示された電子バーコードによるコンビニ収納代行サービス(PAYSLEサービス)を開始した。
前述の「LINE Pay請求書支払い」と「ORBISアプリ」のケースは、利用者の利便性が向上に資することはもちろんのこと、同社にとっては“払込票⇒クレジットカード”という流れを止め、(ペーパーレスも含めた広義の)払込票サービスに利用者をとどめる効果が期待される。
これに加えて同社は、6月30日付でPCIDSS※準拠の認証を取得した。これにより、クレジットカード情報を取扱う決済等のサービスを提供している企業(クレジットカード加盟店)に対して、アドバイス、支援、対応ができるようになった。具体的には、加盟店やサービスプロバイダに対して、1)継続決済用のカード情報の登録、お預かりサービス、2)クレジットカード決済代行サービス、の提供がある。
※PCIDSSは国際カードブランド5社が共同で設立したPCI SSCによって運用管理されているグローバルセキュリティ基準。日本では日本カード情報セキュリティ協議会が運用している。
割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)の施行に併せ、同社のPCIDSS準拠の認証取得は、クレジットカード関連のサービスにおいて、同社もクレジットカード決済の拡大の恩恵を受けるための体制ができたことになる。一口にクレジットカード関連と言ってもその関与の仕方は様々だ。同社が今後、クレジットカードの領域でどのように事業展開を行っていくか注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<SF>
3. RPAへの取り組み:自社
前述のように、業務自動化に資すると期待されるRPAへの注目度は、AIと並んで日増しに高まっている状況だ。電算システム<3630>は販売代理店として2社のRPA商品を取り扱っている。その引き合いは非常に活発であるが、一方で、RPAの本格拡販には慎重なスタンスで構えている。理由はRPA事業の収益性が不透明であるためだ。RPA商材の価格が比較的低価格であるわりに、導入サポートにかなりの人手と時間を要することが背景にある。いわゆる手離れの悪い商材ということだ。導入企業数が一定数をこえてくればしっかり収益を出せる見通しだが、そのラインに到達するまでの時間を如何に短縮するか、言い方を変えれば、いかにロケットスタート的に販売を伸ばすかが事業の成功のカギになるとみられる。
こうした状況のなか同社は、自社のBPO事業にRPAを導入し業務の効率化を実践する計画だ。自身の手でRPAの効果について実証実験を行い、その成果を販売支援ツールとして活用し、RPA商材の一気の拡販を狙うものとみられる。
具体的事例としては、手書き書類の専用端末への登録業務の自動化や、ExcelファイルのFAX送信業務の自動化などが挙げられている。成功すれば作業時間が劇的に短縮化される見通しだが、まずはRPA導入の効果を見守りたい。
前期に引き続いて新サービスを矢継ぎ早に投入。PCIDSSの認証取得でクレジットカードも事業領域に取り込み
4. 収納代行サービス
収納代行サービスでは、主力の決済サービスの中核商材であるコンビニ払込票決済サービスにおいて、成長は続いているものの、成長率がかつてに比べて低下した印象もある。大まかなイメージで言えば、従来は年10%成長だったものが最近は5%成長に低下したというイメージだ。しかし、同社はただ指をくわえてみているわけではない。収納代行の分野における新たなサービスを次々に打ち出している。2017年12月期に引き続き、2018年12月期はこれまでに、以下のような施策を実施した。
2018年2月には、ウエルシアホールディングスとの間で、傘下のドラッグストア全店舗に収納代行窓口サービス『Biz@gent』(ビズエージェント)を導入することで合意した。この合意に基づき753店舗が追加され、ウエルシアグループの約1,400店すべてに導入された。
2018年4月にはLINE Pay(株)との間で、代金収納事務委託契約を締結した。これは同社が収納代行を受託している企業(例えば通販会社)が発行する払込票のバーコードを、利用者が「LINE Pay 請求書支払い」アプリで読み込み、「LINE Pay」の残高から支払いを行うというものだ。
2018年6月からはポーラ・オルビスホールディングス<4927>の事業子会社であるオルビス(株)と提携し、オルビスの無料スマートフォンアプリ「ORBISアプリ」上に電子バーコードを表示させるインターフェースを提供するとともに、表示された電子バーコードによるコンビニ収納代行サービス(PAYSLEサービス)を開始した。
前述の「LINE Pay請求書支払い」と「ORBISアプリ」のケースは、利用者の利便性が向上に資することはもちろんのこと、同社にとっては“払込票⇒クレジットカード”という流れを止め、(ペーパーレスも含めた広義の)払込票サービスに利用者をとどめる効果が期待される。
これに加えて同社は、6月30日付でPCIDSS※準拠の認証を取得した。これにより、クレジットカード情報を取扱う決済等のサービスを提供している企業(クレジットカード加盟店)に対して、アドバイス、支援、対応ができるようになった。具体的には、加盟店やサービスプロバイダに対して、1)継続決済用のカード情報の登録、お預かりサービス、2)クレジットカード決済代行サービス、の提供がある。
※PCIDSSは国際カードブランド5社が共同で設立したPCI SSCによって運用管理されているグローバルセキュリティ基準。日本では日本カード情報セキュリティ協議会が運用している。
割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)の施行に併せ、同社のPCIDSS準拠の認証取得は、クレジットカード関連のサービスにおいて、同社もクレジットカード決済の拡大の恩恵を受けるための体制ができたことになる。一口にクレジットカード関連と言ってもその関与の仕方は様々だ。同社が今後、クレジットカードの領域でどのように事業展開を行っていくか注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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