■中長期の成長戦略
1. 成長力・収益力の強化
冨士ダイス<6167>はこれまできめ細かい顧客対応を実行するために、積極的に生産拠点づくりを行ってきたが、IT化や物流網の進化などを考慮し、国内は生産特性を考慮した製品や生産拠点の集約、再構築を進めている。既に熊本製造所に新工場を建設し複雑形状製品を中心に集約。また郡山製造所は単純丸物形状の製品を主力に、光学部品向け超精密加工品なども手掛ける工場に、岡山製造所は大型製品に注力する。加えてIT化による情報一元化やロボット導入による自動化ラインの構築などで生産効率10%以上の改善施策を実行中である。
2. 新製品開発・新技術開発、顧客ニーズの変化への柔軟な対応
同社は新製品・新技術の開発をスピードアップさせるために産学連携や他社との連携・協働を進める方向にある。現在、成長分野への研究、開発に注力しているが、具体的には次世代自動車開発、航空・宇宙、医療・化粧品、環境・エネルギー、その他新素材開発などである。
会社側では成長分野の進捗状況を開示しているが、具体的にサンプル出荷を始めたものや、実際に販売を始めたものも多い。
特に注目すべきは次世代自動車向けに開発中のモーターコア用抜き金型。EVやHV、PHVなどのモーターの重要部品であるモーターコアは、モーター性能の向上のために電磁鋼板の薄肉化が進み、それを打抜く超硬合金製の金型形状精度の向上が求められ、放電加工性に優れ、耐チッピング性(加工中に突発欠損すること)に優れた超硬合金を必要とする。同社は従来のタングステンカーバイド系超硬合金と比較し耐食性、破壊靭性に優れる放電加工に適したフジロイVシリーズ超硬合金(代表的にはVD45、TVD55)を開発、既に多くのユーザーに供給している。しかし更なる電動化の中で、耐摩耗性と耐チッピング性の両方の性能を満たす新素材の開発に成功し、現在サンプル出荷しているが2019年には販売開始を狙う。またその他分野では赤外線レンズ用金型も注目度が高い。同社は従来から一眼レフなどの光学レンズ用超精密金型で高い納入実績を誇ってきたが、今後、自動車の自動運転、防犯システムとしての防犯カメラニーズの高まりから、赤外線光学レンズの需要拡大をにらみ、開発を加速させていた。2017年11月には特許公開となり、現在サンプル出荷中である。同市場も潜在成長力が高い分野だけに、具体化となれば楽しみな新製品と言える。このほかにも同社の高い技術力を背景に新製品、新技術が開花しつつあり、中長期的に同社収益を支えることとなるだろう。
3. 海外展開の加速
同社はこれまで、多品種少量生産、受注生産直販システムを売り物として、国内での確固たる顧客基盤のもとで成長を実現してきたが、今後は海外子会社、輸出の両輪で売上拡大を目指す。2018年3月期は前期比18.8%増の2,935百万円と伸長、低迷していたタイが回復、中国向けが力強い動きとなり、海外売上高比率は16.3%と1.5ポイント向上した。なお、同社が得意としている超精密、耐摩耗性能を必要とする顧客は国内発注で実際は海外利用の事例も多く、実質的な海外売上比率は20%を超えているものと思われる。今後海外子会社での付加価値の高い製品群の製品強化、輸出の拡大、また海外販売網の強化で両輪での海外売上拡大を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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1. 成長力・収益力の強化
冨士ダイス<6167>はこれまできめ細かい顧客対応を実行するために、積極的に生産拠点づくりを行ってきたが、IT化や物流網の進化などを考慮し、国内は生産特性を考慮した製品や生産拠点の集約、再構築を進めている。既に熊本製造所に新工場を建設し複雑形状製品を中心に集約。また郡山製造所は単純丸物形状の製品を主力に、光学部品向け超精密加工品なども手掛ける工場に、岡山製造所は大型製品に注力する。加えてIT化による情報一元化やロボット導入による自動化ラインの構築などで生産効率10%以上の改善施策を実行中である。
2. 新製品開発・新技術開発、顧客ニーズの変化への柔軟な対応
同社は新製品・新技術の開発をスピードアップさせるために産学連携や他社との連携・協働を進める方向にある。現在、成長分野への研究、開発に注力しているが、具体的には次世代自動車開発、航空・宇宙、医療・化粧品、環境・エネルギー、その他新素材開発などである。
会社側では成長分野の進捗状況を開示しているが、具体的にサンプル出荷を始めたものや、実際に販売を始めたものも多い。
特に注目すべきは次世代自動車向けに開発中のモーターコア用抜き金型。EVやHV、PHVなどのモーターの重要部品であるモーターコアは、モーター性能の向上のために電磁鋼板の薄肉化が進み、それを打抜く超硬合金製の金型形状精度の向上が求められ、放電加工性に優れ、耐チッピング性(加工中に突発欠損すること)に優れた超硬合金を必要とする。同社は従来のタングステンカーバイド系超硬合金と比較し耐食性、破壊靭性に優れる放電加工に適したフジロイVシリーズ超硬合金(代表的にはVD45、TVD55)を開発、既に多くのユーザーに供給している。しかし更なる電動化の中で、耐摩耗性と耐チッピング性の両方の性能を満たす新素材の開発に成功し、現在サンプル出荷しているが2019年には販売開始を狙う。またその他分野では赤外線レンズ用金型も注目度が高い。同社は従来から一眼レフなどの光学レンズ用超精密金型で高い納入実績を誇ってきたが、今後、自動車の自動運転、防犯システムとしての防犯カメラニーズの高まりから、赤外線光学レンズの需要拡大をにらみ、開発を加速させていた。2017年11月には特許公開となり、現在サンプル出荷中である。同市場も潜在成長力が高い分野だけに、具体化となれば楽しみな新製品と言える。このほかにも同社の高い技術力を背景に新製品、新技術が開花しつつあり、中長期的に同社収益を支えることとなるだろう。
3. 海外展開の加速
同社はこれまで、多品種少量生産、受注生産直販システムを売り物として、国内での確固たる顧客基盤のもとで成長を実現してきたが、今後は海外子会社、輸出の両輪で売上拡大を目指す。2018年3月期は前期比18.8%増の2,935百万円と伸長、低迷していたタイが回復、中国向けが力強い動きとなり、海外売上高比率は16.3%と1.5ポイント向上した。なお、同社が得意としている超精密、耐摩耗性能を必要とする顧客は国内発注で実際は海外利用の事例も多く、実質的な海外売上比率は20%を超えているものと思われる。今後海外子会社での付加価値の高い製品群の製品強化、輸出の拡大、また海外販売網の強化で両輪での海外売上拡大を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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