■業績の動向
サンコーテクノ<3435>の2018年3月期決算は、売上高16,326百万円(前期比5.3%増)、営業利益1,159百万円(同3.1%増)、経常利益1,162百万円(同3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益796百万円(同0.7%増)と、3期ぶりに増収増益で着地した。
期初予想との比較では、売上高は計画に対して上振れで着地したが、営業利益以下は原材料価格の上昇等により、わずかに及ばなかった。
ファスニング事業は、売上高12,865百万円(前期比8.5%増)、営業利益1,674百万円(同8.3%増)と増収増益となった。期初の計画に対しても、売上高、営業利益ともに上回った。主力の金属系あと施工アンカーは、建築主体に各種設備工事等の需要が回復し、前期比増収となった。接着系あと施工アンカーは、耐震工事補強工事や太陽光発電関連工事の減少により、前期に引続き低迷した。工事部門では土木・インフラ関連の設備工事が増加して大幅増収となった。利益面では、鋼材など原材料価格の上昇で利幅が圧縮されたものの、増収効果により前期比増益を確保した。
機能材事業は、売上高3,460百万円(前期比4.9%減)、営業利益412百万円(同7.3%減)と、減収減益となった。同社は成長性や採算性の観点から製品ラインアップを見直し、2018年3月期の期中において二重床関連製品とハウスメーカー関連製品の販売を終了した。この影響を除くと、実態的には前期比横ばいだったものと弊社では推測している。電動油圧工具関連上は、輸出向けは堅調だったものの、国内販売が前期に引続いて低調に推移し、減収となった。国内の低調の理由の1つは新型製品の発売を控えた買控えだった。この新型製品は2018年2月の発売のため、2018年3月期決算への貢献は限定的だった。アルコール検知器関連は従来からのタクシー・トラック業界に加えて鉄道・バス会社への納入実績を複数積上げ、前期比2ケタ増収となった。FRPシート関連は二重床、ハウスメーカー関連製品の販売終了で減収となった。
2018年3月期業績の特徴は、過去数年間の同社の業績停滞の主因であった太陽光発電関連工事や耐震補強工事に下げ止まり感が出てきたことと、一方で土木・インフラ関連の分野の需要が急速に高まってきていることだ。
太陽光発電関連については、かつては部材供給と工事の両方で収益を上げていたが、ここ数年の環境急変を受けて現在では部材供給に集中している。また耐震工事については、建設業界が慢性的な人手不足にあることや緊急性の高い物件は既に耐震補強工事を終えていることもあり、需要回復は当面(東京オリンピック・パラリンピック後まで)先送りになると見られる。2018年3月期は需要減少が続いたが、2017年3月期までと比べて減少ペースは大きく緩和された。
土木・インフラ関連の需要が伸びている背景は、補修・保全の需要の高まりだ。特にトンネルや橋梁など道路関連や駅構内のリニューアル工事などから需要が増加している。土木・インフラ向けに対しては、かつては部材供給が主体で工事関連の受注は少なかった。工事関連の売上げを建築と土木に分けると、かつては7対3で建築が圧倒的だった。それがここ数年、土木向け需要の増加で逆転し、2018年3月期は土木が7割を占めるに至っている。
工事部門の構成比の変化は、太陽光発電関連の急減と土木・インフラの急増が同時期に起こった影響もあると考えられるが、工事部門の売上高(完成工事高)自体も増加基調にある。あと施工アンカーのビジネスが、従来は建築主体で1本足の需要構造だったものが、土木・インフラ関連の成長で2本足構造となり、収益の安定化に大きく貢献すると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MH>
サンコーテクノ<3435>の2018年3月期決算は、売上高16,326百万円(前期比5.3%増)、営業利益1,159百万円(同3.1%増)、経常利益1,162百万円(同3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益796百万円(同0.7%増)と、3期ぶりに増収増益で着地した。
期初予想との比較では、売上高は計画に対して上振れで着地したが、営業利益以下は原材料価格の上昇等により、わずかに及ばなかった。
ファスニング事業は、売上高12,865百万円(前期比8.5%増)、営業利益1,674百万円(同8.3%増)と増収増益となった。期初の計画に対しても、売上高、営業利益ともに上回った。主力の金属系あと施工アンカーは、建築主体に各種設備工事等の需要が回復し、前期比増収となった。接着系あと施工アンカーは、耐震工事補強工事や太陽光発電関連工事の減少により、前期に引続き低迷した。工事部門では土木・インフラ関連の設備工事が増加して大幅増収となった。利益面では、鋼材など原材料価格の上昇で利幅が圧縮されたものの、増収効果により前期比増益を確保した。
機能材事業は、売上高3,460百万円(前期比4.9%減)、営業利益412百万円(同7.3%減)と、減収減益となった。同社は成長性や採算性の観点から製品ラインアップを見直し、2018年3月期の期中において二重床関連製品とハウスメーカー関連製品の販売を終了した。この影響を除くと、実態的には前期比横ばいだったものと弊社では推測している。電動油圧工具関連上は、輸出向けは堅調だったものの、国内販売が前期に引続いて低調に推移し、減収となった。国内の低調の理由の1つは新型製品の発売を控えた買控えだった。この新型製品は2018年2月の発売のため、2018年3月期決算への貢献は限定的だった。アルコール検知器関連は従来からのタクシー・トラック業界に加えて鉄道・バス会社への納入実績を複数積上げ、前期比2ケタ増収となった。FRPシート関連は二重床、ハウスメーカー関連製品の販売終了で減収となった。
2018年3月期業績の特徴は、過去数年間の同社の業績停滞の主因であった太陽光発電関連工事や耐震補強工事に下げ止まり感が出てきたことと、一方で土木・インフラ関連の分野の需要が急速に高まってきていることだ。
太陽光発電関連については、かつては部材供給と工事の両方で収益を上げていたが、ここ数年の環境急変を受けて現在では部材供給に集中している。また耐震工事については、建設業界が慢性的な人手不足にあることや緊急性の高い物件は既に耐震補強工事を終えていることもあり、需要回復は当面(東京オリンピック・パラリンピック後まで)先送りになると見られる。2018年3月期は需要減少が続いたが、2017年3月期までと比べて減少ペースは大きく緩和された。
土木・インフラ関連の需要が伸びている背景は、補修・保全の需要の高まりだ。特にトンネルや橋梁など道路関連や駅構内のリニューアル工事などから需要が増加している。土木・インフラ向けに対しては、かつては部材供給が主体で工事関連の受注は少なかった。工事関連の売上げを建築と土木に分けると、かつては7対3で建築が圧倒的だった。それがここ数年、土木向け需要の増加で逆転し、2018年3月期は土木が7割を占めるに至っている。
工事部門の構成比の変化は、太陽光発電関連の急減と土木・インフラの急増が同時期に起こった影響もあると考えられるが、工事部門の売上高(完成工事高)自体も増加基調にある。あと施工アンカーのビジネスが、従来は建築主体で1本足の需要構造だったものが、土木・インフラ関連の成長で2本足構造となり、収益の安定化に大きく貢献すると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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