■ソフト99コーポレーション<4464>の今後の見通し
2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 中期経営計画の概要
2017年5月に発表した中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期)では、自動車保有に対する一般消費者市場における環境変化(保有から利用へ)が今後も継続することを前提に、その変化に対応しながら既存事業で収益水準の維持向上を図りつつ、新市場の開拓並びに新規事業の創出に取り組んでいく3年間と位置付けている。
中期経営計画のテーマである「SHIFT DOWN !!」の意味するところは、自動車のようにギアを下げる(シフトダウンする)ことによって力強く加速しながら、新たな市場へ飛び込む、あるいは新市場を創りだしていくという意志を示したものとなっている。
最終年度となる2020年3月期の経営数値目標としては、売上高で25,000百万円、営業利益で2,700百万円、ROAで5.2%、ROEで4.0%、総資産売上回転率で0.46回としている。3年間の年平均成長率で見れば、売上高で3.8%、営業利益で3.7%となっている。2018年3月期の業績は市場環境が良好だったこともあり当初計画を上回る結果となったが、2019年3月期は将来の成長に向けた戦略投資の実行により利益水準が下がる見込みとなっている。ただ、これら投資の成果も期待できることから、2020年3月期の目標値は据え置いている。なお、M&Aを実施した場合の目指す収益水準としては売上高で30,000百万円、営業利益で3,200百万円としている。
(2) 分野別の戦略
今回の中期経営計画では、自動車分野、産業分野、生活分野と3つの分野に分けて事業戦略を策定している。2018年3月期の連結売上高に占める構成比で見れば、自動車分野が60%、産業分野が17%、生活分野が23%の比率となっている。
a) 自動車分野
自動車分野では前述したように、市場環境が変化してきていることによって一般消費者向けの需要が今後も厳しさが続くとの認識のもとで、「新時代の自動車において安心・安全・快適を実現」していくことをテーマに、自動車美装の再定義に基づいた新製品の開発、トラック・バス向けTPMSの販売強化と乗用車向けへの展開、自動車鈑金や運転講習等のノウハウを活用した新サービスの開発、海外市場での拡販に注力していく。
自動車美装の再定義による新しい製品、サービスについてはまだ手探りの状態が続いているが、自動車を取り巻く環境の変化を捉え、1年目においては、都心部における洗車場減少に合わせた「水なし洗車」製品の開発、あるいは洗車作業効率化のための新洗車用品シリーズ「マックスウォッシュ」の拡充等が挙げられる。また、今後においては女性ドライバー客をターゲットとした車内ケミカル製品の拡充なども進めるとともに、カーシェアリング等の普及によってクルマを保有する時代から利用する時代に代わっていくなかで、カーシェアリング事業者等の顧客開拓にも注力している。カーシェリング事業者にとってみれば、保有車両を小まめに手入れし清潔感を維持していくことが同業他社との差別化要因の1つになるため、同社が販売できるアイテム数も多い。既にカーシェアリング事業者向けについては、ボディケア製品やコーティング剤などの拡販を進めているが、今後も新規顧客の開拓と同時に販売アイテムの拡充を進めていくことで、売上成長を目指していく。
TPMS事業については、前述したとおりトラック・バス向けの拡販を進めるほか、乗用車のアフターマーケットに展開し、純正製品からのリプレース需要を開拓していく方針。タイヤに取り付けられるセンサーについては定期的に交換が必要になるため、導入台数が拡大すれば安定した収益事業に成長することが予想される。TPMSを搭載すればドライバーの「安全・安心」につながるだけでなく、タイヤ空気圧を常時監視できるため、燃費の向上による環境への貢献にもつながるため、今後の普及拡大が期待される。
海外販売に関しては現状、ロシアを含む欧州、中国を含む東アジア市場で全体の9割を占めているが、今後はこれら地域での拡販に加えて、東南アジア地域やインド、北米、ブラジルなどまだ販売実績が小さいエリアにおいても徐々に売上規模が増え始めていることから、販売強化に取り組んでいく方針となっている。
b) 産業分野
産業分野については「新たな柱となる市場の開拓」をテーマに、ポーラスマテリアル事業では機能性多孔質体の情報・環境・健康産業への展開を進めていく。医療分野では既に、インフルエンザの検査用キットの部材として採用が進んでいるが、今後は部材提供の横展開を進めていくほか、医療機器製造業販売許可を取得し、最終製品の提供による販売の拡大も目指していく方針となっている。
また、ファインケミカル事業ではコーティング製品を屋外構築物や鉄道、航空機、船舶、清掃業界向けに、難接着素材への印刷・接着を可能とする表面改質技術を使ったフレイムボンドを製造現場向けにそれぞれ拡販していく計画となっている。営業強化のため、2017年4月より、ファインケミカル事業の営業組織体制を見直し、産業分野向け専門の営業部隊を組織し、新規顧客の開拓を進めている。産業分野向けの売上規模は年間で1億円程度だが、まだまだ開拓できていない用途がたくさんあると見られ、今後の展開が期待される。
c) 生活分野
生活分野においては「ニッチ市場での存在感確立」をテーマに、メガネケア用品に続く新製品を開発し、市場に投入していく計画となっている。また、インターネット販売事業に注力していく考えだ。
以上、各分野での戦略を新たに子会社化したハネロンのノウハウや開発力も活用しながら推進し、新製品・サービスを開発し、新規市場を創出していくことで、中期経営計画の達成を目指していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 中期経営計画の概要
2017年5月に発表した中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期)では、自動車保有に対する一般消費者市場における環境変化(保有から利用へ)が今後も継続することを前提に、その変化に対応しながら既存事業で収益水準の維持向上を図りつつ、新市場の開拓並びに新規事業の創出に取り組んでいく3年間と位置付けている。
中期経営計画のテーマである「SHIFT DOWN !!」の意味するところは、自動車のようにギアを下げる(シフトダウンする)ことによって力強く加速しながら、新たな市場へ飛び込む、あるいは新市場を創りだしていくという意志を示したものとなっている。
最終年度となる2020年3月期の経営数値目標としては、売上高で25,000百万円、営業利益で2,700百万円、ROAで5.2%、ROEで4.0%、総資産売上回転率で0.46回としている。3年間の年平均成長率で見れば、売上高で3.8%、営業利益で3.7%となっている。2018年3月期の業績は市場環境が良好だったこともあり当初計画を上回る結果となったが、2019年3月期は将来の成長に向けた戦略投資の実行により利益水準が下がる見込みとなっている。ただ、これら投資の成果も期待できることから、2020年3月期の目標値は据え置いている。なお、M&Aを実施した場合の目指す収益水準としては売上高で30,000百万円、営業利益で3,200百万円としている。
(2) 分野別の戦略
今回の中期経営計画では、自動車分野、産業分野、生活分野と3つの分野に分けて事業戦略を策定している。2018年3月期の連結売上高に占める構成比で見れば、自動車分野が60%、産業分野が17%、生活分野が23%の比率となっている。
a) 自動車分野
自動車分野では前述したように、市場環境が変化してきていることによって一般消費者向けの需要が今後も厳しさが続くとの認識のもとで、「新時代の自動車において安心・安全・快適を実現」していくことをテーマに、自動車美装の再定義に基づいた新製品の開発、トラック・バス向けTPMSの販売強化と乗用車向けへの展開、自動車鈑金や運転講習等のノウハウを活用した新サービスの開発、海外市場での拡販に注力していく。
自動車美装の再定義による新しい製品、サービスについてはまだ手探りの状態が続いているが、自動車を取り巻く環境の変化を捉え、1年目においては、都心部における洗車場減少に合わせた「水なし洗車」製品の開発、あるいは洗車作業効率化のための新洗車用品シリーズ「マックスウォッシュ」の拡充等が挙げられる。また、今後においては女性ドライバー客をターゲットとした車内ケミカル製品の拡充なども進めるとともに、カーシェアリング等の普及によってクルマを保有する時代から利用する時代に代わっていくなかで、カーシェアリング事業者等の顧客開拓にも注力している。カーシェリング事業者にとってみれば、保有車両を小まめに手入れし清潔感を維持していくことが同業他社との差別化要因の1つになるため、同社が販売できるアイテム数も多い。既にカーシェアリング事業者向けについては、ボディケア製品やコーティング剤などの拡販を進めているが、今後も新規顧客の開拓と同時に販売アイテムの拡充を進めていくことで、売上成長を目指していく。
TPMS事業については、前述したとおりトラック・バス向けの拡販を進めるほか、乗用車のアフターマーケットに展開し、純正製品からのリプレース需要を開拓していく方針。タイヤに取り付けられるセンサーについては定期的に交換が必要になるため、導入台数が拡大すれば安定した収益事業に成長することが予想される。TPMSを搭載すればドライバーの「安全・安心」につながるだけでなく、タイヤ空気圧を常時監視できるため、燃費の向上による環境への貢献にもつながるため、今後の普及拡大が期待される。
海外販売に関しては現状、ロシアを含む欧州、中国を含む東アジア市場で全体の9割を占めているが、今後はこれら地域での拡販に加えて、東南アジア地域やインド、北米、ブラジルなどまだ販売実績が小さいエリアにおいても徐々に売上規模が増え始めていることから、販売強化に取り組んでいく方針となっている。
b) 産業分野
産業分野については「新たな柱となる市場の開拓」をテーマに、ポーラスマテリアル事業では機能性多孔質体の情報・環境・健康産業への展開を進めていく。医療分野では既に、インフルエンザの検査用キットの部材として採用が進んでいるが、今後は部材提供の横展開を進めていくほか、医療機器製造業販売許可を取得し、最終製品の提供による販売の拡大も目指していく方針となっている。
また、ファインケミカル事業ではコーティング製品を屋外構築物や鉄道、航空機、船舶、清掃業界向けに、難接着素材への印刷・接着を可能とする表面改質技術を使ったフレイムボンドを製造現場向けにそれぞれ拡販していく計画となっている。営業強化のため、2017年4月より、ファインケミカル事業の営業組織体制を見直し、産業分野向け専門の営業部隊を組織し、新規顧客の開拓を進めている。産業分野向けの売上規模は年間で1億円程度だが、まだまだ開拓できていない用途がたくさんあると見られ、今後の展開が期待される。
c) 生活分野
生活分野においては「ニッチ市場での存在感確立」をテーマに、メガネケア用品に続く新製品を開発し、市場に投入していく計画となっている。また、インターネット販売事業に注力していく考えだ。
以上、各分野での戦略を新たに子会社化したハネロンのノウハウや開発力も活用しながら推進し、新製品・サービスを開発し、新規市場を創出していくことで、中期経営計画の達成を目指していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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