三井化学 Research Memo(10):環境・社会への貢献を見える化し、2026年3月期までの数値目標を設定

配信元:フィスコ
投稿:2018/07/05 15:10
■ESGへの取り組み

三井化学<4183>は収益拡大はもとより、ESG(環境・社会・企業統治)についても高い意識を有し、長期経営計画の中の重要な一部として積極的に取り組んでいる。具体的には環境と社会の2つの軸において、明確な数値目標を掲げ、2026年3月期までの達成を目指している

環境軸では、低炭素・循環型・自然共生社会の実現を目標に掲げ、その実現のために同社が提供できる価値を“Blue Value®”として見える化を図っている。評価のモノサシとしてLCA(ライフサイクルアセスメント)、独自評価指標のm-SI(Mitsui Sustainable Index)、用途別評価などを用い、同社の個々の製品についてBlue Value®の認定を行っている。Blue Value®認定製品の売上比率を、2026年3月期までに30%にすることを目指している。

Blue Value®認定製品の具体例としては、塗装レスのPPコンパウンド(CO2削減)、高機能シーラントフィルム(CO2削減)、アドブルー®(NOX削減)などがある。

社会軸では、目指す未来社会「健康・安心な長寿社会」に向けて同社が提供できるQOL向上貢献価値を“Rose ValueTM”として設定した。その具体的な貢献要素として少子高齢化への対応、医薬・医療の高度化、食糧問題への対応の3つを定め、SDGs(持続可能な開発目標、通称:グローバル・ゴールズ)、独自評価指標、用途別評価などを評価基準としてRose ValueTM認定を行っている。Blue Value®同様、認定製品の売上比率を2026年3月期に30%にすることを目標としている。

Rose ValueTM認定製品には、高機能メガネレンズ材料(医薬・医療の高度化)、高機能不織布(快適な暮らしと感染予防・対策)、殺虫剤(食糧問題への対応)などがある。

Blue Value®/Rose ValueTM以外にも同社は様々なESG活動に取り組んでいる。最近のトピックスとしては、同社を始めとする世界農薬大手5社(住友化学<4005>、BASF、バイエル、シンジェンタ)は2040年までにマラリアの撲滅を目指す共同声明“ZERO by 40”を発表したことが挙げられる(2018年4月)。これは米国のビル&メリンダ・ゲイツ財団や英国のIVCCの支援のもと、マラリア撲滅に向けた革新的な製品の研究・開発・供給に取り組む活動だ。同社はこれまでもマラリア媒介蚊に有効な薬剤を供給してきたが、薬剤耐性の蚊への対策が急務となっており、これに貢献していく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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配信元: フィスコ

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