アクシアル リテイリング、18年売上総利益は前年比5.3%増 物流センター軌道化が寄与

投稿:2018/06/01 21:06

1.業績概要

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原和彦氏(以下、原):アクシアル リテイリングの原でございます。

本日はご出席いただきまして、大変ありがとうございます。

説明資料に沿いまして、ご説明を申し上げます。業績の概要、当社の目指すもの、それから原信ナルスのExpress market、そして今期の業績予想ということでお話を進めさせていただきますので、よろしくどうぞお願いいたします。

それではまず業績の概要についてご報告いたします。

売上高が1.7パーセント増加の2,328億1,000万円、経常利益が0.2パーセント増加の92億500万円、当期純利益が4.9パーセント増加の60億7,000万円となりまして、すべての数値が過去最高のものとなりました。

増収は34期連続、当期純利益では7期連続の増益となっております。一昨年秋に稼働を開始いたしました物流センターが効果を発揮いたしております。

原信ナルスでは、営業面でマネジメントレベルが向上し、売上総利益率が改善できました。

その一方で、原信の人件費が増加いたしまして、こちらは社会保険の適用拡大という法改正が大きく影響を与えてしまったというものでございます。

なお、グループビジョンの中で、当面の目標10パーセントと定めておりますROA、総資産経常利益率でありますが、総資産の増加によりまして9.4パーセントと若干ではございますけれども低下いたしました。

これらの結果、前期の純利益が60億7,000万円となりまして、当初会社が予想しておりました58億円を上回ることができました。

配当推移

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そこで、期末配当金を2円増配の50円とさせていただき、年間では70円とさせていただく予定でございます。

前期は原信のスーパーマーケット創業50周年を記念し、記念配当4円を実施いたしましたが、この4円を普通配当に切り替え、さらに2円を上乗せするものでございます。7期連続の増配となっております。

前期新店

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次に、前期の出店についてであります。

9月に群馬県高崎市にフレッセイ上並榎店を開店し、11月に新潟市西区に原信巻店を、3月には長岡市に原信城岡店を新設いたしました。

なお、退店につきましては、フレッセイ上並榎店の新設に伴い、近隣のフレッセイ並榎店を閉鎖し、原信城岡店の新設に伴い、原信西原町店を閉鎖いたしました。

前期改装

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前期の改装は原信3店舗とフレッセイ1店舗で、新潟市の原信南万代店、長野県中野市の原信中野店、新潟県小千谷市の原信桜町店、そして高崎市のフレッセイ倉賀野西店について、改装を実施いたしました。

店舗配置の状況

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これらの新店・閉店の結果、現在は6県にまたがり、129店舗を営業させていただいております。ご覧のような店舗配置となっているところでございます。

食品スーパー売上高ランキング(公開企業)

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数字を公表している全国食品スーパーマーケットの売上高ランキングです。

当社の2,328億1,000万円という規模は、いなげやさまに続いて9番目とランキングされております。

食品スーパー経常利益ランキング(公開企業)

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そしてこちらは経常利益のランキングです。

左側の利益額で見ますと第7位にランクされておりまして、右側の経常利益率で見ますと、当社は4.0パーセントでヤオコーさまなどと並ぶ4位とランキングをしていただきました。

食品スーパーマーケットのROAと自己資本比率

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いちよし経済研究所さまが作成をした、上場スーパーマーケットの収益性と財務体質を表すマトリックス図をアップデートさせていただいたものです。

横軸には自己資本比率、縦軸にはROAを表示いたしております。

アクシアル リテイリングは財務体質が平均値を上回っており、収益性も高く、右上のベルクさまを始めとした優良企業と同じようなポジショニングであることがおわかりいただけるかと思います。

売上高前年比の動向

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次に、こちらのグラフは2016年4月から先月までの月別売上高の推移です。

前期につきましては、地域行事やお盆の曜日回りなどが、例年に比べ非常に不利な状況にありまして、営業数値が相当低下することが事前に予想されておりました。

これに対し、原信ナルスでは、重点政策として売れて利益が確保できる商品の販売拡大、そして値下げの適正化や売れ筋商品の品切れ撲滅、さらには成功事例の全社共有と活用、以上の3点を掲げまして、グループ全体が一体感を持って力を結集し、数値目標の達成に取り組みをいたしました。

フレッセイでは、時間帯別に最適な売場を実現するための仕組みを再構築し、全店で取り組みを開始したところです。

春先のアニサキスの問題や、夏に群馬で発生をいたしましたO157の影響、野菜相場の乱高下や、旬魚の不漁等々の外的要因に振り回された年度でありましたけれども、比較的健闘した1年間であったと考えております。

参考:グループ別の業績推移

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ご参考までに、グループ別の業績推移を記載いたしております。

原信ナルスグループは、先ほどご説明いたしました社会保険の適用拡大という制度変更によって、約4億円の経費負担増となりまして、その結果、経常利益率が4.3パーセントと若干低下いたしました。

フレッセイグループにつきましては、物流センターの効果を始めといたしまして、統合後の基盤整備の効果が発揮され、大幅な増益となっております。

参考:ナルス・フレッセイ 経常利益の推移

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こちらはナルスとフレッセイのそれぞれ単体の経常利益率の推移です。

折れ線グラフにご注目いただければと思います。

赤の折れ線は株式会社ナルスの経常利益率の推移です。2006年にナルスは原信と経営統合いたしましたが、2年後の2008年に、ナルスがおもに展開をしております上越市に物流センターを設置し、統合メリットを生み出す基盤を整えました。

この年度は会計処理の変更とナルスが行っていた飲食事業の整理をいたしましたために、経常利益がマイナスに入りましたが、その後2006年以降V字回復をし、昨年の経常利益率は6パーセントまでに迫っております。

青の折れ線はフレッセイの経常利益の推移です。4年半前の2013年の10月に経営統合を果たし、一昨年秋に物流センターを新設し、昨年は自動車販売事業を外部に売却いたしましたが、経常利益率は3パーセント台に上昇し、経常利益高では初めて20億円台に乗せることができました。

フレッセイ SM創業60周年

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さて、前回(2017年)12月の説明会で、原信のスーパーマーケット操業50周年についてご報告をいたしましたが、フレッセイも(2018年)2月に60周年を迎えさせていただいております。

フレッセイ 倉賀野西店 2018年3月 改装開店

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今日はフレッセイの最新MDを導入して、3月に改装をいたしました倉賀野西店についてのご報告をさせていただきます。

フレッセイでは、2016年から「フレッセイMD2.0」という商品政策を進めておりますが、倉賀野西店はその最新MD政策に基づいて改装いたしました。

「フレッセイMD2.0」では、核商品の育成や時短対応の売場づくり、健康志向への対応、安さと品質の追求、地域商品の強化などをコンセプトに進化をしてまいりました。

フレッセイ 倉賀野西店①

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このうち、倉賀野西店の店内を数枚のスライドでご説明をさせていただきます。

まず、店内に入りましてすぐの通路を広く確保いたしまして、左側にベーカリーや弁当、総菜などのすぐ食べられる商材等々の売場を配置いたしておりまして、ショートタイムショッピングができる売場レイアウトになっております。

正面と右側は野菜、果物の売場で、旬の打ち出しやその日のお買い得商品をおすすめ商品等々で単品大量販売を実施いたしております。

野菜売場では、ミニトマトバイキングや、少量にも使える使い勝手のよいカットサラダやカットフルーツなどを拡充いたしまして、総菜売場と関連をし、サラダ売場の充実を図っております。

肉売場では、ヘルシーなラム肉の品揃えを強化したり、総菜では鉄板焼きコーナーなどによってライブ感の演出を図っているところでございます。

フレッセイ 倉賀野西店②

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ベーカリーのコーナーでは、ピザ専用の石窯オーブンを導入し、本格的なナポリピザをご提供し、大変お客さまからの好評をいただいているところです。

人気のコッペパンやサンドイッチもコーナー展開し、お買い得な100円均一パンに加えて、コーヒーの販売なども実施いたしております。

そして、スープやカレーをイートインコーナーに隣接をし、配置いたしております。

お惣菜のコーナーでは、こだわりのワインやクラフトビール、おしゃれなシードル、地元の日本酒など、最近の多様な嗜好にお応えできるような品揃えをいたしているところです。

倉賀野西店では、最新のMDを導入し改装したことによって、改装後は20パーセント以上の売上高の伸びを見せているということでございます。

フレッセイ 前橋物流センタ- 2016年10月より段階稼働

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さて、統合効果を発揮するためにグループとしての基盤整備を進めておりまして、2016年の10月にフレッセイ前橋物流センターを新設いたしました。

原信ナルスで培ったノウハウを共有化し、仕入れコストの低減やオペレーションの見直しに繋がりましたが、その効果についてご報告をさせていただきます。

フレッセイ 前橋物流センタ- 品切れ件数の推移

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店頭での品切れ件数の推移です。

昨年6月に原信ナルスで導入をしております自動発注システムを導入して以来、平均品切れ件数が以前の6割から7割程度に削減をされ、目標であります20件以内にあと一歩というところにまで改善が進んでおります。

フレッセイ 前橋物流センタ- 後方在庫 (カートラック台数)推移

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また、店舗の後方在庫につきましても、従前の半分程度にまで削減が進んでおりまして、目標としているカートラック台数20台に近づいてまいりました。

このように、フレッセイにおいてもロジスティックスなどの基盤整備によって、仕入価格の改善はもちろんのことではございますが、さまざまな効果も順調に出ており、経常利益率の改善に繋げることができております。

2.アクシアルのめざすもの

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次に、わたくしたちアクシアル リテイリングが目指している方向性についてご説明をさせていただきます。

アクシアル リテイリングは、チェーンストアによってお客さまの毎日の生活が豊かに楽しく、便利なものにしていくことを目指しております。チェーンストアとして数店舗の小売業では実現できないお客さまへのメリットをご提供できるようになるには、まず一定の規模が必要になります。

流通先進国のアメリカでは、経験則として、標準化された200店舗がスケールメリットを生み出せる最低ロットと言われております。そして、一定以上の規模にそれらを有機的に繋ぐ組織や物流、ITなどの機能が欠かせません。

これらをつくり上げ、活用していくのが人材です。人材育成を図るため、さまざまな教育制度を整備してまいりましたが、これらの基盤として当社が30年以上にわたって試行錯誤させながら定着させてきたのが「TQM」であります。

「TQM」とは、お客さまのご満足向上のために、合理的、化学的なものの見方や考え方によって、従業員一人ひとりが主体的に取り組む、いわゆる改善活動のことでありますが、小売業で全社をあげて徹底してこの活動を推進している会社は珍しいのではないかなと思っております。

ビジョン

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そして、道標となる目標を、当社グループではビジョンとして定めており、現在のビジョンは2009年に策定をいたしました「Advanced Regional Chain」です。

このビジョンでは、出店エリアの拡大に伴い、新潟県や群馬県を中心としたローカル的志向から脱却をし、強固で優良な、複数県にまたがるスーパーマーケットチェーン作りを目指しております。このビジョンの主要な項目は、日本一のサービス、標準化された大型のスーパーマーケット200店舗、信頼構築の3つとなっております。

有給休暇取得率(原信ナルス)

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ビジョンで掲げている3つ目の信頼構築では、従業員にとって働きやすく、夢の描ける企業を目指しております。

グラフは、原信ナルスのレギュラー社員の有給休暇の取得率の推移です。

有給休暇取得率の全産業平均値は52パーセントと言われておりますが、残念ながら小売業界ではこれが遅れておりまして、36パーセント程度であります。当社も業界平均並みの37パーセント程度で推移をいたしておりました。

人手不足がますます進行する中ではありますが、せめて全産業並みの有給取得率に引き上げたいと考えまして、それを実現する手段として、全社的に会議体の見直しを実施いたしました。その結果、会議に要する人時を、年間で以前の32パーセント削減をいたしまして、人時数にして約1万8,000時間を削減し、これを有給休暇の取得に充てていただこうと考えまして実施をしたところ、有給休暇の取得率も55パーセントに改善を図ることができました。

中期経営計画(2018~2020)

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さて、ビジョンであります「Advanced Regional Chain」の実現に向けまして、当社では毎年3ヶ年先を見据えた中期計画を策定しております。

1つ目の出店政策については、従来と変わりありません。

2つ目の商品政策について、先ほどフレッセイのお話をいたしましたが、原信ナルスについては後ほどお話をいたします。

そして、4項目めの物流の全体最適化が、従来と同様、もっとも主要な課題と位置づけております。フレッセイ前橋物流センターが軌道に乗ってまいりましたので、次の一手といたしまして、食品製造会社でありますローリーが運営をいたします加工センター、いわゆるPCでありますが、そのPCの新設を行っておりまして、この秋から段階的に稼動をする予定であります。また、その後にフレッセイにもPC事業を拡充する予定でございます。

中期経営計画(2018~2020) 数値目標

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中期計画の数値目標です。

3年目の数値目標は、売上高が2,450億円、経常利益率は4.1パーセント、3年間の開店が12店舗、閉店が6店舗で、設備投資額の合計値は170億円を予定しております。

原信ナルスでは、2013年の10月に、在庫を保有して店舗へタイムリーに商品を供給するディストリビューションセンター、いわゆるDCを設置し、これに合わせ自動発注システムを導入し、効果を上げてまいりました。

また、2016年10月にはフレッセイ前橋物流センターが稼働したことによって、ロジスティックス網と合わせて、商流面でもグループ全体での円滑な活動が可能になり、6県にわたる店舗網を活かしたリージョナルチェーンとしてのマスメリットを引き出す基盤が整備できました。

次のステップとして、現在製造子会社でありますローリーの工場が手狭になってきたことから、DC稼働によってスペースに余力ができたチルドセンターを増築し、ローリーのプロセスセンターを新築すべく準備を進めております。

新設するプロセスセンターは、従来あった精肉・水産のプロセスセンターの機能を拡張するとともに生産性を向上させ、一方店舗では、センター供給の増加によって生まれる余力をインストアで製造すべき商品群に振り向け、一層付加価値の高い商品のご提供を目指しております。

また、後ほどご説明する「express market」は、従来のフォーマット以上にDCの活用度合いを高めることによって、店舗生産性の向上を図ってまいります。なお、一部の商品については、フレッセイにも供給をする予定です。このDC開設に伴い、投資額は約21億円で、この秋からの稼働を計画いたしております。

3.原信ナルスのフォーマーット(乗り物)

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次に、原信ナルスの営業政策についてご説明いたします。

2000年前半に、とくに特徴のない売場で販売力の弱さを実感していたことから、社内で「ニューコンセプト」(NC)と呼ぶ新しい提案型の売場に革新を始めまして、2010年からは時代や環境の変化を受け、「ニューコンセプト・パート2」(NC II)に進化をさせてまいりました。

これは、新しい商品提案を行い、より豊かさ・楽しさ・便利さを快適なお買い物環境下でご提供するとともに、同時に生産性も追求した店舗作りを目指してきたものであります。

さらに、2015年からは、健康志向や時短ニーズなどへ対応した「ニューコンセプト2プラス」(NC II+)と呼ぶスタイルに進化をさせてまいりました。2015年10月に改装した長岡市の川崎店は、「セントラルマーケット」という名称を使い、新たな時代を切り拓くパイロット店舗としての役割を担ってまいりました。

また、ネットへの取り組みは、2011年にネットスーパーを開始し、昨年、2017年度からは、大容量商品や業務用商品などの品揃えも充実をさせております。さらに、この3月には、新しく「エクスプレスマーケット」(NCex)と名付けたフォーマットの実験を開始いたしました。

坪当たり売上高と人時売上高推移(原信)

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こちらのグラフは、1999年からの原信の坪あたり売上高と人時売上高の推移です。

棒グラフが坪あたりの売上高、折れ線が人時売上高です。2000年前半から「ニューコンセプト」への取り組みを始め、デフレに加えて競争が一層激化する中でMDを進化させ、棒グラフが示すように、坪あたり売上高は260万円から350万円台に向上してまいりました。

この間、平均売場面積は470坪から610坪にまで拡大をしましたけれども、水増しすることなく、坪あたり売上高が向上してきているということでございます。その一方で、「ニューコンセプト」の進化に伴い、店舗での加工作業や陳列作業が増加をしてしまい、人時売上高は1万5,000円弱から1万2,000円台にまで低下し、生産性の向上を図ることができませんでした。

新たなSM創りに挑戦!

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2000年以降進化をさせてきた提案型の売場は、お客さまから一定のご支持をいただき、坪あたりの売上高や粗利益率も向上し、成果を上げてまいりました。しかし、生産性という視点では、まだまだ不十分であったという反省が残りました。

一定のエリアで多店舗出店を実現し、エリアのシェアを上げていくには、小商圏で成立し、そして軽装備であり、なおかつ高い生産性を実現するフォーマットの開発が必要ではないだろうかと考えておりました。

これからのSMに求められる機能は、単に小型化だけではなく、時代の変化に対応した商品政策や快適な店内環境も不可欠だろうと考えております。そのような観点から、さらなる進化を図るためにも、健全な現状否定を行い、新たなスーパーマーケット作りに挑戦したのが「express market」でございます。

express market に込める想い

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「express market」のコンセプトは簡便・快適・生産性で、この3つのキーワードから展開をし、具体的な店舗作りに取り組みを開始をいたしました。

「express market」には、2つの特徴があります。1つ目は、手早くパッとお買い物ができるお店で、コンパクトで買い回りのよいレイアウトになっております。2つ目は、手早くおいしく食事を楽しめるお店で、即食商品を強化し、入口に近いゾーンには即食商品を集約化いたしました。

店舗面積は、「ニューコンセプト2プラス」として昨年開店をいたしました巻店の売場面積が653坪で、1万6,000品目でありますけれども、「express market」城岡店は560坪で、品目数は1万1,000品目となっておりまして、やや小振りになっております。しかし、惣菜やベーカリーの品目数は、巻店と同様、「ニューコンセプト2プラス」店舗等々とほぼ同じになっております。

express market 城岡店

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こちらは、「express market」城岡店のファサードと店内画像であります。

まだ開店から2ヶ月程度しか経っておりませんので、評価はこれからではございますが、私たちが得意とするTQMによってさらなる改善を行い、従来の「ニューコンセプト2プラス」とともに、もう1つのフォーマットとして仕上げてまいりたいと考えております。

ニューコンセプト2プラス

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さて、新しい店舗スタイルとして「express market」の開発について説明をいたしましたが、「ニューコンセプト2プラス」も同時に進化をさせてきております。

今期に入って4月に、新たな時代を切り拓くパイロット店舗としての役割を担っている「セントラルマーケット」の2号店といたしまして、新潟市東区の河渡店を改装いたしました。従来は約600坪であった売場面積を900坪に増床し、新しい取り組みとしては「365サイドディッシュ」というコーナーを新設し、店内カットのナチュラルチーズ、そしてドライフルーツやナッツ、ピクルス、ローストビーフなど、多彩な品揃えをご提供いたしております。

改装後は、予想を大幅に上回るお客さまからご支持を頂戴しておりますが、本日は時間の都合がございますので、この河渡店についてのご報告は、次回の説明会に譲りたいと考えております。

だし香るシリーズ①

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次に、原信ナルスの商品関連で、1つだけご報告をいたします。

「だし香る」シリーズと名付けた新たなブランドを、2011年から販売をいたしております。健康ニーズから、減塩商品が数多く販売されておりますが、原信ナルスでは減塩特有の、味が薄くて美味しくないという問題と向き合いまして、だしの旨味によってしっかりとした味付けでありながら、塩分を控えた独自の商品を開発してまいりました。

だし香るシリーズ 販売推移

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「だし香る」シリーズは、2011年から発売をいたしましたが、健康志向の高まりに合わせて強化してまいり、今では43品目にまで増加いたしております。

だし香るシリーズ②

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今まで、お惣菜商品で開発をしてまいりましたけれども、昨年度は日配品の白菜漬け、それから納豆、そして水産物でも明太子などを発売し、さらにはお菓子において、岩塚製菓さまとコラボレーションした「しょうゆ揚げもち」を発売いたしまして、好調な売れ行きとなっております。

5.今期業績予想

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最後に、今期の業績予想についてご説明をさせていただきます。

売上高は2,330億円、経常利益は92億円、当期純利益は60億円。売上高は、当期開店予定の3店舗のうち1店舗がスクラップ&ビルドであり、2店舗が期末近くになることと、下段の予測前提の表に記載いたしましたように、既存店はマイナス0.7パーセント程度を予測していることから、売上高は微増となる見込みであります。

また、プロセスセンターの開設経費が発生することと、原信において営業利益上位2店舗、これは先般改装いたしました河渡店、それから夏に新店として開店いたします小出東店。この2店舗が、営業利益の上位2店舗にあたるわけでありますが、これらの経費が発生するため、経常利益も前年並みとなる見込みであります。

厳しい年度となりますけれども、将来に向かって必要な取り組みを行ってまいりたいと考えているところでございます。

以上で、私からのご説明を終わらせていただきます。ご清聴いただきまして、大変ありがとうございました。

質疑応答1:既存店の見通し、人件費の動向、プロセスセンターの開設の経費、粗利の見込み

質問者1:よろしくお願いします。

今回はご計画の中で、既存店の設定をやや厳しめにご覧になられているようですけれども、3月・4月の各一般的なスーパーの既存店の状況は、けっこう厳しい状態が続いているんですが、御社としてこの1年間の既存店の前提を立てられるにあたって、消費の環境という部分について、もうちょっと厳しくなってくるとか、そういう認識を教えてください。

客数が落ちる前提になっているので、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか?

原和彦氏(以下、原):消費環境について、どのように見ているかというご質問を頂戴いたしました。あまりぱっとしていないなという印象です。決して悪いと言うほど悪いとも考えていないんですけれども、そんなに財布の紐がゆるいという感じではないなと思います。かと言って、生活防衛意識が高くて、非常に財布の紐が固いなというわけでもないという感じです。

ただ、漫然と商売をしていると、なかなか売上が作りにくい。ですけれども、しっかりとしたご提案をしていただくと、一定の反応はある。そんなような状況下ではないかなと思っています。ですから、しっかりとした提案を、商品の改廃も含めて、そういったものをしっかり行っていかなければならない年度かなと考えています。

質問者1:ということは、ある程度は保守的に見ていると理解してよろしいでしょうか?

原:保守的と言うか、今申し上げたような見方をしているということです。

質問者1:あと、経費の面で、ここ1、2年物流センターとかもお建てになられて、もちろんその効果も出ているとは思うんですが。とくに人件費の部分については、昨年、終わった期は、社会保険費の問題がけっこう多かったというお話ありました。それ以外の、今後の出店で、既存のパートナーさんやパートさんに対するベースアップの部分など、今年、だいたい何パーセントくらい引き上げるといった、ご計画はあるのでしょうか?

原:人件費の動向について、ご質問を頂戴いたしました。

これはもう春闘で終わっていまして、今年に限らずずっと、パートナーさんも含めて定期昇給は続けています。

質問者1:ちなみに、昨年ってどのくらい?

原:平均で2.4パーセントです。

質問者1:同率くらいですか? 今年、合計額と言うか。

原:いや、今年がそれになりました。

質問者1:中期経営計画上でも見込んでいるという理解でよろしいですか?

原:中計でも見込んでいます。

質問者1:最後に、プロセスセンターの開設というお話で、ご計画を今回組み込まれていますけれども、これに絡む経費の負担は、金額的にどのくらいインパクトがあるものですか?

山岸豊後(以下、山岸):初期経費として、約2億円を見てはいます。

質問者1:わかりました。

センターなどが開設されて、あとは物流センター開設されて、ある程度習熟度が上がってくると、数値面で改善の効果が出ていると思うんですが、いただいている補足資料などを拝見していると、粗利の部分が、フレッセイさんも原信ナルスも、いずれも大幅に改善していますけれども、これはセンターの効果と理解して良いですか?

原:営業努力です(笑)。

質問者1:そうですか(笑)。通常の徹底したロスカットだとか、そういう理解で良いですか?

原:まさにそのとおりです。

原信ナルスにおいては、主にそういった地道な営業努力の積み重ねです。先ほど申し上げたように、社会保険の適用拡大分で、約4億円の経費負担増になりました。これらをなんとかカバーしなければいけないとがんばったんですけれども、結果的に経常利益ベースで見ますと、3億円のマイナスになっています。ですから、仮にですけれども、社会保険の適用拡大がなければ、1億円の増益になっていたのではないかというくらいの数字です。

フレッセイについては、今おっしゃられたように、物流センターの開設効果が大幅に出ました。でもその分、物流費の負担増もあったということです。

質問者1:今期の設定はどのくらいで見込んでいらっしゃいますか? 粗利率です。

原:ほぼフラットではあるんですけれども、若干プラスくらいの感じです。

質問者1:わかりました。ありがとうございます。

質疑応答2:プロセスセンターの役割と所在地、express marketとセントラルマーケットの役割分担

質問者2:本日はありがとうございます。流通ニュースのカワシマと申します。

2点ございます。1点はローリー中之島プロセスセンターについてですが、こちら中之島DCの敷地内に新設されるということでよろしいんでしょうか? それと、先ほどプロセスセンターでベーカリー等を手がけることで、店舗との役割分担等があるということですが、もう少し、プロセスセンターの役割について教えてください。

2点目が、2ヶ月前にexpress marketを作られて、この4月ではセントラルマーケット型の新店舗を開設されたということですが、新しい業態の役割分担と、今後の御社の出店計画に対する影響ですとか、見解を教えてください。

以上、2点です。

原:まず、ローリー中之島プロセスセンターの新設地がどこで、どういう役割なのかというご質問でありますけれども、もともとチルドセンターという、いわゆるトランスファー型のセンターを、中之島に1996年に開設をいたしました。これはもう本当に通過型のセンターでした。今から4年半前に、その通過型のセンターの真隣に、在庫型のDCを新設いたしました。

DCができたことによって、通過型のセンターにスペース的な余力が生まれました。そこの部分を使って、今PCを作っているということです。このPCを作ることによって、とくに精肉の供給数を上げていこうということです。今、同じ中之島という街の中なんですが、本部はちょっと2キロメートルくらい離れたところにあるんです。その本部の真隣に、30年くらい前からの古いPCがあります。

そこは非常に供給数が手狭で、限られているものですから、今度新しいPCを作ることによって、供給量を格段に増やしていこうと。それで店舗作業の手間を省いて、店舗はそこで人時を減らすのではなくて、そこでできた余力を、より付加価値の高い商品づくりに当てていこうというものです。

例えば、もうすでに取り組み始めているんですけれども、店内加工のローストビーフは手間がかかるんです。こういったものを、もっとしっかりとした商品づくりができるようにしていこうということです。それから水産なんかも、「魚菜屋」という煮魚・焼き魚なんかを展開いたしていますが、これも水産部門として、新たに作業として発生していますので。これらをそういったPCを活用することによって、余力を生み出して、しっかりとした商品づくりをしていこうというものになっています。

2点目のexpress market、セントラルマーケット等々の役割というお話を一言で申し上げますと、express marketはディフェンシブなものであるということです。そして、セントラルマーケットやNCⅡ+はどちらかと言うと、攻撃的なオフェンシブなものであるという、そういう役割分担になっています。

我々のNCⅡ+店舗というもの、ニューコンセプトの提案型の売り場を指向しながら十数年感やってまいりましたが、結果として、非常に売上は上がってきて、利益も上がってきたんですが、手間がかかるフォーマットになっています。手間がかかるものですから、1店舗当たりの回収には、おおよそ年商で17、8億円くらいの売上が必要になってまいります。17、8億円売れるマーケットと言いますか、商圏が非常に最近は限られてきている。出店余地も限られてきているということです。

一方で、もうちょっとそれより下、1店舗15億円とか14億円とか、その程度の余地であれば、まだ多少は出店余地があるんですが、今のフォーマットだと、我々がこれ出しちゃうと、完全に経費倒れになっちゃうねと。じゃあ、その隙間と言いますか、そういった小商圏でも成り立つようなフォーマットを考えていかなきゃいけないなと。でも、単純に小型店や絞り込みをしてしまったんでは、それは競争力ありませんから、おそらくうまくいかないだろうと。じゃあどうするんだということで始めたのが、このexpress marketです。

小商圏でありながらも、一定の強みを持ったような店舗にしていかなければいけませんし、さらに生産性が高まるような取り組みにしていかなければいけないということです。それと、主力はあくまでもこのNCⅡ+というもので、これからも出店は計画をしていこうと考えています。

質問者2:ありがとうございます。

配信元: ログミーファイナンス

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