夢真ホールディングス 佐藤眞吾社長インタビュー

投稿:2011/10/12 16:48

人材インフラの整備・向上、技術力の向上、営業力の向上、成果主義が4大テーマ

略歴
株式会社夢真ホールディングス
代表取締役会長兼社長
佐藤眞吾(さとう・しんご)
 
1947年3月14日生まれ。1970年に佐藤建築設計事務所を個人創業。2005年には持株会社化しホールディングカンパニーに。休日は軽い山登りやウォーキングなどでリラックスを心がける。戦国時代や明治維新の歴史書を好み「歴史書は経営書といってもよいくらい」とか。

──御社の概要について

当社、夢真(ゆめしん)ホールディングスの業務内容は、建築施工図の作図と施工管理技術者の派遣がメインですから社員の大部分が技術者の集団です。
業界のアウトソーシングが当たり前になる前から、当社は「現場の助っ人」としてお手伝いをしてきました。以前は中高年の割合が高かったのですが、現在は若手の採用を積極的に進め、若手中心の人員構成となっています。それにより当社は老齢化してきている建設業界に、新たな担い手を供給しているといえるでしょう。
建設業界の特徴は「受注時期が不確定」「異なる建築現場」「短い納期ニーズ」「労働集約的産業」などです。つまり「必要な時期に」「必要な期間に」「必要な人数」、さらに「施工技術とうい専門性」という面で、建設業界はアウトソーシング業界に最も適している産業であるといえます。

──直近の業績について

上半期では連結売上高28億6800万円、前年同期比で11.1%増となりました。通期計画達成率では同105.1%となっています。背景としては積極採用が奏功したと思います。世間より少し早めに昨年暮れから今年の初めにかけて積極採用に移行しました。おかげさまでいずれ人材が必要になるということでの多めの採用ができました。多くの人が応募してくれたことで業績に弾みがついたと考えています。結局年末に開始したことが今になって奏功してきたということでしょう。

──建設アウトソーシング事業の現状

若干不動産市況が戻ったことで建設の動きも以前よりは少し良くなりましたが、状況はそんなに大きく変わってはいないでしょう。ただ当社は人材インフラの整備・向上、技術力の向上、営業力の向上、成果主義の徹底を4大テーマとして受注力強化、収益性の向上に取り組んでいます。
当社のデータとしては平均稼動時間は前年同月比で増加していますし平均単価はリーマン・ショック直後の水準まで戻ってきました。

──人材インフラの整備・強化について

人材について理想を掲げることは確かに重要ですが、当社の場合、あくまでもそれぞれの現場でOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で鍛えていくと考え方が主流です。管理部門などは別にして顧客と対応する部署はあくまでも顧客重視の姿勢をメインテーマに置いています。またひとつひとつの現場が違うことからマニュアル的に画一的な教育というよりは、現場での時間の中で当社の社風や方向性を学んでいただくというのが基本的な姿勢です。また、例えば「二人で仕事をするな(責任者は一人だ)」というようなことも言っています。解っていることとは言いながら、なかなか実践することは難しいので、折々に教え込んでいくようにしています。当たり前のことを当たり前のように理解していだだくことが重要だと考えています。

──保育所事業・高齢者事業の現状

保育所運営事業の「我喜大笑」や医療介護支援事業の「夢真メディカルサポート」など、保育所事業では首都圏中心に着実に増加基調であり事業所の開設を徐々に行っています。ただ規制などの問題もあり、一気に進展するという訳ではありません。自治体ごとのニーズを把握しながら好物件を確保するように努めています。高齢者事業については7月にデイサービス事業を開始する予定です。ただ保育所事業同様に時間が必要な事業ですから時間をかけながらコツコツと丁寧に進化させていく方向です。

──M&A戦略について

従業員数とか売上高など当社はまだまだ規模の成長を目指しています。そのためにはテコを使わないとスピーディな成長を目指せないこともあり、建築派遣・技術派遣など本業の周囲近くに存在する企業群へのM&Aは常に考えています。案件は個別に異なるので一概には言えませんが、「ハンドリング可能」ということと「収益が出る」というのがポイントです。価格についてはなかなか微妙な問題ですが、「利益が出せる相手先」であるならば、世間で言われているような価格でなくとも買おうという意欲は持っています。その上で、従業員・株主・取引先の幸せを追求できる方向を目指しています。
当社は最大の強みである「高付加価値の技術者派遣」をさらに追求・拡大し、現在当社の主力事業である、建設現場への施工管理技術者派遣と並ぶ、新たな事業の柱を建てることを重要な中長期的目標と位置付けています。
今年5月にはフルキャストテクノロジー社へのTOBも無事完了しました。同社の売上高は前期ベースで40億円強。当然ながら売上高などの規模の拡大は着実に図れることになります。


──仙台営業所(復興支援拠点)開設

5月16日に仙台営業所を復興拠点として開設しました。東北は東京から近いということもあり、地縁・土地勘などもあることからどこよりもいち早く復興拠点の出店の方向に踏み切りました。現地での就職難ということもあり、就職から入っていって復興に役立てればということを考えました。「職がなければ復興しない」ですし「当社の業務の建築派遣や技術派遣は復旧・復興に必ず役立てる」と考えています。当社の経営戦略は「3つの強化+1」と設定しています。一つは「技術者採用の強化」で新卒180名、中途採用230名で合計410名を採用し1000名体制にすること。2番目は当然ながら「技術力の強化」、3番目が「営業力の強化」、そして4番目が「技術者派遣で復興支援」としています。

──今後の展開

売上高で200~300億円。利益で20~30億円、これをまず基盤として確立したいと考えています。
次のステップとしては、今回のM&Aのように追いかけていた案件を財務的な調整を含めて視野に入れて行きたいと考えています。M&Aは買収後に相乗効果を高めていかなければなりません。今まで行ってきた40年近いマネジメントの経験の集大成としてどんな会社でも収益のあがる企業に変身させることは私の経営で可能であると考えています。

取材メモ

「段取り」を重視する佐藤会長は「目標を設定できた時点では、ほぼ半分は出来上がっている」と。下期の段取りも未来の段取りもかなり整っていると見ました。社名である「夢を真実」が現実化する気配を感じました。

会社概要および業績

社名 株式会社夢真ホールディングス
証券コード 2362
公開市場 JASDAQ
上場年月日 2003年9月
設立 1980年1月
決算期 9月
連結業績予想(2011年9月期)
売上高5,200百万円(7.0%増)、営業利益620百万円(19.5%増)、経常利益620百万円(12.3%増)、当期純利益350百万円(18.6%減)、一株当たり当期純利益69.73円
トピックス
公開買い付けにより5月31日付で株式会社フルキャストテクノロジーを連結子会社化。

配信元: みんかぶ株式コラム