ソケッツ 浦部浩司社長インタビュー

投稿:2011/10/12 16:50

インターネットを通じて価値ある「つながり」を提供
技術力と独自サービスで業績拡大が続く

略歴
株式会社ソケッツ
代表取締役社長
浦部浩司
 

1992年、日本合同ファイナンス株式会社(現株式会社ジャフコ)入社。インターネット黎明期より情報通信分野を中心に投資先企業の発掘、株式公開支援に従事。1999年10月、ベンチャー企業株式会社ビジュアルコミュニケーションに転職。2000年6月、当社設立、代表取締役社長就任(現任)。インターネット分野におけるサービス、アプリケーション、データベースを開発・提供し現在に至る。

──御社の業態は?

ソケッツは創業が2000年6月でインターネット分野でのサービスを提供しています。具体的には端末組み込みアプリケーション、データベースの開発を行っています。創業以来、「時代がどんなに変わろうと、人の気持ちこそがメディアである」という考えのもと、人が感じる「興味」や「気づき」をつなぐサービスや技術を創ることを目指している会社です。
当社は人生の中で好きな人や好きな音楽や映画、本、ゲームなどの作品と過ごす時間はとても大切な時間だと考えています。また毎日の生活の中で、本当は気になるニュースやテーマはもっとあるはずと思っています。そのような大切な瞬間に出会うきっかけを作ったり、その瞬間の気持ちをつないだりすることで、より多くの人に毎日の生活に役立てるサービス創り、もの創りを目指しています。
現状ではメディアビジネスとコンテンツビジネスの2つが中核です。メディアビジネスは専門検索サービス、作品・おすすめサービスそしてストリーミング(放送型)サービスの三つです。メディアビジネスでは具体的には携帯電話・スマートフォン・パソコン向けのインターネットを通じて音楽・映像・書籍等を探し買うために使われる専門的な検索サービス、商品・作品のおすすめ紹介(レコメンド)サービス及びストリーミング(インターネットを活用した放送型)サービスを開発・提供しています。コンテンツビジネスでは携帯電話・スマートフォン向けにメールサービスやアプリなどの開発・提供を行っています。
事業モデルとしては、組み込みアプリケーション開発、データベース開発・運用、サービスの開発・運営までをすべて自社で行っております。

──「セレンディピティ」とは?

「セレンディピティ」とは、偶然の出会い、再会というイメージです。自分が本当に好きな音楽や書籍や映画や自分の関心ごとなどにもっと出会うために、サービスとして「ひとりひとりに、その人が好きになりそうなもの、興味を持ちそうなものがインターネットを通じどんどん届けられるようなサービス」を目指しています。
いわゆる「検索サービス」やSNSやブログなどの「ソーシャルサービス」、あるいはテレビ・ラジオなどの「放送サービス」だけでは実現しきれない第4の軸となるサービス、このようなコンセプトは今後重要になってくると考えています。
どんな時代であっても、どんなに文明が進化しても事の本質はきっと変化しないのではないでしょうか。その意味では「もっと良いつながり方」を提供していくことは私たちの使命であるに違いありません。ひとは出会いや気づき、そうした「つながり」によって成長できると思います。

──最近新たな展開が多いですね

インターネットを活用した放送のようなサービスを通じて、価値ある「つながり」をどんどん生んでいきたいと考えています。
4月に世界中のネットラジオを検索しそのまま聴取できるサービスの提供を開始しました。またKDDIとの協業サービスとして提供中の全国のFMをどこにいても好きに聴ける音楽ストリーミングサービス「LISMO WAVE」の映像サービス拡充のためのプラットフォーム開発を行いました。朝日新聞社の新サイト「ブック・アサヒ・コム」では、紙の書籍と電子書籍のハイブリッド書籍検索サービスが提供されています。
業績は好調ですね
今期第1四半期は売上高、経常利益、純利益ともほぼ期初計画通りの水準で推移しました。足元のメディアビジネスは前年比110%と引き続き拡大傾向です。メディアビジネスに関する専門検索サービス、レコメンドサービス等のユニークユーザー数は前年同期より増加し、順調に推移しています。将来の成長戦略として強みである作品や情報のデータベースや前期より立ち上がってきたストリーミングサービスや関連技術の開発を発展させることで、ユーザー数の拡大に伴い収入が拡大するビジネスモデルをより進化させていきたいと考えています。
ここ1、2年でサービスの領域やビジネスモデルはだんだんと変化していく方向にあると思います。
例えば、音楽・映画・書籍・ゲームという現在の柱に加えて、放送・VOD(ビデオ・オン・デマンド)・ソーシャルやニュース、生活・地域情報といった関連サービスへの取り組みを考えています。またアプリケーションについても携帯・パソコン・スマートフォンに加えデジタル家電、Pad型端末、ゲーム機、車などへ拡大をしていくでしょう。また現在の専門検索、作品おすすめサービス、ストリーミングサービスに加え、広告、ソーシャルなどへの連携がより進んでいくと考えています。

──「ヒトの気持ち」に対するこだわりは?

「キモチがつながる瞬間」のわくわく、ドキドキ、ほっとするキモチ、励まされるキモチなどはどんなに時代やメディアや技術が変わっても、紙や電話が発明される前から、今も、そしてこれからも変わらないと私たちは考えています。
私たちは人が人を想うキモチ、人が創った何か(作品)を想うキモチ、人が何か大切なことに気づくキモチをつないでいき、人と人がもっと仲良くなったり、好きな音楽に出会ったり、大切な1冊の本をみつけたり、かけがえのない1本の映画に出会ったり、世の中や自分や自分の大切な人のことをもっと深く考えるようになることなどへ役に立てればと思っています。私たちは、もっとキモチがつながるように、モバイルインターネットを活用したサービスとモノ創りを続けてきました。
これからも、私たちのキモチをつなぐサービスや仕組みが、よりたくさんの人の毎日の生活の中で役に立てるように、メンバー一同、こだわりと責任を持って進んでいきます。

取材メモ

同社の社訓はLove×Communication=Peace。「真摯に向き合い続ければ、困難を越え道は開ける」でした。「100年後も気持ちをつないでいる会社でいたい。そして200年後を100年後のソケッツメンバーが考えていて欲しい」。さまざまな気づきをつなげることの不変性を感じました。取材後、突然の驟雨。「チョッと待って下さい」と言われて浦部社長が持ってこられたのは傘でした。
そんな小さな気配りの蓄積が現在のビジネスへと結実したのでしょう。誰しも気がつかないまま時間を過ごしている現実に「気づき」を提供することで多くのビジネスチャンスを築いている構図はかなり感動的でした。驚いたのは同社の受付。周囲は壁だらけで「どこから入るだろう」と思っていたら壁が忍者屋敷のように回転。オフィスも気づきの原点でした。

会社概要および業績

社名 株式会社ソケッツ
証券コード 3634
公開市場 マザーズ
上場年月日 2009年4月
設立 2000年6月
決算期 3月
決算予算(2012年3月)
売上高3,100百万円(4.4%増)、営業利益600百万円(0.7%増)、経常利益600百万円(0.7%増)、当期純利益340百万円(1.5%増)
トピックス
足元のメディアビジネスは前年比110%で順調に推移。将来への先行投資のため利益率は低下。

配信元: みんかぶ株式コラム