アイフリーク 伊藤幸司社長インタビュー

投稿:2011/12/01 15:29


────中間期までの取り組みと業績についてお聞かせください。
伊藤 当社の属するモバイルコンテンツ業界では、スマートフォンの普及が予想以上に速いペースで進んでいることで大きな変化が起こっています。スマートフォンでは、キャリアの公式メニューのようなマーケットが確立していないので、我々コンテンツプロバイダーとしてもどういった戦略をとるのかが難しい状況にあります。スマートフォンの普及ということは、これまでのキャリアの公式メニューのような守られた環境ではなく、オープンなインターネット環境での戦いなので、そこで勝ち抜くにはどうしたらいいか。そこを考えて、アプリのような「点」ではなく、「面」をとるための戦略、つまりプラットフォームを自分達で作っていこうというチャレンジを事業計画に盛り込んで4月にスタートしました。この時期に当社の基盤を作ることで、3年後や5年後に飛躍的なジャンプができるような投資フェーズという位置づけでいます。中間期にはまだ収益化できていませんが、将来的に刈り取れる種をいろいろ撒きました。また、チーム編成やノウハウの積み上げなど、考えていたことに対しては予定通りに達成できました。

──その中間期までで手応えのあったサービスはありますか。
伊藤 既存のデコメ®に関連したものでは「スグデコ!」のユーザー数の増加があげられます。ユーザーの作成したメッセージを当社サーバーに送っていただくと、自動的にデコメに変換するというサービスですが、今までの「月300円でデコメが取り放題」という棚売り型のビジネスではなく、利用してもらうことでトラフィックを増やし、コンテンツ販売や広告につなげるというビジネスモデルです。現在ソフトバンクで提供しているものは、ユーザー数や対応端末も増えてきているので、この経験値をもって他のキャリアへも提案していく方針です。また、プラットフォームではスマートフォンアプリ「ちゃぶ台返し」「ちゃぶ投げ」などに位置情報を組み合わせた「ココゲー」というサービスの提供を始めました。

──「ココゲー」とはどのようなサービスですか。
伊藤 例えば当社の「ちゃぶ台返し」は、スマートフォンを振り上げて画面内のちゃぶ台の飛距離を競うのですが、位置情報を組み合わせ、地図上にユーザー同士がゲームスコアを記録することで、陣取り合戦の方式を用いて対戦を実現するプラットフォームです。これはゲームをコミュニケーションツールとしてどう使うかということを進化させたサービスで、現在ダウンロード率が上がってきています。しかも、「ココゲー」というプラットフォームは他社のアプリも乗れる仕組みなので、GREEやモバゲーのようなソーシャルアプリケーションのプラットフォームに匹敵するまでに成長すると期待しています。また、このプラットフォームを使い、例えば飲料メーカーをスポンサーにして、渋谷で飲料に関するゲームを企画し、「1位になった人にはこんな賞品が出ます」と宣伝すれば、ゲームを軸に、渋谷に人を集めることもできます。企業とのコラボなど、リアルとバーチャルを融合させた事業展開ができるのではないかと考えています。

──上期は初の海外出資案件もありました。
伊藤 シンガポールに本社を置くモバイルアップス社に出資しました。世界中のモバイルアプリを流通させるプラットフォームを運営している企業ですが、5年後10年後、コンテンツをデリバリーする時に必要なノウハウを丁寧に育てようと考え出資を決めました。

──株主還元についてはいかがでしょうか。
伊藤 去年は記念配を含めて通期で配当をしました。今期は投資フェーズなので、未来への投資を先行させていただきますが、株主に何らかの貢献をしたいという基本スタンスは変わりません。期末はまだ未定ですが、中間期末には1株250円の配当を実施します。

──ところで、引っ越しをなさいましたが。
伊藤 以前は、渋谷という文化の発信地にいるということに意味がありました。しかし今は投資フェーズなので、できるだけコストは事業への投資に回したい。現住所では事業所コストが大幅に削減となりました。株主にご理解を求めるだけでなく、自分たち自身もよりストイックになる必要があると考え、移転しました。

──本日はありがとうございました。

 
 
伊藤幸司(いとう こうじ)
略歴
宮城県出身。1994年明治大学経営学部卒業後、伊藤忠商事入社。2004年株式会社フラクタリスト入社、COOとして株式公開を果たす。2007年株式会社アイフリーク入社、翌年取締役に就任。2010年代表取締役に就任。創業者である代表取締役会長永田と2代表制で激変するモバイルビジネスに取り組んでいる。

配信元: みんかぶ株式コラム