GMOコイン 若松剛史社長インタビュー

投稿:2017/12/12 16:42

ビットコイン急騰、その売買の注意ポイントは?

●若松剛史氏
GMOコイン 代表取締役社長

 
 仮想通貨ビットコインの急騰が続いている。年初1ビットコイン=10万円前後だった価格は、今月8日には200万円を突破し、上昇率は20倍を超えた。その価格高騰の背景には何があるのか。また、実際の売買に際しての注意点とは何か。GMOグループで仮想通貨によるFX(証拠金取引)取引などを手掛けるGMOコインの若松剛史社長に聞いた。

――急激なビットコイン価格の上昇が続いています。この動きをどう見ていますか

若松 足もとの価格の上がり方は、さすがに急激かなと思います。ただ、ビットコインの上昇は、ある程度はニュースに反応している面はあると考えています。米国のシカゴ・オプション取引所(CBOE)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)といった取引所がビットコインの先物取引に参入し、大手企業にも仮想通貨を扱う動きが出ています。これらの動きが、市場拡大に向けて期待値を高めているのでしょう。

 ただ、その一方でマーケットの参加者は、いままでとはあまり変わっていません。価格が上がるから買うといった、個人投資家による値動きに追随する売買が続いているように見えます。ファンダメンタルズからみて、ここまで上昇したら上限といった基準がないまま、価格が高騰しているのが現在の状況ではないのでしょうか。そういう意味では、期待が先行している面はあるように思えます。

――そんななか、GMOコインは今年5月から営業を開始しました。新規口座の開設状況はいかがですか

若松 営業開始からしばらくは、システムの安定性を考慮し、あまりプロモーションをしていなかったのですが、10月以降は好調です。特に、最近ではビットコイン価格が100万円を超えるとともに、非常に多くのお客さまにきていただいています。

 当社の特徴は、FX(証拠金取引)型など仮想通貨の相対の取引のみを提供していることです。相対でレートを出しており、買いたい時に買え、スプレッド面でも魅力的な水準が提示できることなどが強みです。また、高機能なツールやアプリも提供しています。

――為替や株式などの投資経験があり、新たにビットコインなど仮想通貨を手掛けてみたいと考えている投資家は多いと思います。これから、新規参入を考える投資家は、どのような点に注意するべきでしょうか

若松 ビットコインのボラティリティは非常に大きいですね。ただ、これは注意点である一方、魅力でもあります。また、これまでのところ、ビットコインは、テクニカル面に非常に素直です。ゴールデンクロス(GC)が出たら、上昇するといった形で、テクニカル分析の知識がある方には取り組みやすいように思います。ただ、情報を重視して取引する人は情報量が少ないと感じるかもしれません。情報ソースが分からない、という声も聞きます。この点は、我々もできるだけ情報提供に積極的に取り組んでいきたいとは考えています。

――ビットコインのハードフォーク(分裂)が相次いでいます

若松 戸惑っている人は少なくないと思います。投資家は新しいコインを付与してもらうことは、歓迎なのでしょうが、我々はシステム的なプロトコルは機能しているのか、通貨として継続性はあるかなどを判断してからでないと、取り扱うか決められない面があります。ただ、ハードフォークなど話題のイベントは金融当局や業界団体もちゃんとみています。それらの情報を確かめるうえでも、仮想通貨市場に参入する投資家は、株やFXの取引に比べて、仮想通貨の口座を開設した取引所や販売所からの通知は、より良く見た方がいいと思います。

――今年も残すところわずかですが、18年も仮想通貨市場の人気は続きそうでしょうか

若松 前述したように、これまでのところ大手取引所などが参入する一方、投資家層に大きな変化が見られませんでした。しかし、例えばCBOEやCMEの参入により、これまで参加していなかった機関投資家やハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFC)を手掛けるヘッジファンドのような層が参入してくる可能性はあると思います。そんな動きが予想されるなかで、仮想通貨は少しずつ投資対象として安定していくことも見込まれます。また、新年は仮想通貨が使える場所が増えるなど、決済面の改善が進むことに期待したいと思います。17年は、話題が先行した1年となりましたが、新年はより落ち着いた形での市場の成長が期待できるのではないかと思います。

(聞き手・岡里英幸)

●若松剛史(わかまつ・つよし)
1979年7月生まれ。2006年、GMOインターネット証券(現GMOクリック証券)入社。12年、GMOクリックホールディングス(現GMOフィナンシャルホールディングス)財務部長。14年6月、GMOフィナンシャルホールディングス・経営管理部長兼財務部長。16年7月、同社・新規事業開発室長。同年10月、GMO Wallet(現、GMOコイン)代表取締役社長。17年6月、GMOフィナンシャルホールディングス取締役(現任)。

◆参考:GMOグループの取引所GMOコインって?(みんなの仮想通貨)
https://cc.minkabu.jp/column/205

配信元: みんかぶ株式コラム