飲食店向け出退店支援で急成長、
ストック型収益積み上げを狙う
●片平雅之氏
G-FACTORY 代表取締役社長
巨大な市場を抱える外食産業。そのなかでも、ラーメンや焼き肉店といった飲食店は激しい競争を繰り広げ、開業や廃業が活発に行われている。この飲食店を中心に、出退店サポート事業を展開しているのが昨年9月に東証マザーズに新規上場したG-FACTORY<3474.T>だ。同社の事業内容を片平雅之社長に聞いた。
――まず、簡単な事業内容を教えてください
片平 当社は国内で唯一のウナギ専門のファーストフードを提供する「名代 宇奈とと」と、飲食店などの出退店を支援する「経営サポート事業」を展開しています。もともとは、宇奈ととによる飲食店経営を目的に会社を設立したのですが、飲食店の経営を行うなかで、出退店のサポートにニーズがあると感じ、経営サポート事業を始めました。15年12月期の実績では全体の営業利益の8割を経営サポート事業が稼いでいます。
――出退店支援ではどんな飲食店を対象としているのですか
片平 メーンのターゲットは3~30店舗ほどを展開している売上高1億~30億円前後の企業です。ラーメン店や焼肉、居酒屋、焼き鳥屋などのジャンルの飲食店を中心に出退店サービスを行っています。30坪未満の比較的小さく、好立地かつ地上1階・2階、あるいは地下1階にある店舗を対象としています。東京など首都圏や大阪を中心に事業展開しており、本邦飲食業者の海外出店サポートを目的にシンガポールに子会社も設立しています。
――「経営サポート事業」の具体的な内容を教えてください
片平 「物件情報サポート事業」と「内装設備サポート事業」、「まるごとサポート事業」の3事業を展開しています。物件情報サポートは、退店希望顧客に代わり、店舗物件の賃貸借契約を引き継ぎ、店舗の内装造作・設備などを買い取り、出店を希望する顧客への販売に加え、店舗物件をサブリース契約するものです。
内装設備サポートは、「リースサポート」と「GFリース」を提供しています。リースサポートは、顧客のニーズに従い当社が設備を調達し、その後、リース会社へ設備などを販売し、同時にリース会社と顧客との契約締結をサポートする事業です。GFリースは当社が顧客と厨房機器などの自社リース契約をするものです。
まるごとサポートは、物件情報サポートと内装設備サポートなどをパッケージにしたワンストップサービスです。物件と設備を全て用意し顧客は体一つで出店できます。
新規上場に伴い資金調達ができたことを契機に、今後は物件情報サポート事業のサブリースや内装設備サポートのGFリースといった安定的な利益の積み上げが期待できるストック収益部分の拡大に注力していきたいと考えています。
――出退店支援事業での競合企業はありますか
片平 まるごとサポートのようなサービスは、飲食店の経営サポートを行う店舗流通ネット(東京都港区)が実施していたり、内装設備サポートはリース会社が行っているなど、部分ごとでは色々な会社が手掛けていたりしますが、飲食店に特化してすべてを行っている上場会社は当社だけだと考えています。
――「宇奈とと」による飲食店事業の今後の展開はいかがですか
片平 宇奈ととでは、一杯500円のうな丼などを提供しており、東京と大阪で14店舗を展開しています。飲食店のなかでは良い利益を出していると考えていますが、現時点では経営サポート事業をしっかり伸ばすことを目標としており、店舗数を大きく増やす計画はありません。ただ、うな丼などは来日した外国人にも人気で、海外からの出店の問い合わせもいただいています。ライセンスなどの形で将来的には海外出店もあるかもしれません。
実際に、飲食店を経営しているからこそ把握できるニーズや収集できる店舗関連の情報などがあります。それだけに、今後も飲食店事業と経営サポート事業は両立させるつもりです。
――今後の経営上の目標を教えてください
片平 売上高経常利益率は20%を目標としています。この数字は全体の事業展開を考慮しながら目指したいと思います。また、株主還元に関しては、将来的には各事業年度の業績を勘案しながら検討していく方針ですが、現時点では財務体質の強化や企業規模を拡大し、さらなるサービス開発などに注力していきます。飲食店の出退店支援サービス事業の潜在的な展開余地はまだまだ大きいと思います。それだけに、当面は投資して成長することが一番の株主への利益還元だと考えています。
(聞き手・岡里英幸)
●片平雅之(かたひら・まさゆき)
1975年1月生まれ。93年神戸製鋼所入社。フューチャークリエイト(現、店舗流通ネット)などを経て2003年5月にG-FACTORYを設立、代表取締役社長に就任。
●G-FACTORY株式会社
2003年5月に会社設立。ファーストフードとしてウナギ料理を提供する「名代 宇奈とと」の展開を目的に事業開始。07年に飲食店などの出退店支援を目的に「物件情報サポート」(経営サポート事業)を開始し、現在の主力事業となる。15年3月シンガポールに子会社を設立。16年9月30日に東証マザーズに株式上場を果たす。
http://g-fac.jp/
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