泉州電業 西村元秀社長インタビュー

投稿:2015/07/01 10:23

東京五輪やリニア新幹線追い風

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泉州電業(東証2部・9824) 西村 元秀社長に聞く

 泉州電業(9824)は、機器用電線・通信用電線・電力用ケーブルなどの電線類および各種電設資材の販売を行う電線専門商社で、多品種小ロットや即納体制を武器に建設業界向けや産業用を含めて幅広いユーザーから受注が拡大している。国内景気回復による設備投資やインフラ整備の活発化を追い風に電線需要は旺盛で、6月10日に発表された第2四半期連結決算(14年11月~15年4月)では売上高391億2200万円(前年同期比2.7%増)、営業利益13億400万円(同10.1%増)を計上。今15年10月通期も売上高773億円(前期比1.8%増)、営業利益26億3000万円(同5.8%増)と増収増益を見込んでいる。現状と今後の成長戦略を西村元秀社長に聞いた。
 

ケーブル需要旺盛、関東圏強化

──足もとの状況を教えてください

 「主力の機器用・通信用ケーブルが主に自動車業界やエレクトロニクス業界における工場内の生産ライン向けに堅調に推移しています。これらは工作機械やロボットといったFA関連の機器に用いられるケーブルですが、メーカーと共同で開発したオリジナル商品が多く、高付加価値な商材が多い分野であることが特徴です」
 「また、首都圏を中心とする電力ケーブルもインフラ整備の活発化により、旺盛な需要が続いています。これに加えて調整期間に入ると見ていた太陽光発電用ケーブルやこれらに付属するコネクタ類も堅調に推移しており、病院の耐震化に絡む建設用ケーブルの引き合いも依然として強い状況が続いております。2020年開催の東京オリンピックや中央リニア新幹線、継続する東北地方での復興需要など、今後もこれらに絡んでケーブル需要の拡大が期待されます」
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同社が扱う機器用・通信用電線。インフラ整備の活発化に伴う需要は大きい

海外売上高比率を中期的に30%へ
19年10月期売上高1000億円目指す

──今後の見通しについて

0625_photo2 「現在、国内最大の需要地域である関東での売り上げ増強に取り組んでいます。当社の関東地域の売り上げ構成比は2割弱であり、業界平均の3割超と比較しても低い状況ですが、それは、伸びシロが十分にあることを意味しています」
 「東京東営業所(千葉県柏市)の新規開設に続き、埼玉営業所を拡充、東京西営業所の自社物件化など営業基盤の強化を行っております。これに加えて、大電流・高電圧用のコネクタメーカーのエヌビーエス、今年3月には、自動車業界向け制御装置に強みを持つアシ電機のグループ化を行い、積極的なM&Aを含めて業容拡大に向けて取り組んでいます」

──海外戦略について教えてください

 「人手不足が顕著になりつつある中国で、日系自動車業界向けに製造現場で活躍する産業用ロボット向けケーブルの需要の取り込みを図り、納入シェアを拡大しております。上海、天津、そして、今年5月には広州にも拠点を増やし販路を拡大しています」
 「また、東南アジアでは、フィリピンの現地法人で事業を開始しました。この現地法人では、FAケーブルを主体としたハーネス加工業務を中心に、アジア市場に進出する各企業との連携を強化していきます。これら中国、タイ、そして、フィリピンの現地法人に加え、台湾、インドネシア、ベトナム、ミャンマー、インドへの進出も視野に入れています。これらの取り組みにより、現状で5%未満の海外売上高比率を中期的には30%に高めていきたいと思っております」
 「19年10月期を最終年度とする中期経営計画『チャレンジ70』での目標である売上高1000億円、経常利益50億円達成へ向けて業容拡大に取り組んでいきたいと考えております」
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各種電線のストックアイテムは業界ナンバーワン

●記者の目

 株主への還元も積極的であり、安定的な配当に加え、株主優待(1000円の図書カード)の贈呈も行っている。実質無借金経営と財務内容は良好で、堅実経営により着実に業績拡大を続けている。国内では、関東圏への展開を加速化させ、中長期的には海外での事業拡大も期待できる。売り上げ増につながる銅価格が緩やかな右肩上がりを続けていることも追い風だ。東証1部への指定替えの可能性も高く、攻めの経営による業容拡大が期待できる同社に引き続き注目していきたい。

配信元: みんかぶ株式コラム