今週はSQの週だが、北朝鮮リスクなければ上値を試す動きも

著者:出島 昇
投稿:2017/10/10 17:57

先週は、アメリカ株式の連日の最高値更新を受け日経平均も5日連騰

 先週の予測では、相場は底堅いものの北朝鮮リスクもあり、22日の総選挙に向けて調整気味の相場展開を想定しました。総選挙は小池新党「希望の党」が台風の目になり、北朝鮮リスクは10日の朝鮮労働党の創立記念日を控えてミサイル発射の徴候もあり、テクニカルな過熱感もでていることから2万~20500円の中でもみあいを想定しました。 しかし、結果的にはアメリカ株式の最高値更新が続き、円安も安定していることから海外ファンドとみられるインデックス買いが継続的に入りレンジを上放れ、今年初の5日連続の上昇となりました。しかし日足をみてみると前日のアメリカ株高に引っ張られて朝方は高いものの、その後は利益確定売りで上昇幅を縮小し日足で陰線の形となっており、上値に利益確定売りが多く控えていることを示しています。

 10月2日(月)は、前週末のアメリカ株高と円の弱含みを受けて△44円の20400円と9月25日の年初来高値20397円を更新し、2年1ヶ月ぶりの高水準となったことを好感し、NYダウは△152ドルの22557ドルをはじめ3主要指数の最高値更新が続きました。 これを受けて3日(火)の日経平均は為替も1ドル=113円台の円安となったことも追い風となり、△213円の20614円と2015年8月18日の終値20554円を突破し、2万~20500円でもみあったレンジを上放れしました。 その後のアメリカ市場は、5日(木)まで3指標とも最高値更新が続いたことで日経平均も連動し4日(水)は△46円の20660円で寄り付いて終値は△12円の20626円、5日(木)は△24円の20650円で寄り付いて終値は△1円の20628円、6日(金)は△88円の20716円で寄り付いて終値は△62円の20690円と今年初の5連騰となりました。しかし、ここで注目すべきは日足でみると前日のアメリカ株高を受けて高寄りするものの、その後は上げ幅を縮小して引けて日足では陰線となっているということなのです。これは上値には利益確定売りが待機していることを示しています。何か悪材料がでると一気に売り物がでてくる状況といえます。

 6日(金)のアメリカ市場は、注目の9月雇用統計はハリケーンの影響を受けて非農業部門雇用者数は予想を大きく下回りましたが、失業率は4.4%から4.2%へ改善し、時間給も予想を上回りました。3指標はマチマチの動きとなりS&Pは9日ぶりに反落し、NYダウも▼1ドルの22773ドルと小反落でした、シカゴの日経先物は▼50円の20660円となっていました。

今週は、北朝鮮リスクが落ち着けば上値を試すがSQの週に注意

 日本が連休中の9日(月)は、アメリカ市場はコロンブス・デーで取引参加者が少ない中、ドイツDAXが史上最高値を更新するなか、3指標そろって上昇スタートとなりましたが、北朝鮮リスクへの警戒感から長続きせず小幅続落となりました。

 今週は、国内的には衆院選の情勢をにらむ展開が想定されます。与党に対して野党は希望の党や立憲民主党などに分かれ複雑な構図での選挙戦となっています。これを背景に3連休明けの10日は北朝鮮の労働党創設記念日であり、地政学的リスクが高まるかどうかに注目となります。もし、北朝鮮がミサイル発射などの行動をおこしても下げは一時的なものになるとの見方が大勢です。

 先週は、週末の6日(金)には、ザラ場では20721円まで上昇し、2015年6月24日の20952円、8月11日の20946円のダブル天井のような形となっている高値を更新する可能性が視野に入ってきました。ただし、テクニカル的には過熱感が出ており、たとえば過熱感を示す指標である騰落レシオは目安とされる120%を8日連続で上回って4日時点で128%となりました。その後の2日間は120%を割ってきています。日足をみても前日のアメリカ株高によって朝方は高くなるものの、その後は上げ幅を縮小する動きとなって日足では陰線という形で、上値では利益確定売りが出てくる状況となっています。この状況を突破するには為替が114円水準の円安となって出来高が増加する必要があります。そのためにはアメリカ市場でドル高・株高が続く必要がありますが、株価は先週は3指標(NYダウ、ナスダック、S&P)が4日連続で最高値更新となって高値警戒感が出ているため、どうなるか注目するところです。

2015年の6月と8月の高値をぬくためには、先週までの上昇はインデックスの絡んだ値ガサ株が中心となっての上昇ですので何か強い買材料が出て商いが増加し、20950円水準を突破できれば、この水準にはカラ売りが多くあるため踏み上げとなって21000円を突破していくことも想定されます。そのような条件がいつ整うのかどうかということになります。

 本日10日(火)は、朝方こそ北朝鮮の挑発行動への警戒感があったものの、地政学的リスクの高まりもなく為替も落ち着いていたことで景気や決算期待を支えに上げ幅を拡大し、△132円の20823円と6日続伸で、かつ年初来高値更新となりました。悪い材料が見当たらないことから週末にSQ算出を控え先物買いインデックス買いが効き指数を押し上げました。SQの週は大きな上下動となる可能性が高いのですが本日は大きく上昇して引けました。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、底堅いものの上値は限定的とし2万~20500円のレンジを想定しました。

 結果的には、10月3日(火)にアメリカ株式の3指標の最高値更新が続き、円安も安定していることで外国人の買いで△213円の20614円とレンジを上放れしました。さらにアメリカ株式の最高値更新が続いたことで日経平均も連動する形となり10月6日(金)は20721円まで上昇して終値は20690円と5日続伸で引けました。しかし上昇の仕方をみるとアメリカ株式に引っ張られ朝方高く始まり、その後は上げ幅を縮小するというか形ですので上値には利益確定売りがかなり控えているのが想定されます。

 今週は、連休明けの10日(火)からとなりますが、この日に北朝鮮の労働党創立記念日でミサイル発射などの動きがなければ、アベノミクス相場の高値2015年8月が意識されることになります。ただし、衆院選の情勢をにらむ展開が想定され、テクニカルな過熱感もありますので、20500円をはさんだもみあいとなる可能性があります。アメリカ株式にも高値警戒感がでていますがドル高・株高が続くようですと日経平均はサポートされて2015年8月の高値を試すことになります。

 連休明けの本日は、懸念された北朝鮮の挑発もなく、為替も安定していることやSQの週ということもあって先物主導で大幅高となり△132円の20823円で引けました。

<a href='/stock/100000018'>日経平均</a>10-10

(指標)NYダウ

 先週の予測では、週末の10月6日(金)の雇用統計が注目となり、予想を上回れば追加利上げの観測がさらに高まり、ドルが買われて株価もサポートされるとし、週を通じては最高値圏でのもみあいが基本になるとしました。

 結果的には、トランプ政権の税制改革の期待が高まり、今月中旬から第3四半期決算発表、経済指標の強い結果を受けて10月5日(木)までは4日連続でNYダウ、ナスダック、S&Pの3指標そろって最高値を更新しました。NYダウは、この日22777ドルまで上昇して終値は△113ドルの22775ドルでした。週末の10月6日(金)は、注目の雇用統計は非農業部門雇用者数は予想を下回ったものの失業率や賃金など改善とチグハグな結果となったことでNYダウは▼1ドルの22773ドルと前日とほぼ変わらずで引けました。

 今週は、先週末の9月雇用統計の結果を受けて、年内の追加利上げ観測が高まってドルが113.44円まで買われましが、10日の北朝鮮の地政学的リスク懸念から、その後112.61円まで売られました。10日を何事もなく通過すればドル高は続くことになりますが、株価は3指標が4日連続の最高値更新となっており、高値警戒感がでるところです。又、18年度予算は下院で決定されましたが、上院の予算と相違があり共和党内でもめる可能性があります。7~9月期決算発表シーズンに入るため、個別で業績のよい銘柄の物色になってくるかもしれません。

 日本市場が休日の9日(月)のアメリカ市場は、朝方は3指標そろって上昇するものの北朝鮮情勢への警戒感が生じ、NYダウは▼12ドルの22761ドルと小反落となりました。

NYダウ10-10

(指標)ドル/円

 先週の予測では、ドルは強弱感はあるものの底堅い動きが想定され、週末の9月雇用統計が予想を上回れば、追加利上げの観測がさらに強まってドルが買われることになるとし、111~114円のレンジを想定しました。

 結果的には、週末の雇用統計発表までは特別の材料もないために、税制改革や追加利上げへの期待から1ドル=112円台の狭いレンジの値動きとなっていました。注目の10月6日(金)の9月雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想に反して減少となったものの失業率が4.4%→4.2%へと改善し、賃金も予想以上の上昇となったことで追加利上げ観測が高まり、一時1ドル=113.44円までドルが買われました。しかし北朝鮮のミサイル発射が懸念されドルが売られて112.63円で引けました。

 今週は、先週末の9月雇用統計の結果を受けて、12月の追加利上げ観測がますます高まり、ドルが1ドル=113.44円まで買われる場面がありました。10日の北朝鮮のミサイル発射の可能性があるものの、これが何事もなく通過すれば、ドルは堅調な動きが想定されます。又、11日公表のFOMC議事録で追加利上げの示唆があればこれもドル買い要因となります。但し、目先の上値は114円水準と思われます。112~114円が基本レンジ。

為替10-10

配信元: みんかぶ株式コラム