サカイオーベ[東1](3408)、東レの中国事業好調で見直し機運高まる

投稿:2015/11/30 10:37

 サカイオーベ[東1](3408)は、前週27日に4円高の220円と3営業日続伸、5円高の221円と買われ6月17日につけた年初来高値224円に迫っています。

 27日付の日本経済新聞朝刊が「東レの2016年3月期の中国事業の営業利益は、前期比24%増の235億円と過去最高になる見通しだ。縫製した衣料品の販売が伸び、紙おむつ用の不織布も好調だ。中国では経済の減速懸念が強いが、衣料品などの消費財の販売は底堅い。」と伝えたことが株価を刺激した面があります。

 サカイオーべの中国現地法人酒伊貿易(上海)有限公司は、中国内販事業ならびにアセアン地域を活用した事業を拡大していますが、東レが中国で好調なことから、サカイオーベも好調に推移していることが見直された様子です。

 それだけであれば、一過性の上昇にとどまる可能性はありますが、同社株が底堅い動きを見せている理由は、東レが2014年度からM&Aを積極展開していることです。炭素繊維メーカー大手の米ゾルテックを買収、日バイリンをTOB、日バイリンは12月25日付で上場廃止ですから、さて次のターゲットはという段階に入ったと思われます。

 東レは、取引の関係上サカイオーベの株式を4,645千株(6.79%)保有する筆頭株主であることに変わりありませんが、本年6月に東レの生産本部(繊維生産)担当兼生産技術第1部長兼技術センター企画室参事である田中良幸氏がサカイオーベの社外取締役に就任したものですから、関係が強化されるとの思惑が株価を下支えする要因として意識されています。

 また、本年3月に福井県が「JECヨーロッパ2015」に福井県ブースを設け、「炭素繊維といえば福井県」ということを、世界にアピール、サカイオーベも出展し、受注拡大を図っていることや、同社が製造する炭素繊維開繊糸織物を使用した工学院大学のソーラーカーが、オーストラリアで開催された世界最大級のソーラーカーレース「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ 2015」のクルーザークラスにて準優勝。クラレトレーディング株式会社と共同で鉛を使用しない「エックス線防護シート」の開発など注目できる材料を内包しています。取引銀行には、地元の福井銀行のほか、日本政策投資銀行が入り、官民学と連携を強める体制が整っており、地方創生の一役を担う企業とも言えます。

 足元の業績ですが、今3月期第2四半期営業利益は7億1800万円(前年同期比28.8%増)と計画を1800万円上ブレ着地と順調。通期営業利益は15億5000万円(前期比5.9%増)と続伸を見込んでいます。

 今期予想PER9倍台と割安感があるほか、日足では25日移動平均線(207円)がサポートする形でもみ合いを上抜く方向となっていますので、2014年3月高値236円抜けとなれば、05年1月高値317円まで上値を伸ばす余地も出てくる思われます。

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配信元: みんかぶ株式コラム