サクソバンクFX証券による特別セミナーに参加してきました。タイトルは
「プロアスリートと欧州のエコノミストに学ぶ日本人が世界で戦う術」
イタリアに渡った自転車プロロードレーサー宮澤さんとFX投資家にはファンも多い切れ味抜群のスティーン・ヤコブセン氏によるセミナーをお伝えします。
とても面白く、あっという間に時間が経ってしまいました。
そんなエキサイティングな内容をどこまでお伝えできるか、自信がありませんがどうぞ!
第一部:「海外で戦い、生き残るには」 宮澤崇史 元自転車プロロードレーサー
「誰にも負けない強みを持つこと」
宮澤氏の答えはこれだ。
海外でのプロ契約というのは我々の想像以上に難しく、イタリアやフランスなど自国の選手よりも優れている部分がなくてはならない。宮澤氏は英語もままならない状態から海外に渡り、とにかくすべてを必至で戦った。
英語が苦手な私はどのようにしてコミュニケーションが取れるようになるのかが気になりその部分を伺ったが、とにかくわかる単語を一生懸命つなげて相手の言っていることを理解しようとする。この姿勢と頻度で次第に理解できてくるとのことであった。
また、トレードにも参考になる言葉を頂いたので紹介しよう。
突き詰めていく過程でわかったことが一つ。
自転車でも筋肉をほぐしてくれるマッサージでも共通のポイントがある。それは
「余計なことはせず、重要なポイントに集中すること」
あれもこれもやっていては、圧倒的に突き抜けることはできない。
色々な通貨をつまみぐいするのではなく、ドル円ならドル円を集中して分析し、流れを把握してトレードしろと言われているような気がした。
気さくでオシャレな宮澤氏は今年から日本をベースに、湘南ベルマーレサイクルロードチーム監督、パーソナルコーチング、メーカーアドバイザリー・プロダクト開発、テレビ・ラジオ出演、講演活動など多岐に渡り活躍中とのこと。
第二部:「アベノミクス2.0-新三本の矢」と世界を取り巻くマクロ経済動向
いよいよデンマークより緊急来日したスティーン・ヤコブセン氏の登場だ。
サクソバンクfx証券が四半期ごとに無料で提供してくれるレポートは非常に読みごたえがあり、示唆に富む内容となっているのでまだご覧になっていない方は是非こちらで確認してほしい。
http://www.saxobank.co.jp/essential-trades/2015q4/
結論
非常に多くの、かつ興味深い分析を披露いただいたがメッセージラインは以下だ。
「米ドルは今後、利上げを行ったとしてもそこを高値とし、ドル安に進むだろう」
投資戦略としては、ドルを売って、金(GOLD)を買え!とのことであった。
以下、部分的にスティーン氏のプレゼンテーションを紹介しよう。
「よく聞かれる質問はいかの3つ」
・円(YEN)の行方
・金(GOLD)の行方
・株式市場の行方
それは、「UP 、UP 、UP and DOWN」だ。
そして、パリの同時多発テロをうけて改めて投資活動においても地政学リスクをしっかりと考えなければならない時代になったとしている。
世界はドル中心の世界に
世界は負債で出来ている。
この負債の大半はドル建てだ。
世界規模で2007年から現在までなんと、新しい負債が57兆ドルも増加している。
そしてこの2年間で資本調達コストが上昇している
・ジャンク債の資本調達コストが倍になっている
・高格付けの国債についても1%程度上がっている。
これが「米国利上げ前である」ということに注目してほしい。
アベノミスクはうまくいっていない
主要各国は揃って量的緩和をしている。
超低金利の金融政策をとっているということである。
理論的には株式市場が上昇し続けなければならない(が、そうもいっていない)
相対的に資産価値も下がっていく。
そして、企業の社債もジャンク債になっていくだろう。
(格付け的にはソフトバンクの社債もジャンク債になってしまうが。)
その結果、企業の資金調達コストはあがり、厳しい状態(つまり景気後退)の流れになる可能性がある。
そうならないために、アベノミクス新3本の矢を考えなければならない
→現状のアベノミクスはうまくいっていないことを物語っている。
日本は今後、「追加の量的緩和ができない」と私は考えている。
法人税の低減の話題が出てくることもその流れの一環であると考える。
つまり現時点で、アベノミクスは機能していない ということが言える。
人間のIQが景気を左右する
我々はIQが低い世代なのだ。
20世紀と比べると平均のIQが10%低いという調査結果がある。
GDPなどの経済指標から景気後退と判断される。
しかしながら世界的な流れとして「景気後退」=「IQの後退」の歴史なのだ。
この流れは止められない。
では何をすべきか?と問われれば、その答えは「教育」だ。
日本がベンチマークすべき国があるとすれば、それはスイスである。
スイスはIQが高く、生産性も高い。
日本が目指すべきところはここにある。
日本の負債は今後も増え続けるだろう。
そして国債の発行コストは必ず上昇していく
株式投資している方は自問自答してほしい
「投資対象企業は生産性が高いか?」
ゼロ金利ということは金融的にはゼロ成長ということと等しいのだ。
日本の政策でバランスシートを増やしてきた(量的緩和を続けてきた)が、既にピークアウトして低下傾向にある。
まだ年率30%で増えているが、以前は年率50%の上昇率だった。
この変化が非常に重要である。
日経225や為替相場は大きな転換点かもしれない。
今後の相場について
ドル円相場は130円を目指している。
そこから100円まで下落があるかもしれない
その要素は二つある。
①米ドルが一気にドル安になる
→ドル高が進みすぎると世界に影響がある
→負債が膨らむことになる。
→そして商品が下落する
その影響で新興国がダメージをうける
その新興国への輸出で日本やユーロが影響を受ける
グローバルな経済は今後、厳しくなってくるであろう。
新しいタイプの原始的な経済とはがはじまる。
それは他国に影響をうける経済である。
外部要因によって経済が左右される世界。
つまり、「原始的な」経済なのだ。
もしこうならなかったら、世界は景気後退(リセッション)になっている。
なので「ドル安」か「景気後退」この2つしか道はない。
②中国のシルクロード構想
ヨーロッパやアフリカを含めた経済圏を中国がカバーしようとしている。
人民元建ての経済圏を狙った構想である。
その一環として、IMFのSDR(通貨バスケット)の要素として元が追加された。
この3年間のうちに人民元は為替取引高TOP5にはいってくるだろうと私は考えている。
この構想はマーシャルプランに匹敵するくらい大きな経済圏の構想である。
■トレードのポイント
考え方としては、以下の通りだ。
・アベノミクス/低金利政策が機能していない
・2015/12に恐らく米利上げをするが、調達コストが更に上昇する
・アメリカのドルの価値は金利とは逆相関する傾向にある
→過去5回の利上げがある。そのうち4回は1番最初の利上げのタイミングが
ドルに関しての最高値になっている。
そのため、私のトレード戦略はこうだ。
「ドルを売って、金を買えばいい。1回目の利上げの時に。」
それが来年の一番いいトレードになるだろう
ドル高の終焉である。
ドル円は100円、ユーロドルは1.2へ向かうと考えている。
■最後に私の好きな言葉を送りたい。
元イギリス首相 ウィンストン・チャーチル Winston Churchill
Photo from Wikipedia
If you are going through hell, keep going
(もしも地獄の真っ只中にいるのなら、そのまま突き進むがいい)
※この(厳しくなるであろう)相場環境の中で投資するならば、それをしっかり受け止めて進むべし!と言われたような気がします。
この後に質疑応答の時間もあり、とても楽しく、エキサイティングな講演でした。
スティーンヤコブセン氏がとても好きになってしまいました。また是非、日本でご講演頂きたいと思います。
(記事:川島)
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