中間純利益が過去最高に
全事業部門で収益改善が進む
ギリシャ危機に中国市場変調と予断を許さぬ状況が続く国際市場。必然的に大手輸出企業の決算に注目が集まるが、その中の1社、ヤマハ発動機(7272)の15年12月期中間決算が発表された。
北米市場を中心にマリン事業が牽引する近年の構図は変わらないが、それに加えて主力の二輪車事業も先進国市場の復調が鮮明になってきた。年末には次期中計発表を控え、さらなる飛躍が期待される同社の姿を探る。
先進国二輪車市場も黒字化へ
8月4日に発表された2015年12月期第2四半期累計(1~6月)決算は、連結売上高8211億円(前年同期比9%増)、営業利益697億円(同42%増)、純利益は521億円(同62%増)となった。
いずれも事前の市場予測を上回る結果だが、なかでも純利益は中間期としては過去最高を記録。近年、同社が推進してきた収益体質改善の取り組みが明確に効果を上げていることを証明した。
部門別に見ると、二輪車事業では売上高が前年同期比7.6%増の5182億円、営業利益が同65.8%増の186億円となった。同社の二輪車事業に関しては、決算発表前に最大市場、インドネシアでの不調が伝えられたが、「その分をベトナム市場の回復やフィリピン市場の成長などで補い、新興国市場全体としては前年並みを維持することができた」(柳弘之社長)という。
さらに先進国市場では、高価格帯の新商品投入効果もあって「市場回復が本格化し安定感のある状況」(同)で、実に7年ぶりの黒字化が濃厚だ。
また、稼ぎ頭のマリン事業は近年の好調をそのまま維持。主力の北米市場で、「船外機の大型志向が高まっている」(同)という顧客ニーズの変化も追い風となり、やはり高価格帯商品が好調。売上高1688億円(前年同期比12%増)、営業利益393億円(同41.7%増)を稼ぎ出した。
次期中計への施策に期待
このように順調に推移した今期だったが、既に市場の関心は通期業績へと移っている。同社は売上高1兆7000億円、営業利益1200億円の通期計画を据え置いたが、これは極めて保守的な見通しとみていい。
世界経済を見渡せば、確かに不安定な要素も少なくない。だが、同社は中国への依存度が低く、プラットフォーム・モデルの確立など生産体制の最適化が進み、高価格帯の新商品が世界各地で顧客ニーズをつかむなど、不安材料と比べてはるかに好材料が多いからだ。
特に東京国際モーターショーから次期中計発表へと繋がる今期後半の動向に注目したい。狙い通りの成果を上げた現中計から、さらにステップアップを狙う次期中計に向けて、同社がどのような新商品、新機軸を打ち出してくるかが楽しみだ。
決算会見を行う柳弘之社長
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