チャート形状は好転中

著者:菊川弘之
投稿:2018/04/13 10:46

注意イベントが相次ぐリスク

 地政学リスク・貿易問題の一服感に加えて、FOMC議事録の再評価から、ドル円がこれまで上値抵抗として立ちふさがっていた一目均衡表の雲の中へ突入してきた。4月5日高値を上抜いてくると、パターン分析でも、逆三尊の底入れが意識されるチャート形状だ。

 例年、4月新年度は、ドル高・NY株高の季節傾向が確認される時間帯。テクニカル面からは、転換線を下値支持として、V=108.2円、E=108.5円などが上値ターゲットとしてカウントできる。

 ファンダメンタルズからは、今後、本格化する米決算が強気であれば、追加利上げ観測の高まりと共に、ドル買いの勢いが増す可能性がある一方、地政学リスクも貿易問題も終結した訳ではなく、早ければ週末にも発表される米国半期為替報告、来週の日米首脳会談で通商問題がクローズアップされると、円高圧力が高まるだろう。米国が貿易問題で日本にも厳しい姿勢を示すなら、テクニカル面から買われた高値が売り場になる可能性もある。内憂で支持率が落ちる中、外交で挽回したい安倍首相を、トランプ大統領がバックアップするのか、突き放すのかが、まずは注目。ここでもトランプ大統領次第で、大幅続伸も、急反落もあり得る地合いだ。
 
地政学リスクからは、シリア攻撃がピンポイントかつ短時間で終息すれば、「知ったら終い」で、ドル売り圧力後退と共に、テクニカル買いの後押しとなるかもしれないが、5月に控えるイラン核合意見直しや、イスラエルの米大使館エルサレム移転などに伴う「サウジVSイラン」、「イスラエルVSイラン」「米国VSロシア」などの対立構図が、それぞれ激化する可能性を考慮すると、ドル円は雲の中へ突入したものの、雲の上方へ飛び出すには、まだまだ日柄と新たな材料が必要であろう。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想