米利上げならば市場は買いで反応、日本株は高値で2016年を終える。
クリントン氏が当選すれば、現政権の政策が継承され安心感から、市場は買い戻しに動き為替は円安ドル高に進むだろう。
反対に、トランプ氏が勝利すれば政治・経済・外交の先行きに不透明が高まり、今年6月のイギリスの国民投票で(EU)離脱派が勝利した日のマーケットの下落かそれ以上のインパクトに繋がる恐れもある。
これらの見解はすでに各所で言われ尽くした事であり、結果がどうなるかわかる前に考察したとしても、あくまで推測の域を出ない。
そこで、選挙後のマーケットに焦点を当てて、相場を探っていきたいと思う。
■12月FOMCを見極めるまでは、個別物色が中心に。
大統領選挙が明けてから、すぐさま買い戻しに動くかと聞かれれば、本腰を入れてくるのは難しいと言えるだろう。
なぜなら、12月の米FOMCが13日~14日の日程で予定されており、ここで利上げに動く可能性が高いからだ。
選挙という今年の一大イベントを通過しても、これまで市場を悩ませ続けてきた利上げ後の反応を見極めなければ、動くことができないのは当然のことである。
その為、市場は一時的な反発こそあれ、来月のFOMCを通過するまでは様子見ムードが強く、横ばいでの推移が続くものと見ている。
レンジ相場に入ると活発化するのが、個別での材料物色。
決算明けなので業績面を踏まえた売買が進むのは前提として、注目しておきたいのが(9984)ソフトバンクの動向である。
11月7日に発表された17年3月期中間決算では、純利益が7662億円と前年同期比で80%の増加と好調な内容を示し、市場での反応は良好。8日の取引では2%前後の上昇を見せていた。
ただ、ここで取り上げたのは決算の内容ではなく、中国の独身の日(11月11日)が選挙直後に控えているからだ。
1が並んでいることから11月11日を中国ではこのように呼んでおり、独身を楽しんでもらう為に多くのショップがセールを実施。今では電子商取引が最も行われる日として、周知されている。
中国の電子商取引最大手「アリババグループ」は、昨年の同日に1日で912億元(約1兆7000億円)もの売り上げを記録。
親会社であるソフトバンクが同日に市場の関心を集め買われることとなれば、指数を押し上げるだろう。今年、買われていたEC関連への再燃に繋がる可能性があるので、併せて動向を追っておきたいところだ。
■年末にかけて盛り上がりを見せる「新規上場」へ関心向かうか。
さらに、年末といえば新規上場が盛んに行われる時期である。
12月8日に上場承認を受けた(3475)グッドコムアセットを含めると、今年は年間トータルで71社が上場することになる。
上場観測が囁かれている自動運転車のベンチャー企業:ZMPは別として、気になるところでは11月29日に上場する(5704)JMC。
3Dプリンターや砂型鋳造による各種部品や商品を手掛けている企業である。
3Dプリンタの販売などは収益へ結びついている印象は受けないが、医療機器や臨床モデルなど医療向けの作製も行っており、今後の活躍が期待できる。
他の3Dプリンター関連へ物色が波及する可能性もあるだろう。
FOMCまではレンジ圏内での推移が続き、個別株物色が継続。
利上げが決まり市場は買いで反応、日本株は高値で2016年を終える。
これがわたしが掲げる理想的な年末までのシナリオ。
日経平均は10月、日足の200日移動平均線を明確に突破した。
昨年、同様に200日移動平均線を突破した時は、チャイナ・ショックの下落からの戻り局面であり、20,012円まで上昇したのである。現在の株価は当時に比べると3,000円近く下回っているため、少なくとも半値戻りの水準となる18,500円までは戻りを試してほしいものだ。
本村