大統領選挙結果が日本株に与える影響は?

著者:藤村哲也
投稿:2016/11/08 18:11

ヒラリークリントンのケースは?

追記分

トランプ勝利となりました。トランプ政権発足となると、世界経済にとっては、今までにない大きな変化となりましょう。トランプのケースは?下段をご参照下さい。


ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題の再捜査を開始で、どう揺れるか最後まで分かりません。11月8日現段階ではヒラリークリントン、トランプは拮抗しており、ふたを開けてみないと分かりません。6月のイギリスのように来週大きな波乱があるかもしれません。

そこで、今はヒラリークリントンの場合とトランプの場合、どのような違いが生じるのか?を見ておきたいと思います。

先ずは、ヒラリークリントンが女性初の第45代アメリカ大統領,ティムケインが副大統領の線で進んだ場合の日本株や為替に与える影響を考えておきたいと思います。

オバマ大統領が2期連続でつとめ,リーマンショックのあった2009年1月から約8年にわたって,民主党が政権を握ってきました。ヒラリークリントン政権であれば,民主党政権であることには変わりませんので基本的には今までの延長路線となり大きな不透明要素はありません。

ただ、大統領や副大統領が替わることによる影響や閣僚人事によって、様々な政策変更もありましょう。

特に外交面でオバマ政権とヒラリークリントン政権では大きな変化が出てくる可能性が高いですので、この点についても留意しておきましょう。

今後の日程は11月8日の選挙後、閣僚の人事が順次決まってきて、次期政権の組織体制が固まり、対策の中身も徐々に明らかになり1月上旬に大統領、副大統領が正式に決定,1月20日に就任式となります。

マーケットにインパクトを与えるのは、やはり閣僚人事や経済対策の行方。

特に、ヒラリークリントン政権では、医療分野、防衛軍事分野、資源エネルギー分野、
TPPなどの動向が注目されます。

医療分野は、薬価引き下げに舵を切る可能性が高く、日本の医薬品株にも悪い影響を与える可能性があり、注意が必要です。

防衛軍事分野は北朝鮮や中東諸国に対し、強硬路線を敷き、中国に対しては友好路線を敷くなど対応にメリハリが出そうです。基本的には強硬派タカ派ですので三菱重工などの軍需株の動きには注目しておきたい。

又、エネルギー政策も注目です。シェールガス、シェールオイルの開発に規制をかける可能性も高く、原油価格にも影響を与えます。
太陽光や風力など自然エネルギー推進の動きも要注目といえましょう。

TPPや為替政策も、もちろん重要です。

基本的に予想できる流れとしては、原価価格は高まり、適度なドル安円高傾向を堅持し、米国内需は引き続き拡大、金利引き上げの路線に変更なく、米国株価、日本株価ともに堅調に推移と予想しています。

ヒラリークリントン政権であれば日経平均株価は18000円台に突入するような展開を予想し、為替は過度な円安は容認しないため105円から±3円くらいのレンジで安定的に推移するのではないでしょうか?

年末予想レンジ

日経平均は18000円から18500円
為替は102円から108円。

トランプのケースは?

トランプ政権の場合はどうでしょう?

トランプ大統領、マイク・ペンス・インディアナ州知事が副大統領候補、の体制で組閣されていき来年1月20日に新体制が始まります。

トランプは政治の世界からではなく実業界からのし上がり、アメリカ第一主義を主張し、イスラム教徒などを排他するなど過激な発言が目立ちます。

大統領になったら、どうなるのでしょうか?

まさか、と思っていましたが、本当に考えとく必要がありましょう。

様々な変化が起こると思いますが、悪いことだけでは当然ありません。

特に重要なのは、米国国民の雇用を守り、豊かにしていくと言う意味合いの「偉大なアメリカを取り戻す」ことをスローガンに掲げている点。世界での役割よりも米国国内に焦点が当てられているといえましょう。

世界から見れば、米国の果たしてきた役割は軍事面でも経済面でも大きく、その役割が縮小することは不安です。グローバリズムの動きが止まるかもしれず、これは最大の注意が必要です。

実際、いろんな発言の基になっている考えは、グローバルな役割を縮小させ、負担を少なくし、その分、米国国内の力をつけていくことに力を注ぐと言うものです。

選挙民である米国国民から見れば、自分たちの生活を変えてくれる可能性がある頼もしい存在へと浮上しています。米国の現状に不満の人たちにとってみれば、希望になっています。

だからこそ、いろんな問題があっても最後まで競り合って来ているといえましょう。

では、トランプ政権になったら、どうなるのでしょうか?

インフラの整備と減税を打ち出しています。将に、内向きの政策で、先ずは米国国民の生活を向上するためにどう手を打っていくかが注目されます。

注目分野は、米国消費、インフラ、エネルギー政策、などとなりましょう。

国民の生活に目を向け雇用政策を重視し、減税も掲げることから米国消費は上向いていく筈ですが、どうなるか?未知数です。

消費力アップの実現までには時間もかかりましょうし、日本製品や中国製品などは自動車や家電製品を含め、叩かれる可能性があり、この点、十分注意が必要です。

為替の動向ももちろん注意が必要です。

インフラの整備も掲げておりますが、これも内需志向の象徴で、老朽化の進んだ各種インフラを整え、米国内需を喚起する政策です。道路や電力網、橋、などのインフラ整備を大胆に進めるかもしれません。

エネルギー政策はどうでしょう?クリーンエネルギーよりも原油やガスの開発に積極的であり、原子力推進派。温暖化対策は後退する可能性があり、その点も留意が必要です。

減税と内需刺激の景気対策が二本柱となる可能性が高いため、米国の金利動向には今まで以上に注意が必要です。米国国債が売られ、金利が上がっていく可能性があり十分注意が必要です。

トランプ政権の場合、最初はショックがありましょう。ただ、すぐに全てが変わってしまうわけでもありません。徐々に冷静さを取り戻しましょう。世界がどう変化していくかを見極めながらマーケットは動いていくのではないでしょうか?

トランプ政権になった場合、円高は一時的に進みやすく、金利は上がりやすく、株は一時的にショック安になるリスクがあります。

今までは、ヒラリークリントン政権を前提として、マーケットは動いてきたため、世界のお金の流れは大きく変わるかもしれません。十分注意が必要です。

年末予想レンジ

日経平均は15000円から17000円
為替は95円から105円。




藤村哲也
ライジングブル投資顧問代表
配信元: 達人の予想