売り買い拮抗で小動き、好業績銘柄物色は継続

著者:冨田康夫
投稿:2016/11/01 18:29

明日の東京株式市場見通し

 2日の東京株式市場は、1日時点の騰落レシオ(東証1部、25日平均)が139.52%と、短期的には買われ過ぎのシグナルが点灯し、株価指標面での過熱感が顕在化している。ただ、外国為替市場での円相場が1ドル=105円前後で推移していることや、決算発表に伴う好業績銘柄物色の流れも継続し、売り買いが拮抗する地合いとなりそうだ。

 市場関係者からは「きょうは、ファナック<6954>、パナソニック<6752>村田製作所<6981>なと代表的なハイテクの輸出関連銘柄がいずれも大幅安となった。地合いが弱ければ、マイナス効果が広がり全般相場も軟調推移を強いられる場面だった。ガイダンスリスクが個別銘柄の株価下落にほぼおさまっており、投資家心理の底堅さが感じられる」との見方が出ていた。

 1日の東京株式市場は売り買いが交錯する展開。朝方安く始まった後にプラス圏に浮上したものの、上値も重く前日終値を挟んでの小幅なレンジでの往来相場となった。結局大引けの日経平均株価は、前日比17円38銭高の1万7442円40銭と小幅反発した。

1日の動意株

 メタップス<6172>=後場一段高。
同社は1日、日本ガス<8174>子会社の雲の宇宙船の株式250株(株式持ち分25%)を取得したと発表。また、9月7日に発表したメタップスと日本ガスの資本・業務提携に基づき、日本ガスがメタップス株60万7000株(株式持ち分4.71%)を取得し、メタップスの第3位株主となったことも明らかにしている。雲の宇宙船への出資は、日本ガスが持つ顧客基盤との豊富なネットワークが、メタップスが手掛けるマーケティング事業の領域と高い親和性を持ち、これらを連携することでさらなる事業成長が見込めると判断したため。ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)技術を活用した先進的・画期的な総合エネルギープラットフォームの構築を目指し、新プラットフォームの外販も検討していきたいとしている。

 東京都競馬<9672>=急伸。
同社は10月31日の取引終了後、16年12月期の連結業績予想について、売上高を192億400万円から196億1900万円(前期比6.3%増)へ、営業利益を42億5700万円から49億4300万円(同4.7%増)へ、純利益を26億4800万円から30億円(同16.4%増)へ上方修正したことが好感されている。公営競技事業で「在宅投票システム(SPAT4)」が引き続き好調に推移していることが業績を牽引。同システムの関連費用などは増加するものの、予定していた修繕工事や遊園地事業の仕入れなどが減少することが見込まれるため、上方修正したという。

 JVCケンウッド<6632>=大幅高。
同社が10月31日取引終了後に発表した17年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結売上高は1363億9100万円(前年同期比2.1%減)、営業損益は8億6900万円の赤字(前年同期9億8000万円の赤字)だった。前年同期から赤字幅は縮小しているが、注目は7~9月期の営業利益が5億5000万円の黒字と回復色を強めていることだ。前年同期の8700万円の黒字と比較して6.3倍強の大幅な伸びを示しており、これが物色人気の手掛かりとなった格好だ。

 曙ブレーキ工業<7238>=急伸。
同社は10月31日の取引終了後、17年3月期の連結業績予想について、売上高を2713億円から2575億円(前期比8.5%減)へ下方修正した一方、営業利益を16億円から40億円(前期37億6100万円の赤字)へ上方修正したことが好感されている。想定為替レートを1ドル=115円から107円へ、1ユーロ=125円から115円へ見直したことで売上高は下方修正したものの、米国事業の早期立て直しに向けた施策が奏功し同事業の営業損失が改善することや、日本国内で生産・調達の合理化および諸経費などのコスト削減効果が計画以上に進んでいることが要因としている。なお、純利益は2億円(同194億6200万円の赤字)の従来予想を据え置いた。

 きんでん<1944>=急反発。
同社は10月31日取引終了後に、17年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表。営業利益は103億6700万円(前年同期比0.1%減)となり、従来計画の75億円から上振れ着地した。売上高は2012億4200万円(同2.0%減)で、従来計画の2000億円を超過。工事採算性の向上で完成工事総利益が増加したことが営業利益を押し上げた。なお、通期業績予想は従来計画を据え置いている。

 パピレス<3641>=ストップ高で年初来高値更新。
同社は10月31日の取引終了後、17年3月期の連結業績予想を上方修正したことが好感されている。売上高を125億7300万円から140億8700万円(前期比34.8%増)へ、営業利益を11億1700万円から13億9500万円(同36.9%増)へ、純利益を7億4200万円から9億1300万円(同40.2%増)へ修正した。先行投資としての広告施策の効果が、想定よりも早く売り上げの増加に結びついているためとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想