「16年度下期、IT業界の行方は?」 アスキー編集部チーフディレクターに聞きました!<直撃Q&A>
急激な成長が続くIT・デジタル業界。16年度上期も人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングス)が大きな話題となり、産業界全体に衝撃を与えている。今年度下期もソニー<6758.T>からVR(仮想現実)を活用したゲーム用ゴーグルの発売などが予定されており、IT業界は一段と注目を集めそうだ。現在のIT産業の現状をどう分析し、今後の展開をどう予測すればいいのか。カドカワ<9468.T>の傘下でIT・デジタル専門メディアを展開するアスキー編集部チーフディレクターの小林久氏に聞いた。
●小林久氏(アスキー編集部チーフディレクター)
Q1 IT・デジタル関連業界の近年の状況をどう分析していますか?
AIにしても、IoTにしてもその概念自体は、決して新しいものではありません。「月刊アスキー」の創刊は1970年代後半ですが、その頃にはすでにコンピューター時代の将来像として描かれていたものです。当時は、性能不足でできなかったことが、パソコンやサーバーの処理能力の向上や、インターネットとクラウドというプラットフォームの整備といった条件が揃い、一躍注目を集めるようになりました。特に、クラウドで全世界から膨大なデータを集めて一括処理して、特徴を見つけるということもできるようになりました。
この結果、AIやIoTなど、これまで理想として語られていたことが、ここへきて一気に花開いています。AIもこの5~6年で急速に話題となっていました。コンピューターが囲碁の世界チャンピオンに勝つのは、まだ何十年も先のことだと考えられていましたが、それも現実となりました。この進歩の速さは、やはり驚きだと思います。
Q2 そのなかで今年度下期から来年度に向けて注目されるポイントは?
10月にソニー・インタラクティブエンタテインメントから、「プレイステーション VR」が発売されます。これを契機にVRが一般の人にも身近な技術となると思います。いまのところVRはゲームなどコンシューマー(消費者)向け技術とみられていますが、今後はB2B(企業間取引)への展開が進むと思います。
例えば、ソニーはオリンパス<7733.T>と資本業務提携をしていますが、内視鏡を使った手術などにVR技術を用いれば、より高度な治療を展開できるようになるでしょう。一方、B2Bという意味では、AIを在庫管理に活用することで、品質に問題のある商品だけをはじき出すといったようなことにも使えるでしょう。医療での画像診断といった分野で展開することもできます。すでに米国などでは、レントゲンやCTスキャン画像といった医療データの診断にAIを活用するような動きが出ています。
また、スマホにAR(拡張現実)機能を取り入れ、電子商取引(EC)に活用する試みもこれから始まると思います。さまざまな画像をドローンを使って空中から取り込み、それをVR技術を活用して提供すれば面白いコンテンツになるでしょう。こういった技術の組み合わせによる新しい動きに注目したいと思います。
Q3 今後、注目できる企業やテクノロジー分野はありますか?
前述のソニーなどの展開には注目していますが、有機ELなどディスプレーを構成するハードウエアやデバイスにも関心を持っています。この分野はもともと日本企業の強かった分野です。有機ELは次期「iPhone」への搭載も噂されていますし、VRで使用されるヘッドマウントディスプレー(HMD)にも採用されています。
キヤノン<7751.T>の子会社のキヤノントッキは有機ELの製造で欠かせない会社になっていると聞きます。セイコーエプソン<6724.T>もSi-OLEDという独自技術を応用した有機ELを自社のウエアラブルデバイスに搭載しました。ディスプレーやセンサーといった最先端のハイテク技術を実現するのに欠かせないデバイス関連の有力企業への関心は今後、一段と高まるのではないでしょうか。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(こばやし・ひさし)
PC・ITの総合情報サイト「ASCII.jp」の編集リーダー。1998年、株式会社アスキー(当時)に入社。ASCII24、月刊アスキーなどを経て現職。記者・編集者としてIT業界を取材し、最新の技術トレンドやデジタル機器の最新情報を追いかけている。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)
●小林久氏(アスキー編集部チーフディレクター)
Q1 IT・デジタル関連業界の近年の状況をどう分析していますか?
AIにしても、IoTにしてもその概念自体は、決して新しいものではありません。「月刊アスキー」の創刊は1970年代後半ですが、その頃にはすでにコンピューター時代の将来像として描かれていたものです。当時は、性能不足でできなかったことが、パソコンやサーバーの処理能力の向上や、インターネットとクラウドというプラットフォームの整備といった条件が揃い、一躍注目を集めるようになりました。特に、クラウドで全世界から膨大なデータを集めて一括処理して、特徴を見つけるということもできるようになりました。
この結果、AIやIoTなど、これまで理想として語られていたことが、ここへきて一気に花開いています。AIもこの5~6年で急速に話題となっていました。コンピューターが囲碁の世界チャンピオンに勝つのは、まだ何十年も先のことだと考えられていましたが、それも現実となりました。この進歩の速さは、やはり驚きだと思います。
Q2 そのなかで今年度下期から来年度に向けて注目されるポイントは?
10月にソニー・インタラクティブエンタテインメントから、「プレイステーション VR」が発売されます。これを契機にVRが一般の人にも身近な技術となると思います。いまのところVRはゲームなどコンシューマー(消費者)向け技術とみられていますが、今後はB2B(企業間取引)への展開が進むと思います。
例えば、ソニーはオリンパス<7733.T>と資本業務提携をしていますが、内視鏡を使った手術などにVR技術を用いれば、より高度な治療を展開できるようになるでしょう。一方、B2Bという意味では、AIを在庫管理に活用することで、品質に問題のある商品だけをはじき出すといったようなことにも使えるでしょう。医療での画像診断といった分野で展開することもできます。すでに米国などでは、レントゲンやCTスキャン画像といった医療データの診断にAIを活用するような動きが出ています。
また、スマホにAR(拡張現実)機能を取り入れ、電子商取引(EC)に活用する試みもこれから始まると思います。さまざまな画像をドローンを使って空中から取り込み、それをVR技術を活用して提供すれば面白いコンテンツになるでしょう。こういった技術の組み合わせによる新しい動きに注目したいと思います。
Q3 今後、注目できる企業やテクノロジー分野はありますか?
前述のソニーなどの展開には注目していますが、有機ELなどディスプレーを構成するハードウエアやデバイスにも関心を持っています。この分野はもともと日本企業の強かった分野です。有機ELは次期「iPhone」への搭載も噂されていますし、VRで使用されるヘッドマウントディスプレー(HMD)にも採用されています。
キヤノン<7751.T>の子会社のキヤノントッキは有機ELの製造で欠かせない会社になっていると聞きます。セイコーエプソン<6724.T>もSi-OLEDという独自技術を応用した有機ELを自社のウエアラブルデバイスに搭載しました。ディスプレーやセンサーといった最先端のハイテク技術を実現するのに欠かせないデバイス関連の有力企業への関心は今後、一段と高まるのではないでしょうか。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(こばやし・ひさし)
PC・ITの総合情報サイト「ASCII.jp」の編集リーダー。1998年、株式会社アスキー(当時)に入社。ASCII24、月刊アスキーなどを経て現職。記者・編集者としてIT業界を取材し、最新の技術トレンドやデジタル機器の最新情報を追いかけている。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)
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