大幅高の反動で売り優勢、中期的な買い安心感は持続

著者:冨田康夫
投稿:2016/09/21 19:04

23日の東京株式市場見通し

 あさって23日の東京株式市場は、現地21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果によっても左右される可能性がある。ただ、今回のFOMCでの利上げの可能性は極めて小さいとの見方が多くを占めており、外国為替市場で波乱がなければ、日経平均株価への影響も限定的となりそうだ。

 23日は、きょうの日経平均株価が、日銀の金融政策決定会合の内容を好感して前日比315円高と大幅反発したことへの反動や、週末のポジション調整の動きも加わって、利益確定の売りが優勢となりそうだ。

 市場関係者からは「警戒感の強かったマイナス金利の深掘りを見送って、マイナス金利0.1%を維持したことがマーケットに安心感を与え、銀行など金融株の買いを誘った。さらに、日銀のETFの買い入れ策を見直して、東証株価指数(TOPIX)連動型の買い入れ比率拡大を表明した点も好感された。日経平均連動型のETFを買い続けると、寄与率の高い銘柄の浮動株比率が低下して、株価に歪みが生じる懸念が出ていただけに、TOPIX連動型の比率を高めることで、ETFの買い入れ余地が広がった」との見方が出ていた。

 21日の東京株式市場は、前場は日銀の金融政策決定会合を目前に買い手控えられ安かったものの、後場に入り決定会合の結果を受け急速に上昇が加速した。日経平均株価終値は、前日比315円47銭高の1万6807円62銭と大幅反発した。東証1部の売買代金は2兆7152億円と膨らんだ。

21日の動意株

 日本郵船<9101>=後場一段高。
鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数が8月中旬以降戻り足を加速、直近は860ポイント台まで戻し約1年ぶりの水準を回復している。バルチック指数は大手海運との株価連動性が高く、目先追い風環境が意識されている。

 ファーストコーポレーション<1430>=後場上昇加速。
きょう付の日本経済新聞が「2016年6~8月期の経常利益は、前年同期比2倍の7億円と、この期間として過去最高になったようだ」と報じたことが材料視されているもよう。記事では、事業エリアとしている東京都心部などでマンション事業が好調だったとしている。なお、同社が7月8日に発表した今17年5月期の業績予想は、中間期の経常利益が8億9500万円(前年同期比23.9%増)、通期の経常利益が18億3600万円(前期比21.3%増)を見込んでいる。

 インベスターズクラウド<1435>=4日ぶりに反発。
同社はきょう、子会社のiVacationが民泊向けIoTデバイス「TATERU Phone」を活用したスマート民泊の実証実験を開始したことを明らかにした。iVacationは15日に、東京都大田区の物件で特区民泊経営事業の認定を取得。この物件で、宿泊者に対して「TATERU Phone」を無料でレンタルし、実際に利用してもらいながらスマート民泊の実証実験を行う。

 クスリのアオキ<3398>=ストップ高。
同社は20日取引終了後、17年5月期の第1四半期(5月21日~8月20日)単独決算を発表し、売上高は465億7900万円(前年同期比18.1%増)、営業利益は30億3300万円(同11.2%増)と2ケタ増収増益で、順調な滑り出しとなったことが好材料視されている。第1四半期は、ドラッグストアを15店舗、またドラッグストア併設調剤薬局を8薬局新規で開設し、積極的なドミナント展開が奏功した。さらに、前期にオープンしたドラッグストアや薬局も業績にフルで寄与した。

 アプリックスIPホールディングス<3727>=一時ストップ高。
同社は20日、9月20日から開催されているアジア最大級のマーケティングカンファレンス「アドテック東京2016」で、LINE<3938>のブースに設置される「LINE Beacom」のデモ用端末にビーコン製品が採用されたと発表。同社ビーコン製品のさらなる利用拡大などが期待されているようだ。「LINE Beacom」は、コミュニケーションアプリ「LINE」上で、街中などに設置されたビーコン端末からの信号情報と連動して、ユーザーとコミュニケーションを行うことができるサービス。

 パレモ<2778>=一時ストップ高。
同社は20日取引終了後、17年2月期の単独業績予想の修正を発表。売上高を232億円から241億円(前期比11.7%減)へ、営業利益を3億7000万円から6億円(同4.4倍)へ、最終損益を1000万円から1億8000万円(前期3億1300万円の赤字)へ大幅に増額した。これをポジティブ視する買いが集中している。同社はアパレル雑貨を専門に手掛けるが、アパレル事業で前期から取り組んでいる商品供給の最適化と在庫コントロールの適正化に天候要因も味方して既存店の売り上げが伸びている。一方、不採算店舗閉鎖などの合理化や売上総利益の拡大などで利益面でも会社側の想定を上回る見通しとなった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想