■金融緩和を行っても日本単独では大きな流れは変わらない、その理由とは?

著者:平野朋之
投稿:2016/09/21 11:10

黒田総裁も原油価格には注視?

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■昨日は、日米の金融政策決定を控えて様子見ムードが広がり、レンジの狭い取引で終日行われました。

■本日は、日銀金融政策決定会合の結果や「総括的な検証」に対するコメントがあるので、アジアタイムではこの材料を手掛かりに動いてくるとみています。
今回の会合ではマイナス金利の深堀りは据え置きとみていますが、検証結果次第で10月会合への期待が相場に対する下支え材料になるので注目したいです。

日銀の目標とする2%物価は、長引く原油価格の下落や消費増税延期、そして世界経済の不透明を理由に未達成のままで、来年の見通しもこの状況ではほぼ難しいとみています。それは、原油価格が今後も不安定であるからです。


■原油の月間足チャートを見ると今の状況が良くわかります。

1998年12月の安値(10.35ドル)から2001年11月安値(16.70ドル)を結んだ線、つまりサポートラインがーマンショック後の2008年12月の安値(32.40ドル)になっています。更に、そのサポートラインの延長線上をみると完全にサポートラインを割り込んでいるのです。

2000年代に入り、世界的な需要は右肩上がりに伸びていることは言うまでもなく、そのサポートラインこそが需要曲線といえるラインだとみています。

しかし、昨年の夏以降のチャートを見れば、完全にこれまでサポートとして作用してきたラインを完全に割り込み、20ドル台まで進んでしまいました。今年はその反動で一時、50ドルを上回る水準になりましたが、割り込んだサポートが今回のレジスタンスラインになっているのです。

■では、このレジスタンスとなっている50ドルを上回るには、二つの条件を満たさなければ世界的な好景気サイクルの循環に入らないとみています。

・供給サイド…産油国による協調減産
・需要サイド…世界貿易通貨である「米ドル」が割安になることで、需要が喚起する

■上記ポイントの達成は必要不可欠であるものの、直ぐに解決できる問題ではなさそうです。産油国の足並みが揃わないのも、中期的にも原油価格は低迷期に入る可能性もあるとみています。


■日銀の異次元緩和や米国の追加利上げの問題では、この原油トレンドは変わりそうにないとみています。今年の負の連鎖も原油価格急落から始まっていま。その連鎖の根幹は原油価格にある事を忘れないでいただきたいと思います。

その意味では、日銀黒田総裁もこの原油価格には注視しているのはよくわかる気がします。


■本日は、「総括的な検証結果」次第といったところはあります。しかし、数時間後にはFOMCもあるので下値及び上値追いは禁物とみています。むしろ、日足のボリンジャーバンドを使ってカウンター狙いで考えています。

買いエントリー
ボリンジャーバンド-2σ…100.76円

売りエントリー
ボリンジャーバンド+1σ…103.09円
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想