「いったんリバウンドも、上値余地乏しい」

著者:黒岩泰
投稿:2016/09/19 11:15

「日米の金融・財政一体化を警戒」

 9/16金曜日の日経平均は114.28円高の16519.29円で取引を終了した。朝方から堅調スタートとなり、後場に入ってからさらに上昇幅を拡大させる展開。前日の下落に対する押し目買いの動きが強まった。

 日経平均の日足チャートでは、上方の窓(16528.02円―16585.80円)に一部到達。ちょっとした達成感が漂っており、戻りメドに到達している。短期的には窓上限(16585.80円)までの上値余地はあるものの、上昇幅は限定的であろう。

 ただ、本日の上昇は基本的にはアヤ戻しの域を出ていない。現状は弱気相場であり、来週にも再び下値を試す動きになりそうだ。

 来週、日本は月曜日と木曜日が祝日で休場。海外市場に振り回されやすい状態となっており、「海外発」の悪材料によって相場が下落する可能性がある。

 もちろん、投資家にとって重要なイベントは、日米の金融政策の発表。足元で2年債の金利がやや低下する一方で、30年債の利回りは上昇傾向となっている。日米ともにイールドカーブ(利回り曲線)がスティープ化して(立って)おり、これが業種(セクター)に対して微妙な影響を及ぼしている。

 ただ、世界的な景気減速の流れを受けて、各国中央銀行の方向性はどうしても金融緩和に向かいやすくなっている。米国は「利上げするする詐欺」の真っ最中であるが、これもいずれは緩和路線に戻らざるを得なくなるだろう。もし、米国が金融引き締め路線を維持できるのであれば、それは日銀が「外債購入」に踏み切るときである。当然、日本にとって「外債」の代表格は「米国債」ということになり、日銀が米国の財政を支えることになる。日本はすでに政府の勘定で「為替介入」を行っており、これで米財政を支えてきた経緯がある。今度は「日銀も」ということになれば、これは間違いなく「日米の金融・財政の一体化」を意味する。日本が事実上、「米国の51番目の州」になることを意味し、米国への資金供給元として機能することになるのだ。日銀の冷静な判断が求められる局面である。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想