3連休前に持ち高調整の売り、5日・25日線のDCで心理後退

著者:冨田康夫
投稿:2016/09/15 19:02

明日の東京株式市場見通し

 16日の東京株式市場では、来週の日米金融政策の決定イベントを控えた3連休前とあって、一段とポジション調整の売りが優勢となりそうだ。また、3連休中の外国為替市場への懸念も加わり、日経平均株価は3日続落となる可能性がある。

 市場関係者からは「日足チャートでは、5日移動平均線(1万6677円=15日)と25日移動平均線(1万6738円=同)がデッドクロス(DC)し、目先的な調整局面を示唆するシグナルが点灯した。また、8月26日の安値1万6320円を下回ると、1万6000円を巡る攻防となることも懸念される」との見方が出ていた。

 15日の東京株式市場は売り先行で始まり、その後も日経平均株価は下値を切り下げる動きが続いた。後場はやや下げ渋る場面があったものの、終値は前日比209円23銭安の1万6405円01銭と続落となった。

15日の動意株

 フライトホールディングス<3753>=後場一段高。
Apple Payが組み込まれたiPhone7の発売をあすに控え、Apple Pay関連として物色人気が高まっているようだ。同社は今年3月から、Apple Payなどに対応したマルチ決済装置「インクレディスト・プレミアム」の販売を開始しており、iPhone発売による需要拡大などが期待されているもようだ。

 平田機工<6258>=反発し、上場来高値を更新。
同社は14日の取引終了後、50.5%の株式を保有する連結子会社であるKOYA(コウヤ)の株式を追加取得し、完全子会社化することを発表した。完全子会社化した後に吸収合併する予定。KOYAでは、主として有機EL照明に関する研究受託事業を行っており、4月に発生した熊本地震での各種装置の動作・精度確認の段階で判明した装置内部の被害や建屋およびクリーンルームの被害が予想以上に大きく、復旧には多大な時間と費用がかかることが判明している。

 ツルハホールディングス<3391>=反発。
いちよし経済研究所は14日、同社株のレーティング「A」を継続した。フェアバリューは1万5000円としている。第1四半期(6~8月)の連結営業利益は97億円(前年同期比13%増)と堅調だった。既存店増収率は、前年同期比0.8%増だったが、前年同期(6%増)の高いハードルを超えて伸長したことも評価されている。17年5月期の連結営業利益は、前期比18%増の371億円と最高益更新の見込みだが、同証券では18年5月期は同412億円、19年5月期は同471億円と連続増益を予想している。

 ローソン<2651>=3連騰。
15日付の日本経済新聞で「三菱商事はコンビニエンスストア3位のローソンを子会社化する。TOB(株式公開買い付け)を実施、出資比率を現在の33%から51%に高めることを検討している」と報じられたことが好材料視されている。記事によると、三菱商事<8058>は食材など世界的な調達網を生かしてローソンの商品力を強化すると同時に、電力小売りや金融などのサービスも共同展開し上位2社を追う体制を整えるという。なお、ローソンでは午前9時5分ごろ、「当社が発表したものではない。三菱商事から上場維持を前提とした子会社化の提案があり現在検討中だが、決定された事実はない」とのコメントを発表している。

 電子部品の精密プレス加工や金型製作などを手掛ける山王<3441>=続伸。
同社は14日取引終了後に、17年7月期通期の連結業績予想を発表。営業損益を1億2500万円の黒字(前期は3億9400万円の赤字)と見込んでいることが買い手掛かりとなっているようだ。売上高は66億円(前期比3.0%増)を予想。品質管理体制の強化や高速化、多様化、差別化の推進で収益力の向上を図るほか、新規事業の創出を重点課題に掲げている。スマートフォンやタブレット型端末などのIT機器や車載部品などの成長市場を中心に、営業活動を推進するとしている。

 串カツ田中<3547>=ストップ高。
同社は前日に東証マザーズ市場に上場したIPO銘柄で、東京都内を中心に串カツや肉吸いなど大阪の庶民の味を提供する「串カツ田中」を直営・FCで展開している。16年11月期営業利益予想は2億9300万円と前期比45.3%増で好調なほか、上値に対するしこりがなく、値動きの軽さが期待できることから好材料視されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想