「トランプ大統領誕生リスク」に備えたい

著者:菊川弘之
投稿:2016/09/12 11:15

ヒラリー候補健康問題

 「トランプ大統領誕生リスク」にFRBは、備えているのかもしれない。

 雇用統計・ISM製造業に続き、非製造業も弱かったことから、9月は利上げ見送りとの見方が優勢になっていたものの、週後半になって米地区連銀総裁からの利上げに前向きなタカ派な発言が相次いでいる。

 FRBメンバーが利上げを急ぐ背景には、色々なものが想定されるが、年末に向けての「トランプ大統領誕生リスク」も一因はないか?メディアでは、ヒラリー候補優勢が伝えられるが、ここにきて、メール問題に加えて、ヒラリー候補の健康問題が浮上している。

 ヒラリー候補は9月11日、NYで開かれた同時テロ追悼式に参列した際、暑さで体調を崩し、式典会場を離れた。肺炎と発表されたが、ヒラリー候補の健康問題に関しては、最近、様々な病名(パーキンソン病、その他)が噂に上がっている。ヒラリー候補の健康問題に関して、米国内科医・外科医協会がアンケート調査を実施。アンケート対象者(250人の医師)のうち71%が、ヒラリー・クリントン候補の健康状態について「深刻で、米国の大統領としての資格を有していない」と回答。

 内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ氏は8月24日、米大統領選挙の前に、ヒラリー・クリントン候補の「重大」情報を公開すると述べているが、ベンガジ事件やEメール問題での国益に反する証拠以外に、ヒラリー候補の健康問題に関する物証が出てくる可能性もあろう。既に、ヒラリーの側近がパーキンソン病治療薬を調査している電子メールが、ウィキリークスで公開されている。

 「強いアメリカの指導者は、肉体的にも精神的にも強くなくてはならない」との思いは、米国有権者に強い。

 マーケットでは、ほとんど織り込まれていない「トランプ大統領誕生の可能性」は必ずしも低くない。

 穿ち過ぎかもしれないが、トランプ・ショックの際に、利下げ等の手を打つため、史上最高値圏にあるNY株価の値位置を下げておくために、9月利上げの可能性は残っているのかもしれない。まずは、12日に急きょ設定されたブレイナード理事(ハト派)の講演に注目したい。

 9月は26日に大統領候補による第一回のテレビ討論会が予定されている。10月4日の副大統領候補のTV討論会を挟んで、10月9日、19日に第二回・三回の大統領候補の討論会が控えている。ここで、ヒラリー候補の健康問題に不安が出るような事態がTVで映し出されると、米大統領選挙の風向きが一気に変わる可能性もあろう。

「トランプ大統領誕生リスク」に備えたい。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想