日銀砲は9月から「週2回」にペースアップか

著者:小野山功
投稿:2016/08/26 18:14

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【ルール無用】日銀の買い方に変化あり。

前引け時点で東証株価指数(TOPIX)が0.31%下落した8月25日(木)、日銀が約2週間ぶりとなる707億円規模のETF買い入れを実施しました。

先週18日は前場でTOPIXが0.4%下がったのにETF買いは実施されておらず、「○%下がったら後場買う」というルールが当てはまらなくなっています。

日銀によるETFの買入れ(長いので以下、日銀砲)が入る場合、11時30分に前場の取引が終了した後、すぐに証券会社に買いオーダーが入っているようです。

25日に日経平均は16,555円で前場の取引を終えましたが、(昼休み中も取引される)先物に買いが入り、数分後に日経平均先物は16,650円と前場の現物終値と比べ、100円も急騰しました。

証券会社に対して(日銀が委託する信託銀行経由で)ETFの買いオーダーが入り、「今日は日銀が動いた」と察知した証券会社が、自己売買で先物買いに走ったことが昼休み時間中の謎の急騰劇につながったとみられます。

ただ、25日の日経平均は後場の寄付き直後こそ切り返したものの、すぐにマイナス圏に沈み、終値でも下落して取引を終えています。700億円超の日銀砲をもってしても、株価を直接的に押し上げるだけの効果は乏しいようです。

■余力は十分、日銀砲は「2倍」にペースアップか。

8月26日現在、2016年の日銀砲の買入れ総額は2.2兆円ほどです。7月29日に年6兆円に枠をほぼ倍増させたことから、8月~12月までの残り5か月で割ると、今年の買い入れ額は年4.42兆円程度に増額されたものと推察されます。

12月末まであと85営業日。この間に1回当たり707億円買い入れると想定すると、「週に2回」ペースで買い付けなければ予定額に達しません。

8月は週1回ペースでしか買い付けが行われておらず、9月以降に現在の2倍のピッチで日銀砲が入る公算が高いでしょう。

■買い方にとっては好地合い

日銀砲の発動要件がわからなくなったことは、買い方にとってはむしろ好都合との見方ができます。

前場で少しでも下がるようであれば、日銀砲発動の可能性があり、不用意な売り仕掛けを行いにくいためです。

公的年金を運用するGPIFの運用損が、株式の保有比率を増やした2014年10月以降、初めてマイナスに転じたことが明らかになっています。

9月は米国の利上げの可能性もあり、株式市場は大きく動く可能性がありますが、今以上に官製相場の様相が色濃く残ることは間違いないようです。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想