値固めから上値を志向、政策期待感が支えに

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/22 18:10

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、3月期決算企業の第1四半期(4~6月)の決算発表が本格化するのに加え、28~29日に開催される日銀の金融政策決定会合などイベントが相次ぐ。高値警戒感はあるものの、政府による大規模な経済対策と合わせて追加的な金融緩和への期待感が高まっており、値固めから上値を模索する推移となりそうだ。来週の日経平均株価の想定レンジは1万6300~1万7000円とする。

 市場関係者からは「黒田日銀総裁が、財政資金を直接手当てする“ヘリコプターマネー”には否定的な見解を示したというものの、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)などの買い入れ枠増額に期待が寄せられている。ただ、もし“現状維持”の場合は、ある程度の失望売りの覚悟は必要」との見方が出ていた。先週、今週と日経平均株価が短期間に急騰をみせた後だけに、失望売りの幅が予想外に拡大する可能性もある。

 決算発表については、外国為替市場で1ドル=105~106円台と、英国の欧州連合(EU)離脱決定直後に比べると円高状態がやや緩和されているものの、輸出関連企業の業績見通しは懸念材料となる可能性がある。

22日の動意株

 オンコリスバイオファーマ<4588>=全体悪地合いに抗して買い優勢。
創薬ベチャーへの注目度が高まるなか、同社はがん細胞だけを攻撃する腫瘍溶解ウイルスの研究開発を進捗させており、既存の抗がん剤との併用療法について欧州で特許査定を受けている。足もと営業損益は赤字が続いているが、市場では同技術に対する提携思惑を背景に株価の上昇期待が根強い。

 山一電機<6941>=大幅続伸。
同社はIC基板装置や検査装置に使うパッケージ挿入固定用のバーンインソケットの世界最大手。あらゆるものをインターネットでつなぐIoT社会への流れが追い風となっており、ソフトバンクグループ<9984>が英半導体開発大手のARM社を約3兆3000億円で買収したことも連想買いを呼んでいる様子だ。20日にレオス・キャピタルワークスが保有割合比率を9.88%から10.91%に引き上げたことが判明したことも買い要因となっている。

 モバイルファクトリー<3912>=後場に入って上げ幅を拡大。
22日正午、16年12月期の連結業績予想の修正を発表し、売上高を18億8800万円から19億7100万円(前期比12.5%増)へ、営業利益を4億6000万円から5億2000万円(同65.7%増)へ、最終利益を2億9900万円から3億4000万円(同84.0%増)へ大幅に上方修正したことが好感されている。位置情報連動型ゲーム「ステーションメモリーズ!」のiOS/Android版が好調に推移していることが要因。

 日本マクドナルドホールディングス<2702>=急反発。
きょう前場取引時間中に「ポケモンGO」の日本配信が開始されたことで、任天堂<7974>をはじめ、ポケモノミクス関連に位置付けられる銘柄群に物色の矛先が向いている。特に同社は「ポケモンGO」とのコラボレーションを発表していることで、顧客誘致につながる材料として好感され買いを集めており、信用倍率0.54倍と大幅に売り長であることから株式需給面でも買い戻しに伴う上昇余力が意識されている。

 レッグス<4286>=急騰し年初来高値を更新。
同社は食品や飲料向けなどを主力に販売促進グッズを企画製作するが、キャラクター商材関連の販売好調で収益は大幅な伸びを示している。21日引け後、16年12月期第2四半期累計(1~6月)の業績上方修正を発表、連結経常利益は従来予想の2億7500万円から3億9800万円に44.7%上方修正し、一転して22.1%増益を見込む。2期ぶりに上期の過去最高益を更新する見通しとなったことでこれを評価する買いが集中した。

 ハピネット<7552>=ストップ高。
この日、任天堂<7974>の「ポケモンGO」の日本配信が始まったことを受け、同社株に連想買いが流入している。同社は玩具卸大手で、ポケモン関連商品を扱っているほか、ポケモンGOを遊ぶための専用デバイスである「ポケモンGO Plus」を扱うことが見込まれており、同社の業績へのプラス効果が期待されている。「ポケモンGO Plus」は、スマートフォンの画面を見続けなくても遊ぶことができるデバイス。歩きスマホの防止にもなり、ユーザーにとって必需品なる可能性が高いとみられている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想