均衡点に戻った日経平均株価

著者:堀篤
投稿:2016/07/19 09:20

日経平均株価は、振り出しに戻った。

前回のコラムで指摘したように、為替の102円、日経平均株価の16500円は、ともに、戻りのメドとして、ほぼコンセンサスが得られていた価格帯だと言える。
前週、この水準を、ふたつともクリアしてきた。為替は105円台まで行き、日経平均株価も、16600円台をつけた。
つまりこの価格帯は、「高くも安くもない水準」なのだ。

ここからが予測が難しい局面となる。

ここから先、株価が上昇するとすれば、世界各国の結束が必要となる。
現在、各国はそれぞれに経済的な悪材料を抱えている。これをうまく調整できる、というメッセージを市場に送ることができれば、たとえば、日経平均が18000円までいっても良いだろう。
「株価は、ここまで、結構上昇してきた」
という実感が、現在の株価水準を高く感じさせているが、それは個人投資家特有の錯覚だと言える。日経平均株価は、確かにEU離脱決定直前の水準に戻ったが、もともと、それまでは16000円から17000円のボックスを中心に動いてきたのだ。
だからこそ、私は16500円が、均衡点だと主張してきた。
米国の景気回復、日本の頑なな金融緩和、というベースが崩れず、新たな悪材料が表面化しなければ、まだ日本株に上昇余地はある。

一方、そのような「取り繕い」の合意が出来なければ、再度、危機が世界市場を襲う可能性もある。その場合、日経平均で14000円が、その下値ラインとなるだろう。では、「取り繕う必要があること」とはいったい何なんだろうか?

最大の懸念は、EU離脱の余波だ。
そして、その同格にある中国の行動。

この二つは、大きなリスクとして、厳然として我々の前にある。しかし、ここ数週間の間に、市場には、一つの大きな変化が表れたのだ。
それは、楽観への転換と言える。
英国のEU離脱は、市場関係者に。「ポピュリズムの台頭」をイメージさせ、その先にある政策の無策と、市場の混乱に慄いた。
一種の革命のようなイメージだろうか。
確かに、追随するように、欧州の各所から独立や反EUの声が上がり、孤立主義ともいえるトランプ氏に支持が集まり、無関係とはいえ、トルコでは実際にクーデターが起きた。

しかし、このポピュリズムを、政治家は、コントロールできるのではないか、と市場は評価している。
コントロールできるのであれば、欧州は緩慢ながらも米国の協力を得て、景気回復に向かう。そして、中国をうまく利用し続けることができる、と市場は考えることになる。
そういった評価が増えれば、株価水準はさらに上がるだろう。
しかし、逆に出れば、株価は下方へ向かう。

つまり、株価が上昇するには、米国大統領選ではクリントン氏勝利が最低条件であり、欧州のどこかの国が住民投票をする、などというニュースは、結果に関わらず、市場にはバッドニュースとなる。
リオ五輪を見ながら、市場は、各国のニュースに最新の注意を払うことになるだろう。

日経平均株価の上のゾーンは17000円から19000円のゾーンにあり、下のゾーンは14000円から16000円だと考えられる。


■マイナス金利下で、高配当利回り銘柄の探索

マイナス金利の影響が、あちこちに出始めている。金融市場や資本市場でも、その余波は見られ、社債発行を検討する企業が増えてきた。

しかし、一方で株式市場でも、高利回り銘柄の人気が出始めている。
現在、東証1部で、配当利回り4%以上、時価総額300億円以上の銘柄の中から、独自の基準で抽出すると、以下のような銘柄が出てきた。

日産自動車(7201)
黒田電気(7517)
スター精密(7718)
SBI(8473)
マネックスG(8698)
日鉄住物(9810)

これらの銘柄は、一定の強さを持った高利回り銘柄群だ。
マイナス金利の時代に、4%の金利は魅力だろう。
日経平均がどちらへぶれるか見極めるまでは、こういった銘柄を持っておくのも一つの手だ。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想