高値警戒感から売り優勢、中期的には上昇の条件整う

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/13 20:18

明日の東京株式市場見通し

 14日の東京株式市場は、今週に入ってきょうまでの3日続伸で日経平均株価が合計1124円と短期間に急上昇していることから、高値警戒感により売り優勢となりそうだ。ただ、13日の東証1部の売買代金は2兆8916億円とボリュームを増しており、中期的な反転上昇トレンドは維持されそうだ。

 市場関係者からは「きょうの日経平均株価は、一時348円高の1万6444円まで買い進まれ、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票の結果判明直前6月24日の取引時間中の高値1万6389円を上回ったことで、底打ち反転上昇の条件が整ってきた。さらに、5日移動平均線(1万5683円=13日)と25日移動平均線(1万5767円=同)のゴールデンクロスが目前となってきたことも先高期待材料だ」との見方が出ていた。

 13日の東京株式市場は、前日の米国株市場でNYダウ平均株価が1年2カ月ぶりに過去最高値を更新するなど欧米株式市場の堅調や、外国為替市場での1ドル=104円台という円安・ドル高進行を好感して買い優勢となった。後場に入って上昇幅を徐々に縮小したものの、日経平均株価は前日比135円78銭高の1万6231円43銭と3日続伸。

13日の動意株

 夢真ホールディングス<2362>=大幅高で4日続伸。
同社は12日、資本業務提携先のダズル(東京都渋谷区)が、VRプロダクト向け分析サービス「アクセシブル (AccessiVR)」のティザーサイトを公開したと発表した。アクセシブルは、VRプロダクトの分析と運営サポートサービスを提供する、デベロッパー企業向けのミドルウエアで、正式版のローンチは17年初旬を予定している。VR事業において戦略的事業提携契約を締結しているダズルは、スマートフォンネイティブゲーム・アプリの開発・運用を主軸として事業展開しており、今後は、VRプロダクトの受託開発事業も積極的に展開していく方針。

 マニー<7730>=急伸。
いちよし経済研究所が12日付のリポートで、レーティング「B」を据え置き、フェアバリューを1800円から2000円へ引き上げたことが好感されている。同研究所では、中国の流通網整備とコスト削減の進展などで予想以上に利益回復が早まっていることを評価。16年8月期営業利益は、会社計画41億400万円を上回る44億円を見込んでおり、会社予想から一転して増益に転じると見ている。

 ジー・スリーホールディングス<3647>=急騰。
前引け後に、従来は未公表としていた16年8月期の連結業績予想について、売上高26億9900万円(前期比3.4%増)、営業利益2億3300万円(前期1億1700万円の赤字)、最終利益1億7600万円(同1億9000万円の赤字)になりそうだと発表し、営業損益の黒字転換見通しを好感した買いが入っている。環境関連事業を手掛けるエコ・ボンズの新たな営業取引による積極的な事業展開に加えて、同じく子会社SBYが展開するコンセプトマーケティングショップ事業およびビジネスアライアンス事業の順調な進捗で、前期と比較して一定水準を超える増収増益が見込めることになったため、公表に至ったという。

 村田製作所<6981>=大幅高。
三空を形成(3日連続でマドを開け)、急反騰態勢にある。今期想定為替レートは1ドル=110円と甘めの設定で円高局面での売り圧力が強かったが、足もとは1ドル=104円台後半への急速な円安を背景に、6月下旬以降に売り攻勢をかけた海外投資家の買い戻しが入っているもよう。米国では主要ユーザーである米アップルやインテルの株価が6月末を境に上昇トレンド転換しており、同社株への見直し買いを誘発している面もあるようだ。

 ヤマハ発動機<7272>=急伸。
日本経済新聞社は12日の取引終了後、日経平均株価の構成銘柄として新たに同社を採用すると発表した。これを受け、日経平均連動型の資金の流入を見込んだ買いが流入している。シャープ<6753>が東証2部に指定替えとなるため、臨時入れ替えを実施する。8月1日に入れ替えが実施され、今月29日の終値にリバランス需要が発生するとみられている。

 日本色材工業研究所<4920>=ストップ高。
同社は12日取引終了後、17年2月期の連結業績予想の修正を発表し、売上高を87億400万円から96億8800万円(前期比11.2%増)へ、営業利益を3億7000万円から7億300万円(同40.6%増)へ、最終利益を2億2400万円から4億5000万円(同85.2%増)へ大幅に上方修正したことが好材料視されている。OEM化粧品において、国内顧客からのインバウンド需要やアジア・ASEAN市場での需要などを背景とした受注増が業績を牽引する。また、フランス子会社のテプニエ社は、主力の医薬品の受注が堅調に推移すると見込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想