~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
★【円高で業績悪化?】今年2月の相場下落の際も、PBR=1倍近辺で下げ止まる
英国発の世界的な株安の連鎖には歯止めがかかりましたが、日本株はさえない展開が続いています。
7月4日(月)まで日経平均は上昇を続け、今年初の6日続伸と薄日が差しつつあったものの、5日(火)からは一転して4日続落と、15000円台前半まで押し戻されました。
震源地の英国では、代表的な株価指数(FTSE100)が年初来高値を更新。米国もダウ平均株価が一時18,000ドルを回復し、史上最高値まであと2%ほどに迫る勢いです。主要国で日本株だけが割り負けている状況です。
■来週後半から始まる、決算発表を織り込む流れ
日本株だけ弱い背景には、円高による業績面の警戒感があるとみられます。早いところでは来週後半にも、3月期企業の決算発表が始まるため、輸出企業を中心とした業績の悪化を株価は織り込みつつあるのでしょう。
日銀が4日に発表した6月の短観によると、自動車や電機など輸出企業が想定する2016年度の為替レートが、自動車で109円、電機で112円と実勢の1ドル101円程度に比べて大幅な円安水準だったことがわかりました。
輸出企業の場合、足元の販売動向が堅調だったとしても、今年度の為替想定を変更するだけで、年間の業績予想は大きく変化します。
例えば、トヨタ自動車の場合、為替が1円円高・ドル安に振れると、年間の営業利益を約400億円押し下げると言われており、輸出採算の悪化が警戒されています。(*同社の想定レートは1米ドル105円)
現在、日経平均ベースの一株当たり利益(EPS)は約1200円程度で推移していますが、主力の輸出企業が業績予想を下方修正すれば、EPSは大きく押し下げられることになります。
■外国人投資家の動きに大きな変化は見られない
円高への警戒感は残るものの、今のところ外国人投資家の動きには大きな変化は見られていません。
日経平均が1286円安と約16年ぶりの下げ幅を記録した6月24日、同週に外国人投資家が日本株を約1300億円売り越したものの、前週(約2200億円の売り越し)からは大幅に減少しています。
今年2月の相場下落時には、月間に2兆円もの外国人売りが一気に押し寄せたことから、株価は大きく値を落としましたが、今回の下げは海外勢などの実需売りによるものではないようです。
投資主体別売買を見ても、これといった売り主体は見られませんが、東証の空売り比率が6月の1ヶ月間に41.0%(7月8日付日本経済新聞朝刊より)を過去最高に膨れ上がっており、今回の相場下落には「空売り」が絡んでいるようです。
今年2月12日に日経平均が15,000円を割り込んだ局面では、アベノミクス相場を買い上がった海外勢による換金確定売りが相場を下押しましたが、今回はこうした実需の売りではないため、相場の回復は早いかもしれません。
■下げ止まり目途は、日経平均のPBR=1倍近辺
東証1部の売買代金は、2兆円を割り込む閑散商いが定着しており、相場は早くも夏枯れの様相を呈しています。
流動性の低下につけ込んだ空売りであれば、円高の一服など外部環境の落ち着きをきっかけに、買戻しに動く公算が高いと考えられるでしょう。
また、円高による業績懸念も重荷になっており、EPSは企業業績によって今後大きく変動する恐れがある反面、一株純資産(BPS)は、日々大きく変動することはなりません。企業の解散価値が意識され、日経平均はPBR=1倍水準で下げ止まる可能性があります。
日経平均が15000円を割り込んだ2月12日、6月24日ともにPBR=1倍程度で下げ止まっており、当面はPBR=1倍水準の「14550円」が当面の下値の目途として意識されることになりそうです。
小野山 功
英国発の世界的な株安の連鎖には歯止めがかかりましたが、日本株はさえない展開が続いています。
7月4日(月)まで日経平均は上昇を続け、今年初の6日続伸と薄日が差しつつあったものの、5日(火)からは一転して4日続落と、15000円台前半まで押し戻されました。
震源地の英国では、代表的な株価指数(FTSE100)が年初来高値を更新。米国もダウ平均株価が一時18,000ドルを回復し、史上最高値まであと2%ほどに迫る勢いです。主要国で日本株だけが割り負けている状況です。
■来週後半から始まる、決算発表を織り込む流れ
日本株だけ弱い背景には、円高による業績面の警戒感があるとみられます。早いところでは来週後半にも、3月期企業の決算発表が始まるため、輸出企業を中心とした業績の悪化を株価は織り込みつつあるのでしょう。
日銀が4日に発表した6月の短観によると、自動車や電機など輸出企業が想定する2016年度の為替レートが、自動車で109円、電機で112円と実勢の1ドル101円程度に比べて大幅な円安水準だったことがわかりました。
輸出企業の場合、足元の販売動向が堅調だったとしても、今年度の為替想定を変更するだけで、年間の業績予想は大きく変化します。
例えば、トヨタ自動車の場合、為替が1円円高・ドル安に振れると、年間の営業利益を約400億円押し下げると言われており、輸出採算の悪化が警戒されています。(*同社の想定レートは1米ドル105円)
現在、日経平均ベースの一株当たり利益(EPS)は約1200円程度で推移していますが、主力の輸出企業が業績予想を下方修正すれば、EPSは大きく押し下げられることになります。
■外国人投資家の動きに大きな変化は見られない
円高への警戒感は残るものの、今のところ外国人投資家の動きには大きな変化は見られていません。
日経平均が1286円安と約16年ぶりの下げ幅を記録した6月24日、同週に外国人投資家が日本株を約1300億円売り越したものの、前週(約2200億円の売り越し)からは大幅に減少しています。
今年2月の相場下落時には、月間に2兆円もの外国人売りが一気に押し寄せたことから、株価は大きく値を落としましたが、今回の下げは海外勢などの実需売りによるものではないようです。
投資主体別売買を見ても、これといった売り主体は見られませんが、東証の空売り比率が6月の1ヶ月間に41.0%(7月8日付日本経済新聞朝刊より)を過去最高に膨れ上がっており、今回の相場下落には「空売り」が絡んでいるようです。
今年2月12日に日経平均が15,000円を割り込んだ局面では、アベノミクス相場を買い上がった海外勢による換金確定売りが相場を下押しましたが、今回はこうした実需の売りではないため、相場の回復は早いかもしれません。
■下げ止まり目途は、日経平均のPBR=1倍近辺
東証1部の売買代金は、2兆円を割り込む閑散商いが定着しており、相場は早くも夏枯れの様相を呈しています。
流動性の低下につけ込んだ空売りであれば、円高の一服など外部環境の落ち着きをきっかけに、買戻しに動く公算が高いと考えられるでしょう。
また、円高による業績懸念も重荷になっており、EPSは企業業績によって今後大きく変動する恐れがある反面、一株純資産(BPS)は、日々大きく変動することはなりません。企業の解散価値が意識され、日経平均はPBR=1倍水準で下げ止まる可能性があります。
日経平均が15000円を割り込んだ2月12日、6月24日ともにPBR=1倍程度で下げ止まっており、当面はPBR=1倍水準の「14550円」が当面の下値の目途として意識されることになりそうです。
小野山 功