イベント目前で模様ながめ、持ち高調整の動き強まる

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/22 19:31

明日の東京株式市場見通し

 23日の東京株式市場は、英国での欧州連合(EU)離脱を問う国民投票を目前にして、その結果を見極めたいとの姿勢から模様ながめ気分が一段と強まりそうだ。機関投資家から個人投資家まで、波乱要因の懸念があるイベントを前に持ち高を調整しようという流れが強まりそうだ。

 市場関係者からは「英国の国民投票の大勢判明が、ちょうど24日の東京株式市場の取引時間中となる可能性が高い。したがって、欧州市場の反応が出る前に外国為替市場や、株価にどう影響するのかが不透明なうえに、その後の欧米市場の反応を織り込んだ変動が翌週の日本市場に反映される可能性もある」との見方が出ていた。

 22日の東京株式市場は、前日までの短期急上昇の反動もあり、終日利益確定の売りが優勢で、日経平均株価は一時、1万6000円台を割り込む場面もあった。終値は前日比103円39銭安の1万6065円72銭と4日ぶりに反落した。東証1部の売買代金は1兆7038億円と、5月30日以来約3週間ぶりの低水準で、今年4番目の薄商いとなった。

22日の動意株

 日本製鋼所<5631>=急反発。
4月初旬から一貫した上昇波を形成し市場関係者の間でも注目度が高まっているようだ。直近では、20日付のモルガン・スタンレーMUFG証券による投資判断引き下げを背景にいったん値を崩したものの、25日移動平均線近辺で下げ止まり、再び上値を慕う強さをみせている。同社が手掛ける高出力レーザーアニール装置はレーザーを駆使して表面改質を行う機械で、有機EL向けに高水準の需要があり、同関連銘柄として物色資金を呼び込んでいる。

 ぷらっとホーム<6836>=ストップ高。
同社が午前11時ごろ、同社と日東工業<6651>が屋外型IoT(モノのインターネット)システムの構築に最適な屋外ボックスソリューション「屋外IoT・監視システムボックス」を共同発表したことが好材料視されている。同ソリューションは、都市や道路、公共空間や屋外施設などのさまざまな屋外環境でIoTを構築でき、ぷらっとホームのゲートウェイ・システム構築のソリューションと日東工業のボックス・電源・熱対策のソリューションを組み合わせたもの。

 DNAチップ研究所<2397>=後場に入、一時ストップ高。
同社はきょう、DNA抽出キット「TBONE EX KIT」に関してマレーシアおよびバングラデシュの企業2社と販売代理店契約を結んだと発表。これによる販売拡大などが期待されているようだ。TBONE EX KITは、硬組織である歯牙や骨からゲノムDNAを抽出するためのキット。このほどマレーシアのAnalisa ResourcesおよびバングラデシュのInvent Technologiesと販売代理店契約を結び、東南アジアエリアでの販路拡大を進める。

 東京鉄鋼<5445>=大幅反発。
21日の取引終了後に提出された大量保有報告書で、投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが同社株を260万株(保有割合5.55%)取得したことが判明しており、需給思惑から買いが入っている。なお、目的は純投資としている。

 インスペック<6656>=ストップ高。
今月10日に野心的な中期経営計画を発表、これを材料に急騰局面に突入したが、15日以降は目先筋の利益確定売りの動きも顕在化し、上下に値動きの荒い展開にあった。しかし、波状的な投機資金の攻勢が続いており、きょうは朝方から上値を買い進む動きが継続している。同社は精密プリント基板などの最終外観検査装置を手掛け、16年4月期営業損益は1900万円の赤字だが、17年4月期は1億7000万円の黒字化を見込む。もっとも、投機資金が注目するのは、同社が19年4月期に営業利益段階で今期予想比4.4倍の7億5000万円を数値目標に掲げる“超強気”の中期計画だ。

 三菱ガス化学<4182>=3日続伸。
国内大手証券はリポートで、同社の汎用品(イソフタル酸など)と機能品(特殊ポリカ、BTレジンなど)の数量は安定的に拡大するとみるも、工業用洗浄剤の超純過酸化水素などのエレクトロニクス・ケミカルでは数量拡大に不透明感がある上、価格圧力もかかっていると指摘。強気の投資判断をとるには、エレクトロニクス系の機能性材料の好調継続が必要とみて、レーティングは「ニュートラル」を継続。目標株価は550円から580円へ引き上げている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想