波乱を見逃すな!

著者:堀篤
投稿:2016/06/13 09:49

■日程の確認

今週は、日程的に、株式指数には手を出しにくい展開だ。
6月14日、15日のFOMC、15日、16日の日銀政策決定会合、翌週の英国国民投票(EU離脱)と、緊迫感があるイベントが続くからだ。

14日、15日のFOMCでは、米国景気の動向が注目される。FRBの、利上げに対する姿勢が表れるからだ。ここで為替は大きく動く可能性がある。
また、日銀会合は、びっくり箱のようなもので、黒田氏が突然、緩和策を発表する可能性もある。
そして、英国のEU離脱投票だ。

いまになって、この安全パイと思われていた投票が、大きなリスクとなってきた。昨年の世論調査では、EU残留派が10ポイント程度多く、英国民は、不要な冒険を避ける方向性だ、という認識=安心感が、いつのまにか市場でできていたのだ。
しかし、前回の調査で、逆に離脱派が10ポイントリードという調査結果が出、市場には衝撃が走った、と言って良いだろう。

もし、英国がEUを離脱すればどうなるか。
単純に言えば、ユーロ、ポンドともに売られる展開となるだろう。普通に考えれば、米ドルに資金は向かう。しかし、この動きに株安が伴うのであれば、資金は円に向かうだろう。その結果、かなりの円高になる可能性が出てくる。
欧州向けにビジネスを展開する企業の多くは、戦略の変更を余儀なくされるだろう。

■英国のEU離脱で、漁夫の利を得る中国

言うまでもなく、英国民は、海外からの移民・難民の受け入れに辟易としている。彼らに社会保障費を消費され、職を奪われることへの怒りが、英国民をEU離脱へと突き動かしている。
EU加盟国は、戦争による難民の受け入れを拒むことができないのだ。従って、社会保障制度がしっかりとしている英国・ドイツに、難民は集中していく。
しかし、EUを離脱すれば、もう、彼らを受け入れなくても良くなるのだ。

もっとも、EUを離脱すれば、欧州全体でビジネスをしようとする国際企業が、ロンドンに大きな拠点を置く理由がなくなる。英国への投資は、大きく削減されるのは間違いがない。
その結果、英国は、より中国よりの立場にシフトするだろう。

中国は、国や企業を、経済的に援助することで政治的な優位を得ようとする、という戦略を徹底している。
先週、オーストラリアのメディアと、包括的な提携を発表したのも、もちろん、そういった政策の一環だ。もし、英国がEUを離脱すれば、中国は英国支援を大々的に表明するだろう。

こういった国際情勢の分析に、機関投資家は余念がない。
「ハリーポッター」のハーマイオニーも、離脱派として発言をし、話題になっている。
いずれにしても、23日の英国国民投票に、注目は集まり、為替市場は荒れやすい状況が続く。

■下振れには買いで対応

これらの不透明な要因によって、株式市場は下方リスクを高めている。
しかし、16000円を切った場面で、2%以上の下落場面があれば、買いを進めるべきだろう。基本的に、経済のファンダメンタルは変わっていない。
英国離脱があった場合、為替市場は、すぐにオーバーシュートするだろう。
その行き過ぎは、一旦、短期的なチャンスを我々に与えてくれるはずだ。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想