来週は"個人投資家"の新興株物色に注目!

著者:小野山功
投稿:2016/06/10 19:28

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【日米の金融会合、23日の英国での住民投票】プロの投資家は様子見が続く

閑散商いが続いています。10日(金)はSQ算出による特殊要因で売買代金は増えたものの、前日まで5営業日続けて、活況の目安とされる2兆円を割り込みました。

相場のエネルギー不足を象徴するかのように、10日には(8604)野村ホールディングスが約2ヵ月ぶりに年初来安値を割り込んだほか、東京証券取引所を傘下に持つ(8697)日本取引所グループが、連日で安値を更新しました。

■様子見姿勢は来週以降も?

来週14-15日に米FOMC、15-16日には日銀・金融政策決定会合という日米の金融会合を控え、海外勢や機関投資家などプロの投資家が、様子見姿勢を強めていることが窺えます。

リスク回避姿勢は強まっており、安全資産の債券に資金が流れたことで、10日の債券市場では長期金利が一時マイナス0.155%と過去最低を更新しました。

金融会合を通過しても、翌週の23日には英国でEU離脱の是非を問う国民投票を控えています。EU離脱のシナリオが排除されるまでは、リスク資産である株式にポジションを傾けづらい状況は続きそうです。

ただ、様子見姿勢を強めるプロの投資家をよそ目に、個人投資家の物色意欲は旺盛です。

■個人の買いで材料株は好調

新作ゲーム『ドラゴンプロジェクト』の配信を3日に開始した(3668)コロプラが週間で19%の値上がりしたほか、(2121)ミクシィが9日に年初来高値を付けるなど、ゲーム関連株が堅調でした。

また、バイオベンチャーの一角も物色を集めています。他人の細胞から作ったiPS細胞の移植治療の臨床研究を始めると理化学研究所などが6日に発表したことで、、iPS細胞を使って加齢黄斑変性の治療法開発を目指す(4593)ヘリオスが9日に上場来高値を更新しました。

また、SBI証券による株式買い増しが発覚した(4589)アキュセラ・インクは、週間で74%高と急伸しました。

売買代金が細る中、こうした材料株物色がみられており、個人投資家の元気の良さが際立っています。

6月は夏のボーナスの支給月にあたるほか、3月企業の期末配当が月末~来月初頭にかけて入ってくるため、センチメント改善に繋がっているようです。

日米の金融会合、23日の英国での住民投票とプロの投資家が動きづらいものの、10日にはLINEの上場が承認されたことで、新興株を物色する動きは続きそうです。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想