サミット後に次の関門、政策頼みに危うさも

著者:小野山功
投稿:2016/05/20 18:55

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【割安感が強まった日本株】サミット後に次の関門、政策頼みに危うさも

日経平均は週間で324円の値上がりとなりました。円相場が110円台と3週間ぶりの円安水準を付けたことで、主力の輸出関連株が見直されました。

また、週後半は20日の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を巡って、政策協調への期待感から底堅い展開となりました。

来週26日~27日に開催される主要国首脳会合(伊勢志摩サミット)に向けて、引き続き政策期待が相場の支えとなりそうです。

■割安感が強まった日本株、PERは14倍割れ

決算発表が出揃い、日本株の割安感が強まっています。

4月28日に「16.2倍」まで上昇した日経平均の予想株価収益率(PER)は、決算発表が出揃った5月16日に「13.7倍」まで急低下しました。

4月28日の日経平均の終値は16,666円、対して5月16日は16,466円と、200円しか変わらないものの、一株当たり利益の上昇がPER低下に貢献しています。

トヨタ(7203)など輸出企業は、円高の逆風で利益が落ち込むものの、原油安で前期に赤字転落した商社や、石油元売りの業績改善が見込まれるため、トータルでは今期の利益が増える見通しです。

5月20日に日経平均は16,700円台と、約3週間ぶりの水準を回復しましたが、逆にPERは14倍程度まで下がり、割安感が強まっています。

■サミット後に次の関門、政策頼みに危うさも

一方、経済政策を巡って、今後も一喜一憂する展開は続くでしょう。

18日に発表された1~3月期の国内総生産(GDP)は、年率換算で+1.7%増と市場予想を大幅に上回り、2四半期ぶりのプラス成長となりました。

2月のうるう月による特殊要因があったほか、速報ベースで今後修正される可能性はあるものの、統計データは景気が悪くないことを示しています。

市場では「消費税増税先送り」、さらに「補正予算による景気刺激策」などを織り込みつつあります。

伊勢志摩サミット後に取りまとめられる共同声明が、次の関門になりそうです。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想