急落波乱地合いのなか、逆行高銘柄に照準

著者:冨田康夫
投稿:2016/05/10 16:11

急落波乱地合いのなか、逆行高銘柄に照準

 4月28日に日銀が金融政策決定会合で、期待の高かった追加緩和を見送って「現状維持」を打ち出したことをきっかけに、外国為替市場で一時、1ドル=105円台半ばまで急速に円高・ドル安が進行。

 これに連動するかたちで日経平均株価は、6日までの6営業日続落で合計1465円安と急落をみせた。

 ただ、こうした急落波乱地合いにもかかわらず、個別銘柄では業績好調などを背景に、年初来高値圏で頑強な株価推移をみせているケースも多い。今回は、異彩の逆行高を続ける年初来高値圏銘柄に焦点を当てた。

九電工は熊本地震の復旧・復興で貢献も

 九電工<1959>が4月28日に発表した17年3月期の連結業績予想は、売上高が3400億円(前期比9.2%増)、営業利益は290億円(同15.1%増)を見込む。前期の16年3月期の営業利益も251億9700万円(前の期比50.4%増)と大幅増益となっており、前・今期2期連続の大幅増益となる。また、熊本・大分両県を震源とした大地震の発生を受け、電力関連インフラの復旧・復興で貢献する可能性が高い。

SFOODSは輸入食肉の海外販売を積極化

 SFOODS<2292>は、4月14日に17年2月期の連結業績予想を発表。売上高3000億円(前期比23.7%増)、営業利益は96億円(同13.9%増)と2ケタ増収増益を見込んでいる。国内食肉では最上流の生産事業の強化を図りつつ、同社の扱う食肉のブランド力を生かした販売戦略を推進する。輸入食肉では、昨年12月にグループ化した米国のオーロラパッキングカンパニーの経営基盤強化と「オーロラビーフ」ブランドの日本およびアジアでの普及に取り組んでいく。

CTCは新たなクラウドサービスの提供が寄与

 伊藤忠テクノソリューションズ<4739>は5月2日に発表した17年3月期の連結業績予想は、売上高4000億円(前期比2.1%増)、営業利益300億円(同7.4%増)と増益に転じる見通し。流通・金融・社会インフラ分野を中心に売り上げが伸長することに加えて、基幹系システムに特化した新たなクラウドサービス「CUVICmc2」の提供開始などが寄与する。

CIJは3Q営業利益の進捗率は90%で上方修正濃厚

 CIJ<4826>は、独立系2次請けシステム開発の大手。同社が4月27日に発表した16年6月期第3四半期累計(15年7月~16年3月)連結決算は、売上高140億7600万円(前年同期比6.1%増)、営業利益12億4900万円(同12.5%増)と2ケタ増益を達成した。16年6月期通期の営業利益13億8000万円(同2.0%増)を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率は90%に達しており、最終的に上方修正の可能性が濃厚だ。顧客のソフトウエア関連の設備投資堅調を受けて、金融関連を中心にシステム開発の受注が堅調に推移している。また、情報・通信業向けシステムの最適化・近代化に関する研究支援などの受注や、福祉総合システムパッケージ関連などの受注も業績押し上げに寄与した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想