内需株にも影を落とし始めた「円高」

著者:小野山功
投稿:2016/05/06 19:10

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【ドル円一時105円台突入】内需株にも影を落とし始めた「円高」

憲法記念日の祝日だった5月3日の外国為替市場、円相場は対ドルで105円台に突入しました。

105円台を付けるのは1年半ぶりです。円高による輸出企業の採算性悪化が警戒され、日経平均は6日までに6営業日続落し、累計で1465円下落しました。

2015年は米ドルが年平均で120.05円(年間平均 TTB)で推移しましたが、輸出企業が今期の想定為替レートを105円に見直せば、業績を大きく押し下げる要因になります。

■円高で「1兆7500億円」もの減益にも?

トヨタ(7203)の場合、米ドルが1円円高方向に推移すれば、年間の営業利益を400億円押し下げる要因になります。2016年度の想定為替レートを105円とした場合、営業利益は前年に比べ6000億円押し下げられます。

1ドル=105円、1ユーロ=120円と想定した場合、トヨタやコマツ(6301)など主要な輸出企業25社の営業利益を1兆7500億円近く押し下げると、3日付の日本経済新聞が報じました。

また、5月26日、27日の日程で開催されるG7伊勢志摩サミットに向けて、為替が円高方向に動きやすいことも懸念点です。

米国は日本を為替政策の「監視対象」に指定し、為替介入を許容しない構えです。伊勢志摩サミットを控えたタイミングでの為替介入はないだろうとして、円高バイアスに傾きやすいことが想定されます。

■大手百貨店株がそろって年初来安値

そして、円高は輸出関連だけではなく、内需株にも影を落とし始めています。

6日の東京市場では、三越伊勢丹(3099)、Jフロントリテイリング(3086)高島屋(8233)の大手百貨店株がそろって年初来安値を付けました。

かつては為替相場との相関性が高くはなかった百貨店株ですが、訪日外国人によるインバウンド消費が盛り上がっていることで、円相場の影響を受けやすくなっています。

百貨店株のほか、小林製薬(4967)東京ドーム(9681)などインバウンド関連株が6日に年初来安値を更新しました。

中国人民銀行が6日、上海市場での人民元レートを3日続けて元安・ドル高水準に設定したことで、市場では元安への警戒感が重荷になっています。

内需株の一角にも影を落とし始めた円相場。月内に105円で止まるのでしょうか。ドル円が安値を更新するようであれば、日経平均は15,000円割れを目指すことになりそうです。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想