日本株急落の原因は、あの大手電気メーカー?

著者:小野山功
投稿:2016/04/01 21:12

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【日経平均は594円安】突然の暴落、なぜ下げた?

先週は、3月末に向けて「お化粧買い」による一段高が期待できるとお伝えしておりましたが、蓋をあけるとまったく逆。31日(木)の日経平均は、大引け10分前に下げ幅を100円超に広げ、梯子を外されてしまいました。

木曜日は都内でも桜の満開宣言が出され、相場は早々に切り上げて、花見に出かけていた投資家が多かったのかもしれません…。

14時半を過ぎても買いは一向に入らず、いよいよしびれを切らした短期筋の売りが、大引け間際にまとまって出たことで、日経平均は安値引け。15年度最後の商いは、後口の悪い幕切れとなってしまいました。

■新年度相場も波乱の幕開け。大発会の急落が頭をよぎる。

そして翌4月1日の東京市場、前日の引け味が悪かったこともあって、寄付きは約40円安と4日続落でスタートしました。その後、取引時間中にだらだらと下げ幅を広げます。日経平均はおよそ600円も下落し、1ヶ月ぶりの安値水準に沈みました。

大発会の急落が頭をよぎります。今年は大発会に日経平均が一時600円超下落し、年初から5日間下げ続けた苦い記憶があります。

1日の株価急落の表向きの理由は、当日に発表された日銀短観です。企業の景況感を示す指数(DI)がプラス6と2期ぶりに悪化し、景気の先行きに対する警戒感が広がったというのが、巷の解説として一般的です。

ただ、日銀短観は8時50分に発表されています。日経平均は9時に39円安で寄り付いていますので、ザラ場中に600円も下げた要因を、寄り前の短観だけで片づけることができないでしょう。

しかも、奇妙なことに、為替市場はほとんど動きがなく、日本株だけがずるずると下げ幅をひろげているのです。

円相場やアジア株、米国株価指数先物、商品市場など日本株以外のマーケットにはほとんど動きはありませんでした。

短観よりもむしろ、ある主力株の急落が相場のムードを悪くし、日経平均600円安の引き金を引いた可能性があります。

■日本株急落の引き金は「パナソニック」?

大手電機メーカー、パナソニックは31日に2016年度の事業方針を発表しました。長期的な目標として、2020年度の営業利益を15年度計画比1.5倍の6000億円に増やす高い目標を掲げたものの、2016年度の営業利益見通しに関しては、前期比9%減益の見通しを示したことから、失望売りを浴びました。

パナソニックの株価は12%安と急落、日立やソニーなど電機大手にも飛び火。輸出関連株の全面安につながりました。16年度の企業業績は減益に転じるのではないかとの警戒感が広がっています。

また、短観では16年度の想定為替レートは1ドル=117円46銭と、現在の水準より5円以上も円安水準で設定されています。実態にあった112円台に為替相場の前提を引き下げれば、企業の景況感はさらに悪化するという見方が次第に広がりました。

とはいえ、業績面が警戒されるのは、円相場の影響を受けやすい輸出関連企業が中心です。1日の株価急落安にも関わらず、ソフトバンクグループやKDDIなど内需株の一角は堅調に推移しました。

3月に日本株は4ヶ月ぶりに上昇し、月間で日経平均は732円上昇しました。1ヶ月かけて上昇した分をわずか1日で帳消しにするほどの下げは、いくらなんでもやり過ぎではないでしょうか。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想