3連休前に買い手控え、円高進行懸念が強まる

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/17 20:37

明日の東京株式市場見通し

 18日の東京株式市場は、3連休を控えてポジション調整の売りが優勢となりそうだ。17日の東京株式市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された今後の利上げペース鈍化や、原油価格上昇を好感し、日経平均株価は一時、前日比278円高まで買い進まれる場面があったものの、後場に入って1ドル=111円台後半へと円高・ドル安が進行したことで、一気に売られる展開となった。

 現物株市場の終了した17日午後3時以降にさらに円高・ドル安が進行し一時、1ドル=111円台半ばまで円が買い進まれ3週間ぶりの高値水準となっており、輸出関連の主力銘柄に売り懸念が強まりそうだ。市場関係者からは「もし、円相場が1ドル=111円半ば以上の円高水準に進行した場合、17年3月期の輸出企業の業績懸念が大きく膨らむ可能性があり、売りマインドが強まる状況も覚悟しなければならない」との見方が出ていた。

 17日の東京株式市場は買い先行で始まり、日経平均株価は一時大幅上昇する場面もあったが、後場に入ると急速に軟化、結局マイナス圏で引けた。日経平均株価終値は、前日比38円07銭安の1万6936円38銭と小幅安ながら3日続落となった。

17日の動意株

 アウトソーシング<2427>=大幅高。
メーカー企業の求人需要は旺盛で製造ライン向け人材派遣が好調に推移しており、15年12月期の56%営業増益に続き、16年12月期も73%増益見通しと業績躍進、19%を超えるROEも評価される。また、景気の変動リスクを受けやすい製造業向けに特化せず、コンビニの人材管理や米軍基地向けなどの新規分野を開拓しており、成長力の確保に余念がない。

 アマナ<2402>=一時ストップ高。
同社はきょう、サイバーエージェント<4751>とインフィード広告分野で業務提携すると発表。これが刺激材料となっているようだ。提携により、サイバーエージェントのアドテクノロジー分野のサービス開発を行うアドテクスタジオが提供するインフィード広告特化型SSP「シーエープロフィットエックス」に接続しているスマートデバイス向けオンラインメディアで、アマナグループのアマナイメージズが保有する高品質ストックフォトを、無償でコンテンツビジュアルとして配信利用できるようになる。

 ナカノフドー建設<1827>=後場一段高。
医療や物流施設など民間建築で実力を発揮する。完成工事利益率の改善が進むほか、施工効率化で労務コストを相殺、16年3月期営業利益は前期比28%増の43億円予想、17年3月期も豊富な手持ち工事の消化で増益基調がキープされる公算が大きい。PER6倍台は割安感が強い。

 カイオム・バイオサイエンス<4583>=ストップ高。
同社は16日の取引終了後、開発を進めているTROP-2抗体に関する特許について、米国における特許付与の決定通知を受け取ったと発表した。同特許は、ヒトTROP-2を標的としたヒト化モノクローナル抗体に関するもので、既に疾患モデル動物を用いた試験で、顕著な抗がん活性を示すことが確認されているという。

 アスクル<2678>=大幅反発。
同社はオフィス向けなどを中心にネット通販を手掛けるが、事務用品の単価上昇が利益向上につながっているほか、法人向けの開拓も進み、業績は好調に推移している。 16日取引終了後に16年5月期の連結業績予想の修正を発表、売上高を3045億円から3120億円(前期比12.7%増)へ、営業利益を80億円から85億円(同24.1%増)へ、最終利益を44億円から50億円(同24.0%増)へそれぞれ増額しており、これを評価する買いが優勢となっている。

 日本コンベヤ<6375>=6連騰と上昇加速。
ここ建設関連株が再び動意含みにあり、その周辺銘柄である同社に投機資金の攻勢が顕著だ。リニア中央新幹線工事の発注が本格化するなか、トンネルなどの掘削工事により発生する大量の残土を運搬する大容量コンベヤーに特需が期待されている。同社株は全体相場と株価連動性が低く、3月に入り一度も押し目を形成していない。信用買い残の整理が進捗し、直近11日現在で買い残高は187万4000株まで減少している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想