■起きているのは、 想定の範囲内の下落
<WTI20$ 日経225 14000円 1$=105円が底値メド>
週末、テレビニュースや新聞、ウェブでは、株価暴落が大きく取り上げられた。
日銀の改革的なやり方に批判的な勢力と、旧態依然とした経済原理を掲げる学者たち、そして銀行系のエコノミストたちが、議論を様々に展開し、日銀批判、政策批判を盛んにしている。
しかし、こういったことに不安感を煽られることが最も避けたいことだ。
本質は、もっと単純だからだ。
米国の景気鈍化(金利上昇ペース鈍化)が意識され、為替市場がドル安に振れる必然性が出てきたこと、そして原油価格の底値が見えなくなったこと、中国がソロスの懸念(中国経済のハードランディング)に十分な反撃を加えず休みに入ったこと、などが下落の要因だ。
さらにこれを要約すると、以下のような結論が市場を支配している。
原油価格は20ドルまで下落する。
米国は景気鈍化が明確になり、次の金利引き上げ時期は当面先になった。
中国経済は不安定のまま、いつ崩壊するかわからない。
以上のことにより、
①中東資金の換金売り(株式市場)
②資源系企業のデフォルト懸念(特に米国)
③ドルの軟化
④中国ショックへの警戒感
これらにより、東京株式市場は下落し、円は買われている。
日経225は14000円
円は105円
この二つの節目が、現在のところの防衛ラインだ。
しかし、これらの定性的な要因は、あくまで年初の予想から逸脱したものではない。
当社が年初にレポーティングしているように、いま、世界の潮流が大きく変わろうとしているが、今回の急落は、それを表す一面に過ぎず、特別な局面を迎えたわけではない。
ただし、年初に予想していたよりも、原油の下落ペースが速く、その分、株式市場の下落も予想よりも大きくなっている。
■マイナス金利を巡る議論は、混乱
一方、日銀のマイナス金利政策は、本来、危機回避通貨としての円高を抑制するため、そして、量的緩和の有効性を担保するための施策であったが、こちらは、短期的には思惑をはずしている。
なぜなら、この政策によって、米国の金利上昇がやりづらくなり、そのことが、結果として円高につながったからだ。
量的緩和ならいざ知らず、日本の名目金利の低下とイールドカーブの低下は、米国金利上昇の可能性をさらに下げることに直結する。
欧州と日本がマイナス金利政策を選択する中、米国だけが金利を上げれば、ドルは一人勝ちとなる。しかし、ドル高が進めば、中国との経済戦争には不利になり、原油の実質輸出価格は下落する。
この不利益を考えるとき、米国は金利引き上げに対して慎重にならざるを得ないのだ。
ここで、日米の金利差が問題なら、日本のマイナス金利で米国金利が下がりづらくなったとしても、円高にはならないだろう、という議論もあるかもしれない。しかし、運用者サイドから考えると、ゼロ近傍の政策金利がマイナスになったとしても、実務的な調達金利が下がるとは思えない。一方で、 米国金利が下落しない、ということは、期待レートが変わるので、逆に、実務的な意味での日米金利差は縮小し、円高へと動く要因となる。
そして、この予想外のドル安と原油安で、東京株式市場は動揺した。
しかし、例えば、マイナス金利で銀行の収益が圧迫され、信用不安が起こる、などという予測は、銀行系アナリストの政策的な発言、あるいは、銀行業務を熟知するが故の不安が言葉になったと言って良いだろう。
確かに銀行は、一つのお小遣いのもらい先を失うかもしれないが、それですぐに信用不安になるような経済のメカニズムにはなっていない。マイナス金利を導入しているヨーロッパで、ドイツ銀行の収益悪化がこれを連想さえている、などという人もいるが、もしそうであれば、それこそがデマであり、市場に無用な混乱を与えている。
また、経済学者はここへきて、古い金利平衡説などを唱え、「金利が下がるほうが、通貨は上昇するのは当たり前」などと言い出したが、これには開いた口が塞がらない。そんな突然に、市場の流れは何十年も逆戻りしない。
■3つのメドと、本当のパニック
WTI=20$
日経225=14000円
1$=105円
これらのメドは、一つの指標となる。
ただし、中国に大きなサプライズが無い場合だろう。
もし、中国で大きな減退があるようなら、これらの数値のうち、下の二つは、さらに下方修正の必要が出てくるかもしれない。
それが本当のパニックであり、現段階では、そこまでのことには至っていない。
週末、テレビニュースや新聞、ウェブでは、株価暴落が大きく取り上げられた。
日銀の改革的なやり方に批判的な勢力と、旧態依然とした経済原理を掲げる学者たち、そして銀行系のエコノミストたちが、議論を様々に展開し、日銀批判、政策批判を盛んにしている。
しかし、こういったことに不安感を煽られることが最も避けたいことだ。
本質は、もっと単純だからだ。
米国の景気鈍化(金利上昇ペース鈍化)が意識され、為替市場がドル安に振れる必然性が出てきたこと、そして原油価格の底値が見えなくなったこと、中国がソロスの懸念(中国経済のハードランディング)に十分な反撃を加えず休みに入ったこと、などが下落の要因だ。
さらにこれを要約すると、以下のような結論が市場を支配している。
原油価格は20ドルまで下落する。
米国は景気鈍化が明確になり、次の金利引き上げ時期は当面先になった。
中国経済は不安定のまま、いつ崩壊するかわからない。
以上のことにより、
①中東資金の換金売り(株式市場)
②資源系企業のデフォルト懸念(特に米国)
③ドルの軟化
④中国ショックへの警戒感
これらにより、東京株式市場は下落し、円は買われている。
日経225は14000円
円は105円
この二つの節目が、現在のところの防衛ラインだ。
しかし、これらの定性的な要因は、あくまで年初の予想から逸脱したものではない。
当社が年初にレポーティングしているように、いま、世界の潮流が大きく変わろうとしているが、今回の急落は、それを表す一面に過ぎず、特別な局面を迎えたわけではない。
ただし、年初に予想していたよりも、原油の下落ペースが速く、その分、株式市場の下落も予想よりも大きくなっている。
■マイナス金利を巡る議論は、混乱
一方、日銀のマイナス金利政策は、本来、危機回避通貨としての円高を抑制するため、そして、量的緩和の有効性を担保するための施策であったが、こちらは、短期的には思惑をはずしている。
なぜなら、この政策によって、米国の金利上昇がやりづらくなり、そのことが、結果として円高につながったからだ。
量的緩和ならいざ知らず、日本の名目金利の低下とイールドカーブの低下は、米国金利上昇の可能性をさらに下げることに直結する。
欧州と日本がマイナス金利政策を選択する中、米国だけが金利を上げれば、ドルは一人勝ちとなる。しかし、ドル高が進めば、中国との経済戦争には不利になり、原油の実質輸出価格は下落する。
この不利益を考えるとき、米国は金利引き上げに対して慎重にならざるを得ないのだ。
ここで、日米の金利差が問題なら、日本のマイナス金利で米国金利が下がりづらくなったとしても、円高にはならないだろう、という議論もあるかもしれない。しかし、運用者サイドから考えると、ゼロ近傍の政策金利がマイナスになったとしても、実務的な調達金利が下がるとは思えない。一方で、 米国金利が下落しない、ということは、期待レートが変わるので、逆に、実務的な意味での日米金利差は縮小し、円高へと動く要因となる。
そして、この予想外のドル安と原油安で、東京株式市場は動揺した。
しかし、例えば、マイナス金利で銀行の収益が圧迫され、信用不安が起こる、などという予測は、銀行系アナリストの政策的な発言、あるいは、銀行業務を熟知するが故の不安が言葉になったと言って良いだろう。
確かに銀行は、一つのお小遣いのもらい先を失うかもしれないが、それですぐに信用不安になるような経済のメカニズムにはなっていない。マイナス金利を導入しているヨーロッパで、ドイツ銀行の収益悪化がこれを連想さえている、などという人もいるが、もしそうであれば、それこそがデマであり、市場に無用な混乱を与えている。
また、経済学者はここへきて、古い金利平衡説などを唱え、「金利が下がるほうが、通貨は上昇するのは当たり前」などと言い出したが、これには開いた口が塞がらない。そんな突然に、市場の流れは何十年も逆戻りしない。
■3つのメドと、本当のパニック
WTI=20$
日経225=14000円
1$=105円
これらのメドは、一つの指標となる。
ただし、中国に大きなサプライズが無い場合だろう。
もし、中国で大きな減退があるようなら、これらの数値のうち、下の二つは、さらに下方修正の必要が出てくるかもしれない。
それが本当のパニックであり、現段階では、そこまでのことには至っていない。