相場反転の鍵は、決算発表より「原油価格」

著者:小野山功
投稿:2016/01/15 19:05

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【申(さる)騒ぐ】相場反転の鍵を握るのは、決算発表より「原油価格」?

13日に日経平均株価は500円近く値を上げ、今年始めての上昇となりました。株安の連鎖にひとまず歯止めがかかったかと安堵したのも束の間、翌日から再び下げ、終値での17,000円割れも目前に迫っています。

4日の取引開始から9営業日で、上昇したのはわずか1日のみ。「申(さる)騒ぐ」2016年相場は、年初から騒がしい展開です。

■もうひと波乱?中国に次ぐ新たな火種も。

14日の大引け後に、川崎重工業が221億円の特別損失計上を発表しました。3割を出資するブラジルでの造船合弁事業において、代金の支払いが1年以上も遅延しているため、貸倒引当金を計上するというものです。

船の発注者はブラジルの国営石油メジャー、ペトロブラス。南米最大の事業会社といわれる巨大企業が、200億円程の支払いに窮している実態が浮き彫りになったのです。

今年はオリンピックの開催もあり、ブラジルに対する注目が否応なく高まります。原油価格が12年ぶりの安値まで急落しており、ペトロブラスが債務不履行(デフォルト)を起こるような事態に発展すれば、中国に次ぐ新たな火種となりかねません。

15日の上海株は昨年来安値を更新して取引を終えており、週明けもう一波乱を覚悟しなければならないでしょう。

■来週は決算発表よりも「原油価格」が相場反転の契機に

テクニカル指標では、騰落レシオが50%台に突入するなど「売られすぎ」を示すサインが点灯していますが、相場反転のきっかけをいまだにつかめずにいます。

来週から3月期企業の決算発表が始まります。日本企業の業績は好調だとして、評価を集める可能性はありそうですが、市場はファンダメンタルズを無視した乱高下を繰り返しているため、効き目は薄いかもしれません。

最大の注目点は、株価以上に急落している原油価格の動向になるかと思います。イランに対する欧米の経済制裁が近く解除される見通しですので、イラン産原油の輸出解禁によって供給過剰に陥るとの先安観から、原油の下げに歯止めがかからない状況になっています。

対イランの経済制裁解除で、アク抜けとして原油価格が切り返すようであれば、株式市場も相場反転の契機になる可能性があります。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想