2015年の終わりに際し、私が思うこと

著者:比嘉洋
投稿:2015/12/30 13:01

申酉騒ぐ

この時期になると干支にちなんだ格言から来年の相場を予想する声が増えてきます。「辰巳天井・・・・」そして、来年の干支は申。“申酉騒ぐ”ということでボラティリティの大きな年になると。実際、今年のドル/円の年間高低差は10円。過去15年の平均高低差が16円強ですので、その数値と比較しても如何に今年がボラティリティの小さな年だったかお分かりになるかと思います。

そして、この時期になると来年末のレベルについての言及が多くなります。為替に限らず、株式市場においても1ヶ月先のレンジを当てることは至難の業、それにもかかわらず1年後のレベルなんて・・・ここで皆さんにご理解いただきたいことがあります。仮に私が来年末のドル/円レートを130円と予想し、1年後、見事に130円で年末を迎えた場合、私の予想は当たったと言えるでしょうか?その年末を迎える前に「××ショック」が起こり、年末前にドル/円が100円を割っていたとしたらどうでしょう?その時、どれだけの投資家が為替市場に残っているでしょうか?その年末の130円予想は本当に正解と言えるでしょうか?

私が申し上げたいのは、1年後のレートを当てることなどに意味はなく、その過程をしっかりと乗り切っていくことの方が大事だということです。そのためには、ストップロス注文を入れておくなど、ご自身のリスクマネージメントをしっかりと構築、それを継続することこそが長く相場と向き合う近道であるということをお伝えしたいのです。

上記のことをご理解いただいたうえで、私が考える2016年の最初の注目イベントについて触れておきたいと思います。
2015年は中央銀行相場の年であり、その流れは2016年も継続するものと考えております。現在、専門家の間では2016年FRBは4回の利上げに踏み切ると予想されています。一方で、FF金利先物市場では2回の利上げしか想定されていません。その意味で、3月15・16日に予定されているFOMCでFRBが利上げに踏み切るのかが重要になるわけです。当然、市場の見方が分かれているわけですから、思惑というのは2月に発表される1月分の米雇用統計の結果発表後から動き出すものと考えます。NFP(非農業部門就業者数)が市場予想より悪化となれば、利上げ観測後退→ドル売りとなる半面、株式市場は好感し上昇、一方、強い結果となれば、ドル買い、ただし、株式市場は軟調→クロス円も軟調というシナリオになるのでは?
そして、その辺りで予定されているECBとBOJの政策会合の行方も意識しなければなりません。3月10日にECB、15日にBOJの政策会合が予定されています。とりわけ15日のBOJで追加の緩和観測が高まっているのか否か(今回の補完措置で追加緩和観測が後退)、この辺りが複雑に絡み合っているだけに、それぞれの思惑に一喜一憂、ボラティリティも大きくなるのではないかと考えています。個人的には3月のFRBの利上げは無いと考えているのですが・・・。

そして、1月は過去2年、相場が大きく下振れしたこともありますので、「2度あることは3度ある」を頭の片隅にとどめておき、万が一の事態に備えておく必要があると思っています。下値のメドとして12月の短観で示されていた大企業製造業の想定レート119.40円、そして中期的に重要なポイントは20ヶ月移動平均線である116.13円です。
比嘉洋
マネースクエア シニアコンサルタント
配信元: 達人の予想