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クレアと株主の抗争

元々不動産業、太陽光発電事業などを手がけてきたクレアホールディングス(1757)ですが、ここ最近になり異業種への進出を強めています。最近になって株価が一気に急騰し、その動きを巡って、現在のクレアホールディングスの経営者、株主側が臨時株主総会の招集をそれぞれに行い、騒動に発展している状況です。11月に行われる予定だった臨時株主総会は中止、後日改めて開催が予定されるなど、泥仕合になりつつあります。

急な異変は令和になってから始まる

1965年に設立され、55年の歴史を誇るクレアホールディングスはこの間、様々な事業展開を行い、話題を読んだ時期もありました。そんなクレアホールディングスが2019年に入って、第三者割当増資を行っています。別名縁故募集とも呼ばれ、特定の企業に対して株を買ってもらうことで、敵対的買収に備える目的があります。また、資本提携や会社再建の場合にも用いられますが、この時に対象となったのがMTキャピタルマネジメント(小田祐次社長)とオリオン1号投資有限責任組合(岡本武之社長)です。3000万株を確保し、実際に調達できた金額はだいたい45億円ほどです。

2019年の年末には再び同じ相手に対して第三者割当増資を行っています。先ほども紹介したように、クレアホールディングスは不動産や太陽光発電などを中心に活動をしていたわけですが、この数年で広告事業の会社を子会社化し、会社の雰囲気は大きく変わったと言われています。元々赤字体質であったクレアホールディングスの体質改善が目的とされていますが、コロナの影響もあって完全に体質改善につながったとは言えない状況です。

1年で2回増資が行われたことにより、2社でそれぞれ10%ほどの株を保有します。しかし、2020年に至るまでにこの株を2社いずれも売買するようになったことで、会社側から「主要株主の異動に関するお知らせ」が何度も出てくることになります。

コロナを含めた2020年の激震

第三者割当増資によって2社が10%ほどの株式を手にした一方、これまで筆頭株主だった株式会社SEED(猪俣秀明代表取締役)や2020年に入って同じだけの株を手にした松林克美氏などを含め、それぞれの人たちが売買を行い、筆頭株主が頻繁に変わる事態となっていました。

2020年の夏ごろ、クレアホールディングスは、子会社のクレア株式会社がジールコスメティックスとの販売契約を結ぶことになります。ジールコスメティックスではダチョウ抗体を使ったリップマスクを開発しており、これに関与するために契約を結びました。クレアホールディングスの株はコロナ関連銘柄となり、その株価は一気に高まります。一時9倍ほどにまで増えたため、少しでも利益を確定させようとそれぞれの大株主が売りに走り、それにより、筆頭株主が変わっていきます。

臨時株主総会の決め手とは何か

株主側は夏ごろになって急に臨時株主総会を招集するように求め、これが認められます。赤字体質の改善などが取り上げられ、コロナ関連銘柄の引き金になったジールコスメティックスと提携を強化すること、そして、中小企業ホールディングスプロジェクトという計画、中小企業ホールディングス株式会社への名称変更、新たな取締役候補の登用などが出てきました。

この取締役候補の中にはジールコスメティックスの社長やオリオン1号投資有限責任組合の岡本武之社長なども入っていました。これに明確に反対したのがクレアホールディングス側で、中小企業ホールディングス計画などはイメージの域を出ないと反発します。

委任状を巡る動きもお互いに強まっていく中で、株主側が委任状と引き換えに粗品をプレゼントするという動きをとったことで、会社側は猛反発、正常な開催はできないと判断し、会社側は臨時株主総会の中止を決めます。株主側は現在の経営陣の解任を新たに要求するなど、動きは激化しています。

ちなみに、議決権行使助言会社のInstitutional Shareholder Services Inc.「ISS 社」は、双方の提案を検討した結果、クレア側が提案した内容に賛成推奨を出しています。

名物社長の弟も参戦!

株主側で先陣を切っているのが岡本武之氏です。表向きはオリオンを率いていますが、そのオリオンの大株主として前澤周平氏が登場します。前澤周平氏はZOZOTOWNでおなじみ、前澤友作氏の弟にあたります。前澤周平氏自身も会社の代表を務めていますが、積極的な情報発信がないために謎に包まれた存在です。

投資家が書き込めるネット掲示板では、前澤周平氏の存在をクローズアップする書き込みがあり、将来的にクレアホールディングスの社長になるなどのことが書き込まれました。これとは別に岡本武之氏のバックには前澤周平氏がいるという情報も出てきています。一連の情報は当事者でなければわからないものなので、クレア側か岡本武之側、いずれかで情報がリークされた可能性も指摘されます。11月で決着するはずが、まさかの越年となってしまった会社側と株主側のバトルがどんな結末を迎えるのか、否が応でも注目度が高まります。
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