プロ料理人の生々しい実態がよくわかる書籍

元祖SHINSHINさん
元祖SHINSHINさん
私小説を読んでいるようでオモロイ。料理学校・フランス留学を経て、いろいろな変遷を得て現在に至っているプロ料理人の話。挫折の連続から見えてきたものがオモロイ。挫折がなければ、今の彼女がなかったとよくわかる。また、彼女の成してきた努力と、自分の直感を大事に生きてきた彼女の集大成を見ていると、うらやましくなってきたりもする。努力が実ることって、実はあまりないってことがわかってくるから、そう思うのだろう。

★「厨房から台所へ 志麻さんの思い出レシピ31」
  タサン志麻著 ダイヤモンド社 2019.2.13.第1刷

諸般の事情により家政婦をするようになった著者は、今では予約が取れない家政婦として人気に火がついている。家政婦になる前の、プロ料理人としての生き様も、手に汗握る臨場感が伝わってきて読ませる。体力と根性がないとやっていけない世界。現場の料理人は、めまぐるしく入れ替わっていく。

そういう世界でやってきた著者も、行き着くところまで行くと、「これは私の理想じゃない」と思い至って、その職場を去るを繰り返すのであった。他の料理人のように漠然と止めるのではなく、徹底的に仕事を極めて、結果辞めるという。こうした得るものがなくなったら次の世界に行くという一連の流れが、著者をより一層強力な人物にしていくのがよくわかる。

タサン志麻というヒトは、いつも冒険をしているヒト。
ハラハラするけど、かなりオモロイ。


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