甘草の主要成分であるグリチルレチンの前段階成分、
グリチルレチン酸の酵母を使った合成に成功しているという。
しかし、天然の甘草から抽出する手法に比べて、
まだまだコスト面で折り合いがつかないらしい。
★「植物はなぜ薬を作るのか」
斉藤和季著 文藝春秋 2017.5.15.第四刷 P.216~217から要約
記憶違いでなければこの書籍、
実は書評で、あの宮部みゆきが絶賛したらしい。
北里大学へ聴講に行った際、
講義が始まるまで、オイラはずっとこの書籍を読んでいた。
最新の知見が満載だし、
オモロイのだけれども、
ところどころ難しい部分もあったりする。
三島由紀夫の二重否定が連なった文章を読んでいるような、
そんな錯覚を覚える箇所があったりする。
化学合成の変換を、文章で表現しようと思うと、
どうしても三島由紀夫みたいな部分が生まれてしまうということだ。
こういうのは、馴れていないとなかなか読みこなすことができないのだけれども、
みゆきちゃんは、こういうのでも平気のへいさで読みこなしてしまうのだから、
やっぱり頭の切れる人なのだなぁと、感心してしまう。
*
話を書籍へ戻すと、
途中で遺伝子組み換え食物(GE)の話が出てくる。
それによると、
輸入穀物のうち遺伝子組み換えの割合は、
とうもろこし:80%、大豆:90%に達しているという。
また、家畜の飼料としても多くが使われているので、
実質、日本人は直接・間接的に、
とっくのとうに遺伝子組み換え食物のお世話になっているのだという。
*
異なる科の植物たちや、ヒトの耐性ガン細胞が、
同時多発的に突然変異する話も、不思議でオモロイ。
DNAトポイソメラーゼⅠという酵素活性の中心アミノ酸の、
隣にあるアミノ酸がとある目的のために、
アスパラギンからセリンへ、なぜかひとつだけ、
突然に置き換わっているというのだ。
そうすると確かに、人間が後付けで意味をみいだせる目的を果たすことになるのだが、
よく考えてみると、どうして、だれが、ひとつのアミノ酸を置換することを決定したのか、
わからないのだから、突然変異って不思議だ。
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他にも、神秘的な話が満載なので、
ゆっくり、じっくりと楽しめる書籍なのであった。